忍者ブログ

シャイーのブルックナー「交響曲第7番」

2007.02.20 - ブルックナー

シャイー

ブルックナー 交響曲第7番 リッカルド・シャイー指揮ベルリン放送交響楽団


1980年代にシャイーがベルリン放送饗の指揮者だったときは、NHK-FM放送に登場する回数が№1だったのじゃないだろうか。季節ごとにシャイー(というかベルリン放送饗)の特集があったものだが、それらはみんないい演奏だったし、さんざんエアチェックしたものだ。チャイコフスキーの5番やラローチャとのベートーヴェンのコンチェルト、それからグノーの「ファウスト」からのバレエ音楽なんていうところは、今でもカセットテープを取り出して数年置きに聴きかえしている。ホントにお世話になった。CDなんか買わなくても、シャイーの出るFMがあれば音楽生活は充実していた。貧乏学生だった私にとっては、オアシスのような存在だったな、彼は。

当録音は1984年のもの、つまり、指揮者のシャイーが31歳になるかならないかの頃である。
当時は血気盛んな年頃であり、かつイタリア人であるにも関わらず、妙に落ち着いた演奏。
変人多きクラシック音楽界のなかにあって、ひときわマジメ人間の誉れ高いシャイーの、フシギにナイーブな演奏である。
ベルリン放送饗の音色がほれぼれとするほど美しい。デッカの自然な録音と相俟って、ピカピカに磨き上げられた宝石のごとく艶やかな音である。
テンポも強弱も実に普通っぽく、アクがほとんどない無垢な演奏ともいえる。
だいたいブルックナーは野人であり、それを演奏する指揮者はクナッパーツブッシュを始め、フルトヴェングラー、シューリヒト、マタチッチ、チェリビダッケ、ヨッフム、インバルと、とてもゴツくてクセのある面々が連なっていて、このシャイーをそういうところにぶちこむにはあまりにも繊細であり弱々しい感じがするのであるが、それがある意味独特の風味を醸し出す個性になっている。こんなに淡くて清涼感のあるブルックナーは珍しい。こういうデリカシーもたまにはいいのじゃないかと、納得して聴き入ってしまいました。
PR
   Comment(1)   TrackBack()    ▲ENTRY-TOP

Comment

無題 - Niklaus Vogel

吉田さん、こんばんは!
シャイー&ベルリン放響のFM放送は、クラスメイトが貸してくれた、「アレクサンドル・ネフスキー」の圧倒的な印象がありました。他にもこのような放送があったのですね!
私はベルリン放響とのブルックナーは聞いたことがありませんが(シャイーのブルックナーとなると、コンセルトヘボウの4番くらいでしょうか)、ベルリン放響とのシェーンベルクの「浄夜」の官能的なサウンドがとても好きです。このブルックナーもぜひ聞きたくなりました。
ところで、明日の別館の内容とはいくぶん矛盾しますが、私はシャイーがシカゴ響の音楽監督にならないかとひそかに期待しています。
2007.02.20 Tue 23:30 URL [ Edit ]

Re:Niklaus Vogelさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

「アレクサンドル・ネフスキー」、ありましたネ! 怒涛の迫力でした。合唱物では「カルミナブラーナ」なんかも良かったという記憶があります。
今思えばこのコンビはとても相性がよいというか、この頃のシャイーは覇気があってよかったものです。かといって今が悪いというわけではありませんが。

シャイーとシカゴ響ですかー、考えもつかなかったです。でもいいかも知れません。少なくともバレンボイムよりは合いそうです。
2007.02.21 12:22
コメントタイトル:
投稿者名:
Mail:
URL:
投稿内容:
Password: ※1
Secret: 管理者にだけ表示を許可する※2
※1 パスワードを設定するとご自分が投稿した記事を編集することができます。
※2 チェックを入れると管理者のみが見ることのできるメッセージが送れます。

TrackBack

この記事へのトラックバック
TrackBackURL
  →
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ポチっとお願いします(´_`\)  ↓ ↓ ↓
最新コメント
カッチェン、フロマン、ブラームス"ピアノ協奏曲2番" from:Yoshimi
-11/16(Thu) -
フルニエ、フィルクスニー、ブラームス"1番" from:老究の散策クラシック限定篇
-03/18(Sat) -
ゼルキン、オーマンディ、ブラームス"1番" from:老究の散策クラシック限定篇
-02/20(Mon) -
ゼルキン、オーマンディ、ブラームス"1番" from:“スケルツォ倶楽部”発起人
-02/20(Mon) -
古典四重奏団、ベートーヴェン、15,13"大フーガ" from:老究の散策クラシック限定篇
-10/30(Sun) -
最新TB
カテゴリー