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"鉄鼠の檻"、バーンスタイン、マーラー"9番"

2013.05.12 - マーラー
 
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マーラー 交響曲第9番 バーンスタイン指揮 イスラエル・フィル




京極夏彦の「鉄鼠の檻」を読む。

箱根にある由緒のある宿で、僧侶の遺体が発見される。たまたまその宿に滞在していた雑誌記者たちがその不可解な死をめぐって事件の解明に乗り出す。その僧侶は山奥の寺の住職であることが判明するが解決は困難を極め、警察もお手上げ状態。そんなときに第2の殺人が起こる。

二段組みで800ページ近くある長編だが、飽きさせない。途中に挿入されている妖怪の挿絵も面白い。ことに、最後の100ページは痛快であり一気に読まさせられる。
古書店の店主であり陰陽師でもある京極堂の、知識に裏打ちされた推理が切れ味いい。

ちなみにこの「鉄鼠の檻」は、京極堂シリーズの4作目であるとのこと。順番を間違えた。1作目から読んでみたい。












バーンスタインのマーラー交響曲第9番を聴く。

私の知る限り、バーンスタインはこの曲を5回、正規録音で残している。

1965年 ニューヨーク・フィル
1971年 ウィーン・フィル
1979年 ベルリン・フィル
1985年 ロイヤル・コンセルトヘボウ管
1985年 イスラエル・フィル

このなかでウイーン・フィルとのものはまだ聴いていないのだが、今回取り上げるイスラエル・フィルとのものが、おそらく一番激しいと思われる。

私は1985年の9月8日に、NHKホールで同じコンビによるこのマーラーを聴いている。当該録音は、そのわずか2週間ばかり前に演奏されたものである。東京でのライヴの録音は公表されていないので、この録音はNHKホールで演奏されたものに一番近いものといっていいのだと考えられる。そういう意味でも価値はあるし、単独で聴いたってもちろんある意味で群を抜いた演奏であろう。

この演奏は、ひとことで言うと、バーンスタインのやりたい放題である。自在に変化するテンポ、濃厚な味つけ、思わぬパートの強調、そして(これは演奏には関係ないが)指揮台を踏みつける足音。

そのなかでも1楽章は比較的おとなしいかもしれない。ゆったりとしたテンポで粘っこく鳴らせているし、テンポもけっこういじっているが、そう違和感はない。ティンパニの強打はじつに効果的。
2楽章はとても活力に溢れている。切れば血が激しく迸るような熱気を孕んでいる。第1主題のなかで副声部のホルンやクラリネットを咆哮させるなんて、他の誰もやらないだろう。全体的に、木管楽器を強調している。その結果、音響がとても立体的になっている。NHKホールでもそうだったろうか、覚えていない。
3楽章の出だしでトランペットの短いファンファーレのあとに長い間をとるのはバーンスタインの専売特許だが、この演奏はさほど長くない。勢いが勝っているためか? ラストはアッチェレランドをかけるわブレーキをかけるわ、すごいことになっている。なんとも激しい。
激しいといえば一番激しいのは終楽章。とてもゆっくりとしたテンポで悠々と流れていくが、弦楽器群は常に悲鳴をあげている。それはあたかも、もがき苦しんで叫んでいるようだ。それはもちろんこの世のもののはずなんだけど、浮世離れした感覚を持たされる。
くだんの2度目のファゴットは、低弦と共に厳かに鳴らされる。この個所はカラヤンのライヴが凄いと思っているが、この演奏もそうとうに鬼気迫るものがある。
ラストは、掠れた声を抑えながらすすり泣くように、ゆっくりと消え入る。

バチ当たりな欲を言えば、録音が鮮明であればもっと良かった。イスラエル・フィルの弦の美しさを感じたかった。



1985年8月25日、テル・アヴィブ、ザ・マン・オーディトリアムでのライヴ録音。












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Comment

京極堂 - garjyu

こんばんは。

京極堂(百鬼夜行)シリーズは無類に面白いですね。
私は1作目の“姑獲鳥の夏”から読みはじめましたが、人に薦めるときは、 榎木津が主役をはっている
“陽性”な短編集(とは言っても、普通の人の長編並のボリュームがあります。)“百器徒然袋”の2冊を、その後に、最高傑作、2作目の“魍魎の匣”という順番に読んでもらうようにしてもらってます。これであなたも京極堂ファミリー(もしくは薔薇十字の一味)になれます。

