ハインツ・レーグナー指揮ベルリン放送管弦楽団/チャイコフスキー「白鳥の湖」ハイライトクリスマス・シーズンということで、繁華街だけではなく、民家の庭や玄関口にも華やかな電飾がある。赤や青や緑でサンタクロースなどを飾った光はなかなか綺麗で、とぼとぼ歩く帰り道の目の保養にはなる。ここ数年に見られる傾向である。
しかし、なにかひっかかるのである。
省エネはどうなったのか。
何年かまえに、あれだけマスコミを通じて我々をうんざりさせた省エネは、どこへいったのだろう。
省電力の電化製品が増えてきたから、個人の光熱費には影響がないのかもしれないが、そういう問題ではないだろう。地球の資源には限りがあるのである。原油の量なんて、もはや琵琶湖の5杯分しかないのだから(それが多いのか少ないのか、ぜんぜん実感がわかないのであるが)。
無駄遣いはいかんのである。夜は暗くてよいのである。
…とかいいつつ、夜なべでパソコンを使う私。
レーグナーの「白鳥の湖」は抜粋であるが、ボニングやオーマンディのそれとは選曲が異なる。
彼らの選曲がバレエ音楽のエッセンスを凝縮させて聴きやすくしたものだとすると、レーグナーのものはバレエ音楽というジャンルから一歩離れて、純粋に管弦楽曲として聴かせようとする選曲だと思う。レーグナーの音楽は、暗い情熱に彩られている。細かな表情づけにすこしアクがあり、感情の起伏が大きく劇的で、とてもシンフォニックである。バレリーナが踊ることを前提にした、華麗でリズミカルな音楽ではない。
全部通して聴いた後の感触は、ひとつの交響曲を聴き終えたかのようなもの。手に汗をにぎる迫真感と、重厚な手ごたえがある。
ベルリン放送管は常にみずみずしい音色で耳を和ませてくれる。豪奢さではフィラデルフィアに及ばないが、ソロは朴訥で丁寧であり、合奏にはとても透明感がある。
この指揮者の意図は、「白鳥の湖」という魅力的な素材から、曲を有機的な構成感のあるように絶妙に配置することで、ハイライト版として完結しうる音楽を再構築することだったのではないかと思う。★音楽blogランキング!★にほんブログ村 クラシックブログ無料メルマガ『究極の娯楽 -古典音楽の毒と薬-』 読者登録フォーム
メールアドレスを入力してボタンを押すと登録できます。
PR