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クリュイタンスのベルリオーズ「幻想交響曲」

2008.07.12 - ベルリオーズ


berlioz

ベルリオーズ「幻想交響曲」他 クリュイタンス指揮パリ音楽院管


江上剛の「失格社員」を読む。
サラリーマンが主役の10編の短編からなっている。ストーリーが奇抜でまったく退屈しない。
自分は絶対にこんなことはないなというくらい現実離れしているわりには、妙に生々しさがあるところが、好評判に一役買っているのだろう。
著者による「あとがき」が、11編めの小説仕立てになっているのが面白い。彼の実際のサラリーマン時代のエピソードであるらしいが、小説に劣らぬくらいドラマチックだ。


クリュイタンスとパリ音楽院管の「幻想」。
これはLPで発売当初に、FMでやっていたのを聴いたことがあって、それが長らく忘れられなかったが、このたび廉価で再登場したので、じつに久々に聴きかえしてみた。
軽やかで匂いたつような芳香を放ちながら軽やかに進んでゆく。
最終楽章を聴くまでは、まあフランスのオケの「幻想」だなあと思うくらいで、さほどインパクトのある演奏ではない。
それは、5楽章があまりにも際立って激しいからそう感じるのだろう。
「怒りの日」をチューバで奏するあたりから、なんだかキナくさい雰囲気が漂ってくる。
鐘の音程が、全然合っていない。ズッコケそうになるが、あまりにも堂々としているため、自分が間違っているのではないかと錯覚しそうになる。
怪しい雰囲気はますます濃厚になってゆき、どんどん加速を増して白熱し、最後は大爆発。
ミュンシュの数々の「幻想」が霞むほどだ。
クリュイタンスのライヴの激しさを思い知らされるCDである。
それにしても、今は亡きパリ音楽院管はいい。
ほのかにヴィヴラートのかかったトランペット、激しいヴィヴラートを放つホルン、毅然とした佇まいのオーボエ、ひんやりとした艶のあるコーラングレ、キメの細かいシンバル、すばらしい。

1964年5月、東京での録音。
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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま こんばんは

自宅に舞い戻ってきました
汚いですね、爆〜;;

クリュイタンスの「幻想」ですか
この演奏は日本での演奏旅行のライヴ録音ですね〜。

幻想は、本当に滅多にしか聴くことがありません。戦争は2回やったことがあるんですが〜。

パリのコンセルヴァトワールのオケであった、パリ音楽院オケストラは、昔のフランスの音を聴かせてくれる演奏ですよね〜。
ホルンも、バソンも、ラッパも。管楽器のそれぞれの音、演奏、今ではまったく聴かれなくなっています。

今は、指揮者がほとんど少数で色々なオケストラを掛け持ちしていますよね。それに、ドイツのオケにイギリス人が入るなんて、想像もしなかったですよね〜。

そんなことを思い出しています。
ミ(`w´彡)
2008.07.13 Sun 01:09 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

おかえりなさい。
沖縄、楽しんでこられたようで、なによりです。
私も、どこか遠くへ行ってみたひ。

クリュイタンスの「幻想」は、フィルハーモニアとのスタジオ録音とは、もう全然違う演奏なのが面白いです。
ライヴならではのキズはありますが、それを補って余りある臨場感があります。「幻想」を聴いて久々に手に汗を握りました。

それにしてもすばらしいのはパリ音楽院管。
管楽器の独特の味わいは、音そのものだけで魅せられます。
どうしてこんなにいいものがなくなってしまうのですかね。国際化も、いいことばかりじゃないようです。
2008.07.13 10:05
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