2013.05.12 Sun 21:56 URL [ Edit ]

分厚いけれども読みやすい - 管理人:芳野達司

garjyuさん、こんばんは。

私は今回初めてこの作家の小説を読みました。シリーズの順番を間違えていましたが、さほど違和感なく読むことができました。
今さらですが、「姑獲鳥の夏」を読み始めています。
榎木津は本作でも登場していますが、かなりインパクトのあるキャラクターですね。“百器徒然袋”の2冊、“魍魎の匣”もいずれ読んでみますね。
ご紹介ありがとうございます。
2013.05.13 21:21

無題 - Yuniko

こんばんは。
バーンスタイン&イスラエル・フィルの来日ライヴは今でも語りぐさになっている名演でしたね。と言いつつ、私はそのライヴは聴いていないのですが。
でも、当時の音楽雑誌の記事や読者投稿、作家のクラシックエッセイなどでその演奏会のすごさが繰り返し繰り返し書かれていました。
NHKにテープは残っていると思うし、バーンスタインはカラヤンほどには放送録音の商業発売にはうるさくないと思われるので、ぜひ来日ライヴも発売してほしいですね。

高校時代の友人がマーラー好きで、教えられるままにクーベリックやワルター、バーンスタイン新盤、カラヤンの選集などを聴いてきましたが、私の愚耳にはマーラーは苦手です。
ワルターを聴いてもダメだったとなると私のマーラー理解は絶望かなと思えますが、一縷の望みをかけてバーンスタイン旧盤はどうだろうなどと考えています。
2013.05.12 Sun 23:15 [ Edit ]

バーンスタインのマーラー - 管理人:芳野達司

Yunikoさん、こんばんは。

バーンスタインとイスラエル・フィルの来日ライヴに比べると、この録音のほうがアンサンブルの精度は高いように思いました。粘着力というか熱気、そして緊張感は同じくらいのレベルなのではないかと。
といいつつ記憶は定かでないので、85年の来日ライヴも発売してほしいですね。

>高校時代の友人がマーラー好きで、教えられるままにクーベリックやワルター、バーンスタイン新盤、カラヤンの選集などを聴いてきましたが、私の愚耳にはマーラーは苦手です。

クーベリックやバーンスタインのマーラーは素晴らしいですね。これは好みですが、全体を通してみると、私はショルティのマーラーが好きです。ロンドン響との旧盤もいいし、シカゴの新盤も素晴らしいものだと思います。とても明晰な演奏が、鮮明な録音で聴くことができます。
2013.05.13 21:30

こんにちは〜 - rudolf2006

ポンコツスクーターさま こんにちは〜

ご無沙汰しております。
バーンスタインとイスラエル・フィルの来日は、85年だったのですね、私も他の会場で聴きました
凄い演奏だったとの記憶はありますが、もう忘れているかもしれません
ただ、弦楽器が美しかったこと、それに最終楽章でのハープの音、それに最後のところので、ドンドンと遅くなっていく感じを覚えているのですが〜
果たして、記憶が確かかどうか〜

ミ(`w´彡)
2013.05.13 Mon 11:59 URL [ Edit ]

バーンスタインの来日公演 - 管理人:芳野達司

rudolf2006さん、こんにちは。
こちらこそご無沙汰しております。

私は東京で聴いたのですが、細部は忘れています。このディスクを聴いて「ああ、こんなだったかなあ」などと感慨にふけっていました。
イスラエルの弦が素晴らしく美しかったこと、そして終楽章のラストでドンドンと遅くなっていく感じ、そのあたりは鮮明に覚えています。
ことに後者は、このディスクでも味わうことができます。終楽章だけで30分をかけていますが、その多くはラストに費やされているのじゃないかと感じました。
2013.05.13 21:37
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