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クレンペラーのマーラー「大地の歌」

2006.12.24 - マーラー

クレンペラー

クレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管/「マーラー「大地の歌」


学生時代までは、1年のうちで今の時期が一番好きだった。クリスマスから正月にかけての浮き立つような雰囲気と、なによりも学校が休みなのが嬉しかったのだ。
会社勤めをしている今でも年末年始が休みなのは変わらないが、クリスマス・プレゼントにしてもお年玉にしても、最近は支出のほうが圧倒的に多いわけで、あまり愉快ではないのである。また休みといっても歳を重ねるごとに1日の過ぎ去る時間が短くなってゆくものだから、正月休みが明けるのは早い早い。
ズルズルダラダラと酔っ払っていたかと思えば、もう出社の朝になってしまうものだから油断できない。
休みの時間というのは本当に短いものである。無常を感じるのだ。

無常といえば「大地の歌」(無理やり)。
クレンペラーのこの有名な録音は、歌手を聴くべきものだとよくいわれる。オーケストラはときどきミスもあるし、言われてみれば今ひとつやる気がないように聴こえる。でも今回聴いてみると、オケもそう悪くはない。
終楽章のオーボエやフルートの虚無的な響きは、なんともいえない味がある。
確かに全体に厚みというかふくよかさは感じられないが、室内楽的な精緻さを達成しえているので、これはこれでひとつのやり方である。
クレンペラーという指揮者は普段から覇気のある演奏をする芸風ではないので、いつもどおりといえばそれまでであるが、特にこの曲に対しては伴奏に徹しているのかもしれない。なにしろ歌手が良すぎるから。
2人の歌手は素晴らしすぎて参る。いまさら言うまでもないことであるが。ヴンダーリヒは安定感と深みがあり、声量、輝かしさも申し分ない。ルートヴィヒは、やや暗い暖色系の声でもって、情感たっぷりに広がりのある音楽を紡ぎあげている。
今の気分でマーラーの演奏家ベストスリーを選ぶとしたら、ショルティ、バーンスタイン、ルートヴィヒ、ということになる。褒めすぎか。

この演奏には、濃くて渋めのカベルネで。



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Comment

無題 - ピースうさぎ

クレンペラーのこのディスクは本当に素晴らしいですね。私は昨年はじめてこの演奏を聴いて、感動しました。
ルードヴィヒがあまりに凄すぎてちょっと言葉がありません。。
TBしておきました。よろしければご覧ください。
2006.12.25 Mon 00:32 URL [ Edit ]

Re:ピースうさぎさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

TBありがとうございます。
このディスクはもう、間違いないですね。この曲に対して、若い頃はあまりピンときませんでしたが、30過ぎからまるで天命のように(?)ぞわぞわきました。
クレンペラーの虚無的な音色のセンスと、2人の歌手ののびやかな歌いぶりが対照的です。
歌詞を読みながら聴くと、またいいですねー。
2006.12.25 00:46

無題 - しじみ

え!?ヴンダーリヒってフリッツ・ヴンダーリヒのことですか?私が愛して止まないテノール歌手のことでしょうか?うーむ・・・今までヴンダーリヒのソロ・アルバムにばかり目が向いていて見逃していました。情報、ありがとうございました。すぐさま「買い」です!
2006.12.25 Mon 00:41 URL [ Edit ]

Re:しじみさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

そうです。事故で早世したあのフリッツです。
ソロ・アルバムは素晴らしいです。さらに、このマーラー「大地の歌」では、青春の希望と挫折と、ジンセイの奈落の底をクレンペラーのもとで完璧に歌いきっています。
絶品です。歌詞を読みながら聴くとまた深く感銘を感じられることでしょう。様様な意味で満ち足りた時間をお約束できます。
2006.12.25 00:54

無題 - rudolf2006

メリークリスマス♪
吉田さま、いつもありがとうございます。クレンペラーの「大地の歌」はまだ聴いたことがありません。最近は、オーマンディ盤ばかりです。オケストラの音があれほど入っている録音は、私はしりません。

愉しいクリスマスを♪♪
ミ(`w´)彡 
2006.12.25 Mon 06:04 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

クリスマスですね。
私は相変わらず飲んだくれておりまして、普段の日々とのメリハリがありません(笑)。
クレンペラーのこの盤はお奨めです。歌手が素晴らしいです。終楽章には深い寂寥感があります。
rudolf2006さんも、楽しいクリスマスを(あとわずかではありますが)お過ごしください!
2006.12.25 22:25

無題 - mozart1889

吉田さん、こんにちは。
クレンペラーの「大地の歌」、最高ですね。クレンペラーの指揮で聴いていると、得体の知れない深淵をのぞき込むような、ゾクゾク感があります。
そして何より、フリッツ・ヴンダーリッヒの歌唱が素晴らしいです。古今無双の絶唱ですね。
2006.12.25 Mon 17:06 URL [ Edit ]

Re:mozart1889さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

TBありがとうございます。
貴ブログ拝見させていただきまして、同意見です。
ヴンダーリヒ、ルートヴィヒは素晴らしいの一言ですが、彼らの素晴らしさは、クレンペラーが引き出したのかも知れませんね。管弦楽は決して豪華ではありませんが、渋くてワビサビを感じます。
2006.12.25 22:28
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