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リヒテルとボロディン四重奏団のシューマン「ピアノ五重奏曲」

2008.08.02 - シューマン

shumann

シューマン ピアノ五重奏曲、他 リヒテル(Pf) ボロディン四重奏団


外山滋比古の「思考の整理学」を読む。
書店に行くと、この本がまた最近になってまた流行っているらしく、山積みにしてある。
私も以前に読んだ記憶があったが、内容を忘れていたので改めて読んでみる。日常のちょっとしたことをもとにして進める手法といい、冷静沈着な分析といい、一編数ページからなる形式といい、小林秀雄の「考えるヒント」によく似ている。こちらのほうが実務的だ。
そんなことを思っていると、「考えるヒント」を読みたくなった。


リヒテルのピアノはいつも通り繊細で豪胆。ボロディン四重奏団の演奏も負けずに多彩な音を繰り出す。
この五重奏曲は、シューマンの詩情あふれた夜の曲だが、この両者は真正面から骨太にシューマンに相対する。
1楽章のメランコリックな躍動感ある旋律は、シューマンでなければ書けないであろう独特なもので、他のロマン派作曲家とは一線を画する。それに続く2楽章の不安定で薄暗い憂愁、3楽章のとっぴな快活さ、4楽章のとりとめのない奔放さは、非常に魅力的であって、健全な精神の人間が書くものとはちょっと違う、狂気の味わいがあって、そのあたりは伝記の伝える通りである。

リヒテルのシューマンはいつもすばらしい。ふうわりとした音には芯があって、それががっちりと楽想を支えているところ、まったくケレン味のないもので、こういったスタイルがかえってシューマンの狂気をじわじわとあぶりだしてゆく。
ボロディン四重奏団の鮮やかな手際のよさとリヒテルとの息はぴったりであり、小気味いいほどだ。


1994年6月、ナントでの録音
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Comment

無題 - sweetbrier

こんばんは。
リヒテルは、ドキュメンタリーでは鍵盤がバラバラに飛び散りそうな凄まじい強奏の場面がよく使われますが、穏やかな叙情や弱音もいいですね。ケレン味もほとんど感じたことがありません。私はリヒテルの優しいピアノが好きです。

こちらで紹介された作品は聴いた記憶がない…と思っていたら、ちょうど今夜のハイヴィジョン放送「ウイークエンドシアター ヴェルビエ音楽祭2007 室内楽リサイタル」の曲目にありました♪ 録画して聴いてみます。
2008.08.02 Sat 22:19 URL [ Edit ]

Re:sweetbrierさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

リヒテルは、比較的若い頃のヴィルトゥオーソの部分を引き合いに出されますが、むしろ穏やかな部分がいいですね。あんなに繊細なピアノを聴かせるひとは少ないように思います。

シューマンの五重奏曲、彼らしい幻想味にあふれた曲です。冒頭から一気に引き込まれます、ああいうメロディーは、シューマンならではです。まったく独創的で、天才のひらめきとしかいいようがありません。
映像があるのですね。
この演奏も絵つきで見てみたいものです。
2008.08.03 21:28

無題 - rudolf2006

吉田さま お早うございます

吉田さんの影響を受けて、リヒテルを聴き出しました。
それまであまり聴いてきていなかったんですが〜。

シューマンのこの曲 本当に良い曲ですよね
ゼルキン師の演奏しか聴いたことがありません。
このリヒテル盤も、聴いてみたいです。
カップリングも良いですね~。

ミ(`w´彡)
2008.08.03 Sun 05:46 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

リヒテル、いいピアニストですよね。
バッハもいいですが、ロマン派の演奏も優れたものだと思います。

この五重奏曲は、じつにシューマンの個性がよいほうにあらわれた曲だと思います。天才のひらめきのようなものを感じます
ゼルキンはブダペストとの演奏でしたっけ?
聴いてみたいものです。

カプリングの「死と乙女」、これもいい演奏でした。
こちらについてもいつか書いてみたいと思います。
2008.08.03 21:32

無題 - ニョッキ

こんばんは。

私は室内楽初心者ですが、シューマンのピアノ五重奏曲はとても好きです。

>シューマンの詩情あふれた夜の曲

ホントそのように思います。
リヒテルは未聴です。

いつもアントルモン!とアルバンベルグ四重奏団で聴いています。




2008.08.04 Mon 22:16 URL [ Edit ]

Re:ニョッキさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

私もそれほど室内楽を聴くほうではありませんが、このシューマンは一発で気に入りました。冒頭からシューマン節が炸裂しており、その後は最後までメランコリックな音楽が鳴り響きます。どちらかと言えば弦楽が主役の音楽ですが、ボロディンSQがとても快活ですばらしいと思います。

アントルモンにこの曲の録音があるのですね。意外なような気がしますが、これも聴いてみたいです。
2008.08.06 21:19
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