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シフ、"ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ"

2015.12.08 - ブラームス

ma



シフのピアノで、ブラームスの「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」を聴く。

このCDには、主題の原曲であるヘンデルの組曲が収録されている。全曲で4曲、10分弱であるところの3曲目にこのテーマが使われている。
そっくりそのまま(なのはブラームスなのだが)なので、ピアノ曲に明るくない私でもわかりやすい。ついでに、このヘンデルの曲も変奏曲なのである。技術的にはさほど難しくなさそうなので子供にも弾けるだろう。ただ、小さいながらもヘンデル、さすがの風格。さながら、小宇宙。
この曲に舌鼓を打ってから、ブラームスに入るという選曲になっている。ありそうでない、センス。素晴らしい。

シフのブラームスは、端正。
「ブラームスは過去の大作曲家であったヘンデルに対する絶対的な敬愛と、偉大なるバッハが残した対位法の技法を、完全に結び付けたといえる」と細川節子が言うとおり、シフは古典的な均整をかたくなに守りつつ、行間に深い情緒を纏わせている。

25番目の変奏は、全体的にスタッカートを強調して躍動感を生み出している。アタッカで入るフーガも同様で、軽やかにして明晰。シフはこの演奏で、幅の広さよりもフォームの美しさを浮き立たせようとしているふうに窺える。

ヘンデル・ヴァリエーション、このピアノも、いい。


1994年12月、アムステルダム・コンセルトヘボウでのライヴ録音。





ma
 
カフェでいっぷく。





重版できました。




「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!







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Comment

ロマン派風とは一味違って - yoshimi

こんばんは。
シフのヘンデル変奏曲、軽やかで上品で古典的な端正な佇まいがとても素敵ですね。
音色が甘くて砂糖菓子みたいです。
いつも聴く重量感のあるブラームスとは随分雰囲気が違って、ロマン派からかなり時代を遡ったような曲に聴こえます。

CDの最後には、珍しいレーガーの変奏曲のライブも入ってますね。
ゼルキンのBBCライブ録音にも入っていますが、この曲はライブで弾くのも聴くのも大変です。
でも、シフなら軽やかなタッチで弾いているでしょうから、レーガー特有の難渋さを感じないかもしれないですね。
2015.12.12 Sat 00:54 URL [ Edit ]

軽やかでいい。 - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんばんは。
シフのヘンデル変奏曲は、いままで聴いたどの演奏とも違うものでした。彼のピアノはいつも聴き易いと思っていますが、この曲でもそれは裏切らない。
いきり立って、最後のフーガで一発勝負するという感じではないですね。そういう演奏も好きなのですが。

そう、このCDの最後にはレーガーが収録されています。実質的には、これがメインと言った感じの後世であろうと思われます。大曲なので、数回聴いただけでは、よくわかりませんが、凄い曲だという手ごたえを感じます。
ゼルキンもあるのですか。。
興味あります。
2015.12.12 22:25

ご参考 - yoshimi

ゼルキンの録音は、BBC LEGENDSのライブ録音です。
名曲だと思いますし、レーガーは元々好きなのですが、30分近くある鬱々とした短調の重厚な曲なので、気力のあるときにしか聴けません。

Youtubeに音源があります。
https://www.youtube.com/watch?v=dqoOWQsPCY8
2015.12.13 Sun 13:53 URL [ Edit ]

ありがとうございます! - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんばんは。
この曲は、先日のシフのディスクでおそらく初めて聴いたのですが、尋常でないヴォルテージを感じました。レーガーは無伴奏のチェロ曲とか聴いたことあるのですが、やはりピアノ曲がいいようです。もっと多く聴かれても、的な音楽かもしれませんが、なかなか。これは大変な音楽だと思います。
ゼルキン、聴かせて頂きます。
2015.12.13 20:35
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