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フリッチャイのチャイコフスキー「交響曲第6番"悲愴"」

2008.07.27 - チャイコフスキー
tchaik

チャイコフスキー「悲愴」 フリッチャイ指揮ベルリン放送饗


阪本啓一の「ゆるみ力」を読む。
日々生活してゆく中で、トラブルはつきものだ。胸がざらつくような感触につきまとわれない日はないといっていい。
著者は言う。「『思いもかけないトラブル』は、実はあなたの一番直視しなければならない課題を教えてくれる」。
なにか課題を与えられたとき、それをネガティブにとらえて真面目に向き合わないでいると、さらに同様の課題が身に降りかかってくる。よくあることだ。でも、誰が悪いわけではないし何かが間違っているわけではない。「そういうことになっている」。発生したトラブルは淡々と受け入れるしかないのだ。
マジックワードは「そうきたか」。
子どもが学校に行かない…そうきたか。急に転勤を命じられた…そうきたか。彼女から「もう終わりにしましょう」とメールがきた…そうきたか。部下が「明日から一週間休みます」とだけ書いたメールを送ってきた…そうきたか。
こう考えればトラブルも楽になる、かな?


niji

今夕の夕立のあとの虹。


フリッチャイの「悲愴」はいくつかの録音があるようだが、これは1959年のスタジオ録音。
ライヴでの彼のチャイコフスキーは、燃え狂うようなテンションの高さに特徴があるが、これはスタジオのせいか、激しさはやや抑えられており、フォルムの整った演奏である。
それでも作曲者に対する思い入れがたっぷりとはいっていて、熱い。全体的にゆっくりとしたテンポを設定しているけれど、よくこなれているために遅さは感じない。ひとつひとつのフレーズをとても丁寧に歌わせていて、チャイコフスキーのメランコリックな世界をじゅうぶんに堪能させてくれる。
響きがサラッとしていてリズム感がよいから、くどくない。
全曲をとおして、いっときも耳を離せない緊張感に満ちた演奏である。
偶数楽章は特にいい。
2楽章は、憂愁を帯びたメロディーをたっぷりと響かせて、不思議な浮遊感がある。ロシアの居酒屋で、こんな音楽が流れていたら、さぞウォッカが進むことだろう。
圧巻なのは終楽章。ことにヴァイオリンは、ちょっと今まで聴いたことのないような、悲痛で輝かしい響きを炸裂させている。ものすごく密度の高い音である。ムラヴィンスキーとレニングラードの、切り込みの鋭いヴァイオリンもすごいものだが、こちらはもっと感傷的で、あたたかい血の感触がある。
もともとクライ曲の代名詞のような楽章であるが、この演奏は大悲劇を見栄を張って堂々と演じていて、立派なものだと思う。
欲を言えば、1楽章と3楽章は、もっと激しくてもよかったような気がする。


1959年9月、ベルリンでの録音
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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま お早うございます

「そうきたか」というのは、良いのかもしれませんね
なかなかそこまでは思えないのが実情ですが〜。
綺麗な虹ですね〜 星に願いを、とまったく関係ないことを思い出しました、爆~。

フリッチャイという指揮者は、ほとんど聴いていないように思います。名前はよく知っていて、色々な方が推薦されているんですが〜。

この暑さの中、「悲愴」を聴かれる、吉田さん、元気ですね〜、爆~。チャイコは夏にはとても、暑苦しくて、爆~。最近、色々な復刻盤が出ていて、いずれを買うか、悩んでしまいます。

ミ(`w´彡)
2008.07.28 Mon 06:11 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

何事も「そうきたか」ですませてみたいものです。そこまで達観できません…。

埼玉南部は昨夕にどしゃぶりの雨が降って、しばらくしてやんでから外が真っ赤なので夕焼けかと思ったら虹でした。珍しいので撮ってみました。

フリッチャイ、好きですねえ。録音も多いのでもっといろいろ聴いてみたいです。
チャイコフスキーの4,5,6はどれも名演と言えるのじゃないかと思います。
このヒトとムラヴィンスキーがチャイコの全集を残さなかったのは、つくづく残念です。
2008.07.28 12:41

無題 - sweetbrier

こんばんは。
「ゆるみ力」、なるほどと思いました。私も最近、自分では気づかなかった痛いところを「ほれ!」と突きつけられて(思いもかけないトラブル)、うろたえ、凹みましたから、タイムリーな話題でした。

♪ Somewhere, over the rainbow... ♪ 思わず口ずさみました。虹の内と外で空気の色が違いますね。SFファンタジー短編が始まりそう?!

チャイコフスキーの「悲愴」は、たくさんの録音がありますね。外連味たっぷりの演奏をいろいろと聴き比べる楽しみがありそうに思います。
2008.07.29 Tue 21:41 URL [ Edit ]

Re:sweetbrierさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

日々生活していると、1日に少なからず不愉快なことに出くわします。それがトラブルとはいえない小さなことでも、気分を壊すようなことは少なくありません。
そういうことは、本を読んだからといって解決することはありませんが、ほんの少しの気休めになることは時折あるようです。
この本は、数ある新書の中では読ませられるほうではないかと思います。身近で個人的な些細なことを丁寧に掘り下げています。

>♪ Somewhere, over the rainbow... ♪
オズの魔法使い、あの映画は特別です。頭の中が藁で悲しい…。3年に一度は観ています。

フリッチャイのチャイコフスキーはいいですよ。今まで聴いて特によかったのは4番です。圧倒的推進力があります。この「悲愴」は、ややおとなしいです。外連味のあるチャイコ、それを許容するところがこの作曲家のいいところですネ。
2008.07.29 22:05

無題 - neoros2019

悲愴を通しで聴くことは今やほとんどありません。
自分にとって精神的に近しい人であればあるほど
その死に際してこの第4楽章は胸に響きますね
ブログに挙げている通りわたしは、今は岡城のピアノソロ盤を選択します
真の哀悼と言う意味においてブルックナーの第7のアダージョと双璧を為すとおもいます
2008.07.29 Tue 23:36 [ Edit ]

Re:neoros2019さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

悲愴の4楽章は響きますね。このフリッチャイの演奏はとくに、弦の痛切な響きが魂の叫びかのように聴こえます。きいていてつらくなります。ムラヴィンスキーのもすごいですが、あまり感情移入できない孤高の演奏です。

>今は岡城のピアノソロ盤を選択します
ピアノソロによる悲愴、ちょっと想像つきません。どんな演奏なのでしょう。
2008.07.30 09:21

無題 - mozart1889

おはようございます。
僕もフリッチャイの「悲愴」、大好きです。発売当初は、ビックリしました。1959年の録音なのにものすごくエエ音でした。
久しぶりに聴きましたが、これは夭折したフリッチャイ晩年の傑作、素晴らしい演奏と思います。
2008.08.05 Tue 05:21 URL [ Edit ]

Re:mozart1889さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

TBとトラックバックをありがとうございました。

フリッチャイの「悲愴」は、なかなか廉価にならず、ずっと待っていたのですが、あきらめてレギュラー盤を買いました。HMVのポイントを使いました。
録音はすばらしいですね、確かに1959年とは思えない。鮮度の高い音だと思いました。
フリッチャイのチャイコフスキーはどれもすばらしいですが、この「悲愴」も例外ではありません。
特に、偶数楽章にひかれました。ベルリン放送饗も好調ですね。レギュラーで買った甲斐のある演奏でありました。
2008.08.06 21:24
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クラシック音楽のひとりごと 2008.08.05   05:18
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