忍者ブログ

"日本文化論のインチキ"、ボロディンSQ、ベートーヴェン"15番"

2016.04.05 - ベートーヴェン
ma


小谷野敦の「日本文化論のインチキ」を読む。


「『恋愛』という言葉が、明治期に作られた、というのはいい。これは事実である。しかし、だから恋愛に当たる概念は明治以前にはなかったというのは、おかしいのである。これは土居健郎が『甘え』に当たる語は西洋にはないから、と言ったのと同じで、たとえば『非モテ』という言葉がない時代にも『非モテ』な男女はいたわけである。『セクハラ』という言葉がない時代にもセクハラはあったわけである。」


小谷野の本、相変わらずメニューが盛りだくさんである。ヘーゲル批判からポストモダン思想批判、ユング批判、岸田秀批判、江戸時代はよかった批判、土居健郎批判など、気にくわないものはバサバサと切り捨てる。ぞれぞれ、言いたいことはわかるし、納得する点も多い。
ただ、彼の豊富な知識はとても新著一冊には収まりきらないため、どれも端的すぎる、というか消化不良気味。もったいない。

次作からはもう少しテーマを絞るか、何冊かにわけたほうがよいのではないかと思う。






ボロディン四重奏団の演奏で、ベートーヴェンの弦楽四重奏15番を聴く。

昔に読んだ本で名前は忘れたが、芸術作品の最高峰は何か? というようなアンケートがあって、それをまとめたものがある。「聖書」、ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」、ミケランジェロの「ピエタ」、ゲーテの「ファウスト」、「源氏物語」、キューブリックの「2001年宇宙の旅」、音楽はバッハの「マタイ受難曲」やモーツァルトの「フィガロの結婚」などがあがっていた。そのなかで、ベートーヴェンの14番の四重奏曲を一番に推す人が何人かいたのが印象に残っている。

当時はまだこの曲を聴いたことがなかったが、後年になって面白く聴くことができるようになると、納得はした。ベートーヴェン中期のいきりたったボルテージはそのままで、そしてさらに深堀し、遊びなくギチギチに書かれたこれは作品である。7楽章などはすごくカッコいい。そして、偉い、といえばエライ曲。だから、気軽に聴こうとは思わない。

それに対し、15番の四重奏曲は、もっと親密だ。いつも不機嫌そうなベートーヴェンが微笑んでいる。とくに「リディア旋法による、病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌」と題された3楽章は、とても穏やかで優しく、静かな喜びに満ちあふれている。何度聴いても飽きないし、もっと聴きたい、と感じないわけにいかない。

病というのは腸カタル。一時期悪化してしまい床に伏せ、2楽章まで書いたところで、作曲を中断する。保養地で療養し回復すると、当初は4楽章制を想定したものに、この3楽章を加えて、5楽章制とした。

ボロディン四重奏団の演奏は、たっぷりと抑揚がついていて、滋味がある。要所で素敵なヴィブラートをきかせるコペルマンのヴァイオリンは素晴らしい。
残響を多めにとった録音が柔らかな仕上がりになっている。


ミハイル・コペルマン(vn1)
アンドレイ・アブラメンコフ(vn2)
ドミトリ・シェバリン(va)
ヴァレンティン・ベルリンスキー(vc)


1988年6-7月、サマーセット、チャード、フォード・アビーでの録音。





ma
 
カフェ。







PR
   Comment(0)    ▲ENTRY-TOP

Comment

コメントタイトル:
投稿者名:
Mail:
URL:
投稿内容:
Password: ※1
Secret: 管理者にだけ表示を許可する※2
※1 パスワードを設定するとご自分が投稿した記事を編集することができます。
※2 チェックを入れると管理者のみが見ることのできるメッセージが送れます。
カレンダー
06 2017/07 08
S M T W T F S
3 5 6 7 8
9 10 12
18 20
24 25 26 27 28 29
30 31
ポチっとお願いします(´_`\)  ↓ ↓ ↓
最新コメント
"好色一代男"、クレンペラー、シューマン"4番" from:mobile car seat restraint fitter
-07/25(Tue) -
ロストロポーヴィチ、チャイコフスキー"5番" from:rudolf2006
-07/21(Fri) -
インバル指揮 東京都交響楽団演奏会、"大地の歌" from:アソー
-07/19(Wed) -
恩田陸、"蜜蜂と遠雷" from:本が好き!運営担当
-07/04(Tue) -
恩田陸、"蜜蜂と遠雷" from:yoshimi
-07/01(Sat) -
カテゴリー