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C・クライバーのウェーバー「魔弾の射手」

2007.02.25 - ウェーバー
魔弾

ウェーバー「魔弾の射手」 C・クライバー指揮 ドレスデン国立歌劇場 シュライアー、ヤノヴィッツ、アダム、マティス、フォーゲル 他


昨日より島尾敏雄「死の棘」を読み始める。しょっぱなからやたらとテンションが高い。まるで阪神の藤川が先発して全力投球しているようなもので、これで500ページの長編がもつのか(あるいは私の気力が萎えるか)心配になるほどだ。長編小説というと、最初の部分はアイドリング的に始まるのが一般的なパターンだと思うが、ここでは初回から150キロで飛ばしまくりのボルテージ。
なまなましい生活感と会話に重厚な手ごたえがあり、これは凄いことになりそう。


最初から飛ばしていると言えば、クライバーの「魔弾の射手」もそう。序曲の冒頭を聴いたらもう耳を離せない。全編これクライマックス。

「魔弾の射手」、あらすじは以下の通り。
マックスは領主の娘アガーテとの婚礼を控えているが、領主の職を継ぐために、翌日の射撃大会で優勝しなければならない。だが予行演習では惨敗する。そのマックスに、悪魔と取引をしているカスパールが自分の身代わりとして悪魔に差し出そうと誘いをかける。カスパールは7発の魔弾のうち6発は射手の意図通り命中し、残りの1発は悪魔の望む通りに命中する魔弾を作る。
射撃大会の当日、マックスは絶好調。最後の課題は鳩を撃つことだったが、その弾はアガーテに向かってしまう。ところがアガーテは隠者にもらったバラの花冠で弾をまぬがれ、魔弾はカスパールに命中する。 領主はマックスからそのいきさつを聞き出して激怒し追放を宣告するが、隠者が許すように諭す。領主は1年の執行猶予の後マックスとアガーテとの結婚を許した。

この話をご存知の方は多いと思うが、自分がいまひとつわかっていないので確認のため書いてみた次第。
演奏についても、これは大変世評の高いCDなのでいまさらという感もあるが、まあ一応。

シュライアーは持ち前の美声をいかしていかにも愚直なマックスを演じてあますところがない。役柄によって歌いまわしは変えても、透明感のある声はいつ聴いても正しいドイツのテノールという感じがする。
アガーテを演じるヤノヴィッツは派手さはないが堅実で、言葉のすみずみにまで神経を張り巡らせたような歌いっぷりである。ドイツ語はわからないがそんな気がする丁寧ぶり。
あとマティスもアダムも良くて、こうしたドイツ・リートを歌える歌手がそろっているところに親近感が湧く。
イタリア・オペラやワーグナー、シュトラウスというところはわりと歌手の棲み分けがあるというか専門性があるのだけど、モーツァルトとかこのウェーバーを歌う歌手なんかは「詩人の恋」を歌った翌日にマックスを演じたりしてこれはこれで聴きくらべる楽しみがあって面白いものであるなと思う。

あと特筆すべきはドレスデンのオケ。泡立つような弦のトレモロと、ティンパニの皮の音がなんともいえない快感。昔、サヴァリッシュのシューマンを聴いたときは、曲の解釈がどうこうよりもまずドレスデンのティンパニの音に酔いしれたものだった。録音時期もこの「魔弾」に近い頃だったから、この頃のドレスデンのオケは特にコンディションが良かったのだろうな。同じオケが後年にシノーポリとやったシューマンでは、残念ながらこの音を見出すことはできなかった。こういう音を引き出すのはもちろん指揮者の裁量でもあるのだろう。このオペラで聴くことのできるティンパニの登場回数は決して多くはなく目立たないが、柔らかな弦楽器の向こう側でひっそりと「ペタッ」と響くこの甘美な音は、チラリズムの魅力に満ちている。全裸ではなく「チラ」がいいわけ。実に微妙にそそるものがあって、なんだか生きる気力がふつふつと湧いてくるような感じすら覚えるのですな。
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