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"三四郎"、ペライア、"ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ"

2015.11.23 - ブラームス

ma
 

夏目漱石の「三四郎」を読む。

「三四郎は切実に生死の問題を考えた事のない男である。考えるには、青春の血が、あまりに暖か過ぎる。眼の前には眉を焦がすほどな大きな火が燃えている。その感じが、自分である」。

学生の頃に読んだときは、「三四郎」、「それから」、「門」をワンセットにして、形而上的なものを求めていた。
でも今読むと、これは恋愛小説である。とても、純度の高い。
恋愛は初期の頃が味わい深い、とは誰もが言う。そのことを、これを読んで改めて思い知らされる。漱石の筆致は、このうえなく瑞々しい。






ペライアのピアノで、ブラームスの「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」を聴く。

ヘンデルの典雅なメロディーを基礎に、めくるめく広大な世界が展開される作品である。長さは異なるものの、作品としての完成度の高さでは、ベートーヴェンの「ディアベリ」に比肩すると思うし、ブラームスの作品としては最高峰のひとつとして候補に上がるのではないか。

ピアノの技術に疎いが、大変なテクニックを擁する曲だろう。ブラームスの音楽はヴァイオリン協奏曲を始めとして、技術が難しいわりにその効果が顕在化しない曲が多いと聞くが、これもそうだろう。彼の書いたコンチェルト並みか、それ以上に難しいのではなかろうか。

ペライアのピアノは目覚ましい。鋼鉄のようなスタインウェイ(たぶん)を用い、恐ろしく幅の広い音色を編んでいく。それは立ち並ぶ超高層ビルのようである。これほど立派なピアノもないだろう。

変奏曲はそれぞれ味わい濃い。そうした密度の濃い時間を過ごしてきて、ラストのフーガに差し掛かると愕然とする。
帽子はどこにあるのかわからない。


2010年6月、ベルリン、フンクハウスでの録音。





ma
 
海辺。





重版できました。




「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!







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Comment

変奏曲の名曲です - yoshimi

こんにちは。
ヘンデルヴァリエーションは、和音による高速移動などかなり力技が必要な変奏も入っていますが、技巧的には難曲「パガニーニ変奏曲」ほどに演奏至難という曲ではありません。
でも、音楽性と完成度は、ブラームスの変奏曲のなかで一番高いと思います。
特に終盤へ向けて盛り上がっていくところは圧巻ですね。

ペライアは、音に丸みがあって美しく、フレージングにもしなやかさがあるので、ちょっと優雅な感じがしました。
人気のあるパガニーニ変奏曲よりもずっと好きなので、CDはいろいろ持ってます。
私の知っている範囲でこの曲をよく弾いていたのは、ゼルキンとアラウ(2人ともスタジオ録音とライブ録音があります)、カッチェン(スタジオ録音2回)など。
ゼルキンはゴツゴツと骨っぽいところがありますが快活です。アラウはテンポが遅めで重厚感があります。
他には、技巧の切れ味鋭く力感のあるアックスは演奏に輝きがあって、思いのほか素晴らしく思いました。
それに、若さと愛らしさのある若い頃のコヴァセヴィチ(カッチェンの次に好きかも)など、好きな演奏が多い曲です。
2015.11.25 Wed 12:29 URL [ Edit ]

参りました。。。 - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんにちは。
いままでにこの曲を聴いていないことはなかったのですが、横着に聴いていたせいか、馬鹿げたことに、このよさがわかりませんでした。ペライアの演奏を3,4度と聴いて、「これは尋常ではないのかな」と遅まきながら気付きました。そのあと、ナットのピアノで聴いて、それは確信になりました。
音楽性と完成度、その意味では、ブラームスの変奏曲、という括りを超えて、ブラームスの作品のなかでも出色の音楽ではないかと思います。
Youtubeでレーゼル、プレトニョフ、トスカニーニのオーケストラ版を軽く聴きました。トスカニーニは意外につまらない。レーゼルはやはり、素晴らしい。
ゼルキンとアラウ、カッチェンは複数の録音があるのですね。悪いわけはありませんよね。
アックスもいいですか。それにコヴァセヴィチ。
今年のCDレビューは、この曲で埋め尽くしたい思いですが、いかんせん手持ちのディスクがない。。これから揃えたいと存じます。
2015.11.26 21:58

ご参考() - yoshimi

こんばんは。
参考までにネット上にある音源です。
試聴ファイルは、トラック別に分かれたものだけ載せてます。
全曲聴かなくても、どういう演奏か大体わかります。

ゼルキン(1957、ルガーノライブ)
https://www.youtube.com/watch?v=e7ao4H7MS2Y
ゼルキンの有名なルガーノライブ録音盤に収録されてます。

ゼルキン(1979、スタジオ録音、試聴ファイル)
http://www.amazon.co.jp/dp/B00005R6HK

アラウ(1963、Schwetzingen Festivalライブ、放送用音源?)
https://www.youtube.com/watch?v=iRwzSZcP-2Y
アラウのスタジオ録音は70歳代の演奏ですので、技巧的に難があります。
こちらの壮年期のライブ録音の方が、個人的には良いと思います。
同年録音のルガーノライブもありますが、技巧的にはSchwetzingenライブの方が安定感があります。
2015.11.28 Sat 00:03 URL [ Edit ]

ご参考(その2) - yoshimi

アックス(1991、スタジオ録音、試聴ファイル)
http://www.allmusic.com/album/brahms-handel-variations-six-piano-pieces-two-rhapsodies-mw0001353593
この演奏は、作曲家の「鎌倉スイス日記」の管理人さんが強く推薦されていたので、CD買いました。

Youtubeにないカッチェンとコヴァセヴィチの録音は、1トラックで全曲収録されていますので、後ほど音源をお知らせします。
たくさんありますので、お時間にあるときに少しずつお聴きくださいませ。
2015.11.28 Sat 00:04 URL [ Edit ]

追伸 - yoshimi

ゼルキン(1957、ルガーノライブ) は、”Great Pianists 10 CD "(Membran)に入ってます。
(このBox Setはたぶんお持ちだと思いますが)
2015.11.28 Sat 12:44 URL [ Edit ]

yoshimiさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

いつも素敵な音源のご紹介をありがとうございます!

今晩は家の者が出払っているので、パソコンのスピーカーの音量を上げて、ビールとワインを食らいながらヘンデルヴァリエーションを聴いていました。
アラウ。音色が華麗で魅せられました。ゼルキンのルガーノ。立ち居ぶるまいが美しい。勢い余ってソロモンとリヒテルのも聴きました。どれも異なる味わいがあっていいです。
ゼルキンのルガーノ録音は、ご指摘にように持っておりました。完全に忘れ去っていましたよ。(涙)

カッチェンとコヴァセヴィチの音源をありがとうございます。
実は今日、図書館でオピッツのブラームスを借り入れた上に、池袋のディスク・ユニオンでカッチェンのブラームス全集をようやく入手しました!
オピッツは返却があるので急ぎ聴かないといけないのですが、カッチェンはゆっくりと聴いてみたいと思います。
コヴァセヴィチとルガーノのゼルキンも楽しみです!
2015.11.28 21:26
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