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ヤルヴィのマルティヌー「交響曲第5番」

2008.12.20 - マルティヌー

jarvi

マルティヌー交響曲全集 ネーメ・ヤルヴィ指揮バンベルク交響楽団


R・D・ウィングフィールドの「クリスマスのフロスト」(芹澤恵訳)を読む。
『不屈の仕事中毒にして下品きわまる名物警部のフロストが繰り広げる一大奮闘』、フロストシリーズの第1作である。
rudolf2006さんが薦めておられたので、前から気にしていたシリーズである。長尺であるが一気に読まさせられる。
打てば響くフロストのギャグあふれる会話がリズミカルですばらしいし、周囲の登場人物も、いい奴いやな野郎おりまぜて人間くさくいきいきと描かれていて、まったく飽きさせない。
作者がすでに亡くなったのは残念であるが、まだ読んでいないものもあるし、翻訳されていないものも何作か残されているようなので、楽しみだ。


ネーメ・ヤルヴィのマルティヌー。
このCDのHMVのレビューから。
『チェコの田舎町ポリチカ。町全体を見おろす聖ヤコブ教会の塔につくられた鐘楼守の小さな家(部屋)に生まれたマルティヌー[1890-1959]の少年時代は、内向的な性格ゆえに、12歳の時に地上の家に引っ越すまで、ヴァイオリンの勉強の時以外はほとんどの時間を塔の部屋と回廊の中で過ごすという不思議なものでした』
少し泣かせる。この文を読む限りだと、この主人公のその後の生涯も、けっして安穏としたものではないことを想像させる。それが後年の、独特の作風に強く結びついているのだろうことを想起させる。
東欧の作曲家には地味だけれどもユニークな人が何人もいるけれど、マルティヌーもそのひとり。
ことに、この5番の交響曲においては、濃い霧のような湿度をもったほの暗いメロディーと、ときおり爆発する感情の昂ぶりのコントラストに、精神の分裂ぶりを感じないではいられない。
そうした病的な感覚を冗長させているのが、鮮烈な音響美。
バンベルク交響楽団がなんともパワフルだ。弦はしっとりとした潤いがあり、キメが細かいし、じゅうぶんな厚みがある。木管、金管も適度な水分がどんなに強く鳴っても、音が丸みを帯びているのだ。
このオーケストラのコンディションのよさ、ヤルヴィのリードによるものが大きいのだろう。流れは自然でありアンサンブルも磐石だ。
ここぞというときには、金管、シンバル、大太鼓が大咆哮するが、まったく濁りのない、透明なもので、これは録音もそうとうにいいのじゃないかと思う。
寄せては返す波が、ラストに向かって怒涛のように流れ込む。
このCDはできるだけ大音量で聴くのがいいようだ。

1988年3月、バンベルクでの録音。

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