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トレヴァー・ピノック指揮 紀尾井シンフォニエッタ 演奏会

2015.07.11 - 演奏会

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トレヴァー・ピノック指揮紀尾井シンフォニエッタ東京の演奏会に行く。

演目はバッハのロ短調ミサ。

ソプラノ:澤江衣里、藤崎美苗
アルト/カウンターテナー:青木洋也
テノール:中嶋克彦
バス:加耒徹
合唱:紀尾井バッハコーア

この曲はディスクではいくつか聴いていた。カラヤンのライヴ、ジュリーニ、ヘレヴェッヘなど。いい曲ではあるが、「マタイ受難曲」ほどには心に響かないように感じていた。多くの好事家は、バッハの作品の最高峰としてこのロ短調かマタイか、という議論がなされているようである。吉田秀和が言い始めたのか?
長らくの間「マタイ」派だったのだ。しかし、この演奏会を聴いて、少々心が揺らいだ。

冒頭のキリエ。なんという清らかな合唱だろう。清廉にして情熱的。瞬殺とはこのことだろうか。涙が溢れて、舞台がおぼろげにしか見えなかった。コーラスの精密さに加え、オーケストラも見事。例のフルートの長いソロは、じつに堂々としていて圧巻。それに続くホルンのソロもまったく危なげなし。



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ヴァイオリンは3プルト。トランペットは3本でホルンは1本。おそらくピノックの指示なのだろう。ヴァイオリン奏者は、ノン・ヴィブラートの人もいれば、ヴィブラートをしっかりかけている人もいた。まちまちだ。だから、全体の音色は中庸。ラディカルなピリオド奏法でもなく、もったりしたモダンでもない。ちょうどいいのである。

これとは関係ないかも知れないが、1986年にカルロス・クライバーの演奏会を観て同じような光景に出合った。ヴァイオリン奏者たちのボウイングがまちまちなのである。下に弾いている人がいるのと同時に、あげている人もいる。同じ場に立ち会った友人によれば、それによって音色のバランスがとれることもある、とのことだった。

前半は「キリエ」と「グローリア」。後半は「クレド」、「サンクトゥス」、「オザンナ」、「ベネディクトス」、「アニュス・デイ」、「ドーナ・ノービス」、「バーチェム」。

この曲はバッハの後半生をかけた畢生の大作である。前半は1733年頃に書かれ、後半は1749年以降に作られた。好みだが、前半が優れていると思う。後半も悪くはないが、やや冗長感がある。



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ピノックは、チェンバロの弾き振り。立ったままで。指揮棒なしでのリードは、端正な佇まいであり、ときに情熱的だった。
やはりこの人、タダモノではない。



2015年7月11日、東京、紀尾井ホールにて。




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散歩。





重版できました。




「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!








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Comment

無題 - リベラ33

ピノックを聴きたくて、このコンサートに行くか、直前まで迷っていました。結局、東京は遠かったということです。しかし8月には東京出張、11月にもラハティ響を聴きに東京に侵攻します。
偶然にも2回続けてロ短調ミサの投稿にコメントとなりました。
2015.07.12 Sun 04:03 URL [ Edit ]

いやあ、暑いですね。 - 管理人:芳野達司

昔からピノックを気にしていましたが、このたびやっと実演に接しました。とてもよかった。

東京に侵攻ですか。もしお暇があったら、一献いきましょう。ドラゴンズの今後について語らなくては。
2015.07.12 20:32
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