忍者ブログ

テンシュテットのマーラー「交響曲第8番」

2007.04.04 - マーラー

8

マーラー 交響曲第8番 クラウス・テンシュテット指揮ロンドン・フィル、合唱団、テフィン児童合唱団 他


先週末は花見日和だったけど、今週に入ってからはまるで冬に戻ったような寒さである。
今日に至っては都心に雪。この時期に雪が降るのは過去にもあったような気がするけれど、暖冬と騒がれていた今年にまさか降るとはちょっとビックリ。
そして、雷雨。ちょうど外を歩いているとき、ゴロゴロ鳴り始め、やがて大雨となった。
ライヴで雷雨。

…。




マーラーの交響曲の中で最もニガテなのが、8番である。とりつく島がないほど、巨大で威圧感があり、聴き始めるのにかなり覚悟がいるのだ。
そこで先週からIpodでこの曲を聴いているのだが、やはり私にとっては難関。第1楽章は問題ない。
冒頭の重厚なオルガンの響きから、ラストの大波小波押し寄せる壮大なクライマックスまでを一気呵成に聴きとおすことができる。
それに比べ、第2楽章は難しいし、渋い。渋すぎる。というか、電車の中だと大半聴こえない。
それではイカンと思って、第2楽章だけを改めて家で聴いてみたが、やはり渋いのは変わらない。
でもじっくり聴くと、最初から最後まで静謐で簡素で、さらにいえばうっとりするようなメロディーに溢れている。それは50分以上続くわけだ。
どういう形式で書かれているのか私にはわからないが、この長さがとっつきづらさの主要因であり、CDが売れない原因のひとつではないかと思う。それに「一千人」というニックネームからくる印象と、第2楽章の内容とが激しく乖離しているということもある。
曲そのものは全然悪くないし、むしろマーラーの交響曲のなかでも最も荘厳さに溢れた音楽といってもいいかもしれない。
テンシュテットの演奏は良い。ひとつひとつのフレーズを丁寧に扱っていて、それが細部まで鮮明に聴こえる。静かな部分ではしっとりとした佇まいに詩情を感じるし、独唱も素晴らしく、それぞれの楽章のフィナーレでは、雪景色の中を疾走する蒸気機関車のような重厚なパワーが炸裂している。
EMIの録音はパイプオルガンをメインに低音をよく捉えている。レヴェルが低いので、ボリュームのつまみを通常の1.5倍くらいに合わせるといいみたい。
PR
   Comment(3)   TrackBack()    ▲ENTRY-TOP

Comment

無題 - Niklaus Vogel

吉田さん、こんばんは!
若き日にはだいぶマーラーを聞きましたが(私がクラシック音楽にのめり込んだのは、マーラーゆえにかもしれません)、第8番はいまだに苦手です…。
まったく仰るように第2部が難解なのです。吉田さんは今回、それが見えてきたということでしょうか。私はまだまだのようです…。
2007.04.04 Wed 21:56 URL [ Edit ]

Re:Niklaus Vogelさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

8番はニガテだったのですよ、今まで名盤の誉れ高いショルティ盤を聴いていましたが、ピンときませんでした。曲のせいか演奏のせいか自分の聴き方のせいかよくわかりません。今回、テンシュテットで久々に聴いてみたところ、意外と面白く聴くことができました。
まあ、第2部が長く感じることには変わりありませんが。この曲、聴いていると交響曲であることを忘れます。
改めてショルティ盤、そして他の演奏も聴いてみようかという気になっています。
2007.04.04 22:15

無題 - rudolf2006

吉田さま お早うございます。
いつもコメント、ありがとうございます。

マーラーの8番のシンフォニー第一部は何となく分かるのですが、確かに、第二部は分かりにくいですよね、ゲーテの「ファウスト」からテキストを取ってきているからでしょうか?ただ、私は、法悦の司祭が歌うところ、私はクーベリック盤を聴いていますが、本当に美しいと思います。
テンシュテット盤は、まだ4番しか聴いたことがないんですよ~
ショルティ盤は、LPなんで、聴けません~

ミ(`w´彡)
2007.04.06 Fri 08:00 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

マーラー8番の第二部は難解ですね。ここ最近聴きこんでいるので、ようやく面白くなってきたところです。テンシュテット盤は、名演だと思います。
クーベリック、聴いたことがないので気になります。近々聴いてみようと思っていました。
ゲーテの「ファウスト」も、第2部(でしたか、後半の部分)は大変難しく、今の私の手には負えませんでした(笑)。
テンシュテットのマーラーを、全然タイプが異なりますが、ショルティと並んで気に入っています。
2007.04.06 22:24

無題 - naoping

こんにちは!
マーラーの8番、マーラー好きには人気ないですよね~。しかし、私はマーラーの交響曲の中では8番が一番好きです。だって交響曲としてなんかアヤシイではないですか!形式全く無視だし。
私は、まるで高校野球の応援みたいな演奏だと思うショルティ盤をよく聴いていますが、テンシュテット盤はこの曲で「感動できる」珍しい演奏だな~と思って聴いてました。最近聴いていませんが。
2007.04.07 Sat 10:56 URL [ Edit ]

Re:naopingさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

人気ないですね、8番。私も実はニガテでありました。しかしここのところ半ば意地になって聴いていたせいか、少し面白く聴くことができるようになりました。人間たるもの、たまには精進も必要なのだということを久々に感じました。
第二部の混沌とした世界は、「大地の歌」とは別の深みにはまっている、いや深みがあるようです。
テンシュテット盤は予想以上にいい演奏と感じました。他の演奏も聴きたくなり、まずは棚に眠っているショルティ盤をきき返そうかと思っています。
2007.04.07 15:15
コメントタイトル:
投稿者名:
Mail:
URL:
投稿内容:
Password: ※1
Secret: 管理者にだけ表示を許可する※2
※1 パスワードを設定するとご自分が投稿した記事を編集することができます。
※2 チェックを入れると管理者のみが見ることのできるメッセージが送れます。

TrackBack

この記事へのトラックバック
TrackBackURL
  →
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
ポチっとお願いします(´_`\)  ↓ ↓ ↓
最新コメント
カッチェン、フロマン、ブラームス"ピアノ協奏曲2番" from:Yoshimi
-11/16(Thu) -
フルニエ、フィルクスニー、ブラームス"1番" from:老究の散策クラシック限定篇
-03/18(Sat) -
ゼルキン、オーマンディ、ブラームス"1番" from:老究の散策クラシック限定篇
-02/20(Mon) -
ゼルキン、オーマンディ、ブラームス"1番" from:“スケルツォ倶楽部”発起人
-02/20(Mon) -
古典四重奏団、ベートーヴェン、15,13"大フーガ" from:老究の散策クラシック限定篇
-10/30(Sun) -
最新TB
カテゴリー