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スークとルージチコヴァのヘンデル「ヴァイオリン・ソナタ集」

2008.07.26 - ヘンデル
handel

ヘンデル ヴァイオリン・ソナタ集 スーク(Vn) ルージチコヴァ(Cmb)


村上春樹の「辺境・近境」を読む。
この旅行記、前にも読んだことがあったが、なぜかじわじわとうどんが食べたくなり、再度読み返してみた。
筆者が訪れたのは、イースト・ハンプトン、からす島、メキシコ、讃岐、ノモンハン、アメリカ、神戸。このなかでは、短いけれどやはり讃岐の巻が面白い。5つの店を紹介していてどれも実においしそう。
驚いたことには、客が自分でうどんを湯掻くなんていう店もある。
讃岐うどんは、茹でたての麺にしょうゆをかけたものが基本であるらしいが、この季節にもぴったりだ。
「打ちたての勢いのあるうどんに醤油をかけて、葱だけを薬味にしてつるつるつると食べる美味さ」、これを味わうためだけに足を運ぶ価値はあるのだろうな。



スークとルージチコヴァのヘンデル、ヴァイオリン・ソナタが6曲収録されている。
このCDは1975年に録音したものだが、その後の1982年に出版されたヘンデル協会の新全集によると、この録音当時にヘンデルの作とされていた6曲のうち、4曲までもが作者不詳の曲になってしまったらしい。

第1番イ短調 作品1の3  … ホンモノ
第2番ト短調 作品1の10 … 偽作
第3番ヘ長調 作品1の12 … 偽作
第4番ニ長調 作品1の13 … ホンモノ
第5番イ長調 作品1の14 … 偽作
第6番ホ長調 作品1の15 … 偽作

「疑惑のデパート」ならぬ「偽作のオンパレード」である。
こういうものって、何を根拠にしているのかわからないし、実際に聴いてみても、どこのどの部分がどのようにヘンデルじゃないなんていうところは、当然ながら、皆目わからない。
ちなみに私がこの中で気に入ったのは、3番、4番、6番である。どれもヘンデルらしい(というのははばかられるか)大らかな喜びとほのかな憂愁に満ちた曲だと思う。
偽作だからといって、スークの演奏は色褪せることはない。
スークの演奏は、生真面目で実直であり、その音色は密度が濃くて、たっぷりと黒い毛筆の太い味わい。
ルージチコヴァの堅実な伴奏は、過度な主張を控えたすがすがしいものだ。

1975年6月~7月、フランスでの録音
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Comment

無題 - mozart1889

吉田さん、讃岐うどんは旨いですよ。当地伊予西条は讃岐の隣国、しょっちゅう食しております。「打ちた勢いのあるうどんに醤油をかけて、葱だけを薬味にしてつるつるつると」は、まさにその通り、旨いうどん屋は田舎道の一軒家が多く、店の作りが粗末で、「これでホンマに旨いんかいな?」と思うんですが、やはり喰ってみると実に旨いんです。ツルツル、しこしこ、もちもちっと旨いです。

さて、ヘンデルのヴァイオリン・ソナタ、ヨセフ・スークの演奏はエエですね。僕も大好きです。
2008.07.26 Sat 21:28 URL [ Edit ]

Re:mozart1889さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

伊予西条は讃岐の隣国とのこと、やはりうどんはメジャーなのですね。
著者の村上は、三日間、うどんの取材のためにうどんだけを食べたらしいですが、どれもそれぞれおいしかったそうです。
商売っ気のある店はむしろ少ないほうで、看板もろくにないところが多いそうですね。むしろ、そういう店がうまいのだとか。

最近、ヘンデルをよく聴くのですが、このソナタ、スークの演奏は骨太でいいですね。
ヘンデルの作と偽作との区別が全然つかないです(笑)。
2008.07.26 22:07

無題 - 木曽のあばら屋

こんにちは。
讃岐に住んでおります。
うどんはきっぱりうまいです。
夏はぶっかけかしょうゆうどんにかぎります。
2008.07.26 Sat 21:30 URL [ Edit ]

Re:木曽のあばら屋さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

讃岐に住んでおられましたか。
私は讃岐はおろか、四国に行ったことがありません。村上の作品を読みますと、うどんのためだけに讃岐に行く価値はじゅうぶんにありそうです。

>夏はぶっかけかしょうゆうどんにかぎります。

たまりません。最近は東京にもうどんのチェーン店が出てきていますが、本場は一味違うのでしょうね!
2008.07.26 22:12

無題 - rudolf2006

吉田さま こんばんは

讃岐うどん 釜揚げのうどんに醤油が一番美味しいのでしょうね〜。村上春樹の本はまだ読んだことがありませんが〜。

ヘンデルのヴァイオリンソナタ、そんなに偽作が合ったんですね〜。スークは、モツアルトのヴァイオリンコンチェルトも、偽作と言われているものもすべて、録音しています。良いものであれば、誰の作品であるかどうかは、気にしていないのかもしれないのかもしれませんね〜。

デンオンのクレストシリーズはかなり持っているんですが、これは持っていませんでした。

ミ(`w´彡)



2008.07.26 Sat 22:56 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

村上春樹の旅行記、讃岐の巻は30ページ程度の小品ですが、印象的です。うどんがおいしそうで…。たまりません。

>スークは、モツアルトのヴァイオリンコンチェルトも、偽作と言われているものもすべて、録音しています。

それは徹底していますね。通して聴くと、ヘンデルのではないかどうかなんてまったくわかりません。偽作と言われている曲にもいいものがあります。
スークの音は濃厚です。ずんずんお腹に響いてきて、聴き応えがあります。
デンオンのクレストシリーズでは、ヘンデルの同じ曲の寺神戸盤も出ていて、こちらも気になります。
2008.07.27 10:18

無題 - narkejp

こんにちは。関西地方に行くと、ほんとにうどんが美味しいですね。しこしこと腰のある讃岐うどんが食べたいです。
スークとルージイッチコヴァによるヘンデルのヴァイオリン・ソナタ集、気品あるいい演奏ですね。私も、この演奏が好きでよく聴いております。3300円の正規盤。高かったですが、LPだと2枚組になって、もっと高かったはず。CD1枚でLPよりおとく、という情けない理由で購入したのではなかったかと記憶しております(^_^;)>poripori
トラックバックいたしました。
2008.07.27 Sun 12:24 URL [ Edit ]

Re:narkejpさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントとTBをありがとうございます。

関西のうどんはおいしいですね。麺のコシと昆布だしの汁の混ざり具合がいいものです。
四国に行って食べてみたいものです。

スークの太書きのヴァイオリンと、清楚なルージイッチコヴァのチェンバロの組み合わせがすばらしいです。
曲もおおらかで素晴らしく、作曲者がだれであるかは関係ないですね。
私は1000円のクレストシリーズで購入しました。この価格でなかったら、聴くことはなかったかもしれません…。
今後も、よろしくお願いいたします。
2008.07.27 20:12
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