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リムスキー・コルサコフ「シェエラザード」 ロストロポーヴィチ指揮パリ管弦楽団
勝手にロシア5人組の日ロシアの5人組というのは面白いネーミングだ。コミックバンドとしても通用しそうな感じである。
当然、日本だけではなく世界的に通用する言葉なのだろう。すごく濃い顔ぶれだと思うのは、みんな酒が強そうだからだろうか。その中のひとりであるムソルグスキーは事実アルコール依存症であったといわれているから、ホンモノである。
国民学派といわれるくらいなので、西洋音楽とはいっても、ロシアという地域に割と密着した音楽作りをしていたということで、西欧寄りであったチャイコフスキーはこの仲間に入っていない。
野球でいえば、コンスタントには打たないけれども、チャンスには強い癖のあるバッターを6番から8番に集めたような顔ぶれだ。
なかでは「展覧会の絵」とか「ボリス・ゴドノフ」を作ったムソルグスキーがやはりアル中の強さを発揮して1歩リードしている感があるが、次にくるのは、ボロディンと激しく争いながらも「シェエラザード」の圧倒的知名度でリムスキー・コルサコフかどうか。若い頃に海軍兵だったという先入観もあるが、このヒトも酒が強そうである。同じ五人組の先輩であるバラキレフの助手を務めていたらしい。
私はけっこう「シェエラザード」が好きである。生意気盛りの若かりし頃は、評論家の意見を鵜呑みにして、「シェエラザードなんて通俗的ではないか」、などとのたまって、あまり聴いているようなそぶりは見せなかったが、このところよく聴いているし、実は前からひそかに聴いていた。
ひそかにしなくてもいいのだけど。
いろいろな演奏を聴いてきたけど、印象に残るのはロストロポーヴィチがパリ管を振ったものと、マゼール/クリーヴランドの演奏だ。マゼール盤は、後年にベルリン・フィルとやったものも良くて、むしろこちらはオーソドックスな演奏としてとても完成度が高いのだが、クリーヴランドとのものは非常に独特だった。贅肉どころか肉そのものがない、ガイコツ人間のようにスリムな音楽で、その異常なまでの潔癖さはあまりに異様な光景だった。
一方、ロストロポーヴィチ盤は、すごく濃い演奏。土俗的というかウォッカの香りというかシベリアの極寒地帯というかコサック踊りというか、まあ私がイメージする「ロシア」という国をぎゅっと凝縮させたような濃ーくて激しい演奏なのである。それを、アメリカとかイギリスの、いわばインターナショナルなオケから引き出すならまだしも、気分屋の集団でありどちらかといえば洗練された音楽を聴かせてくれるパリ管弦楽団からこんな土くさい表情を出すなんて、ロストロポーヴィチの手腕は尋常ではないと思った。PR
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