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オーマンディのビゼー「アルルの女」組曲

2007.01.25 - ビゼー

オーマンディ

オーマンディ指揮フィラデルフィア管/ビゼー「カルメン」「アルルの女」組曲


今日の東京地方は快晴であった。会社のビルから外に出ると、陽光が眩しすぎて立ちくらみがしそうであった。雪焼けはよく肌が焼けるというが、確かに冬の太陽は時にとても厳しい。とはいえ、北風もけっこう強く、体感的には寒い1日であった。

そういう凍えるような日には情熱的な音楽を、ということでは別にないが、今日はベートーヴェンを休んで、ビゼーの「アルルの女」を聴いた。
この曲を聴くと、南仏というか南欧のあたたかな雰囲気が充満していて、シアワセな気分になれる。
イワシのオイル漬けなどをつっつきながらワインで喉を潤した、あの昼下がりを思い出す。
なんて。
南欧など行ったことはないのだった。

昔、北国に憧れた時期がある。ノルウェーとかスウェーデンとか。ノーカット(今は言わないか)だからでは断じてない。いや、なくはないか…。
まあとにかく、寒さ=ストイックというものを尊敬していた。グールドの「北国」イメージでもある。
でも、歳を重ねるにつれ、寒いのは少々おっくうになった。
ひどいことに、今となっては寒い国のどこが良いのか理解しがたくなっている始末である。
だから今、南仏なのである。陽光を燦燦と浴びつつワインとビールの昼下がりがいいのである。

ハワイもいいかも知れない。
過去に一度だけハワイに行ったことがある。例によって(?)行くまではバカにしていたが、あそこはいい。
なにしろ暖かいし、きれいな海がある。
そして、どこへ行っても本屋が見当たらなかった。本当はあるのだろうが、私が回った土地には見当たらなかった。
私はどこへゆくにも文庫本を手放せない病気を持っているが、あそこでは本は要らないと思ったくらいである。なにしろ暖かくて、きれいな海があるのだから。
本を読まなくても暮らしてゆける素晴らしい場所が南国たる所以であろう。それがハワイであり、南仏なのである。

…という妄想も、冬の今だからできるのかもしれない。


オーマンディによるこの録音は1975~1976年のRCA録音。金管と木管と弦がハッキリと分離されて聴こえるのは録音の性質であるとともに、オーマンディのこたわりも関係するのかどうか。私はこのコンビの生演奏には
立ち会うことができなかったが、実際にもこういう音がしたのだろうか。各ソロ楽器の響きがとても明瞭に聴こえ、おいしい。
この曲は情熱的という印象のあり、演奏もリズム感のよさを前面に出したものがいくつかあるのだが、この演奏ではオケの微温的で豪奢な響きをベースに、ふくよかで大柄なスケールを出している。それをこうして酔っ払って聴いてみると、単に音の贅沢さに酔いしれる快感を味わうことができる。
オーマンディたちは、思想やイデオロギーは音楽に必要ないよ、と言っているかのようだ。うんうん。



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Comment

無題 - Niklaus Vogel

吉田さん、こんばんは!

この録音はすてきですね。おっしゃるように、暖かい地域に夢を馳せることができます。ただ、あいも変わらず、個人的にはCBSの旧盤により愛着がありますが…(笑)。

「オーマンディたちは、思想やイデオロギーは音楽に必要ないよ、と言っているかのようだ。」

このコンビの録音を評して、まことに名言といえよう(爆)。
2007.01.25 Thu 22:35 URL [ Edit ]

Re:Niklaus Vogelさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

残念なことに、CBS盤は聴いたことがないのです。
私はオーマンディについてあまり詳しくないのですが、CBSとRCAとで聴き比べるのは面白そうです。彼が、年代を経てスタイルを変えていったのかという点と、レコード会社による録音の違いとを楽しめるのじゃないかと思います。
オーマンディは、雑誌などではいい評判を聞かなかったですが、ブログの方たちの評判はいいので気になっています。いつか、この指揮者をまとめて聴きたいものです。
暇はあるのですが…。
2007.01.25 23:09

無題 - rudolf2006

吉田さま お早うございます。

オーマンディ・フィラデルフィアが出ましたね、それもビゼー、私もCBS盤の方が好きですね、演奏自体はオーマンディは、年月が経っても変わっていないように思います。RCAとCBSとで録音の仕方が違うということは大きいかもしれません。
何せ、フィラデルフィアというオケストラは、オーマンディ時代は素晴らしく上手いです。ちょっと比較の対象がないほど、上手いです。
で、私が新しく曲を勉強する時に参考にする演奏は、オーマンディ・フィラデルフィアなんですよ。
ミ(`w´彡)
2007.01.26 Fri 04:05 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

ああー、やはりCBS盤ですか。是非聴かなければなりませんね。
オーマンディのスタイルは年月を経ても変わりませんか。彼はとにかく大量の録音が出ていますが、今まであまり熱心に聴かなかった(チャイコフスキーのバレエを除いて)ので、わかりませんでした。
フィラデルフィアはうまいですね。うまい上に音が豪華です。こんな音を出すオケは、ちょっと他に見当たりません。rudolf2006さんがご参考にするのもなるほどと思います。
2007.01.26 12:24

無題 - mozart1889

吉田さん、こんにちは。
オーマンディ/フィラデルフィア管の演奏は、ホンマに素晴らしいですね。燦めくような金管の音、ふくよかで透明感のある木管、サワっと優しく肌を撫でるような弦楽、それらが見事に溶け合った管弦楽・・・・・。もう、たまらんです。
これでRCAの録音がもう少し良かったら・・・と思うのは欲張りかもしれません。
「カルメン組曲」でTBさせていただきました。同じCDですね。
2007.01.26 Fri 17:25 URL [ Edit ]

Re:mozart1889さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

TBありがとうございます。
昔、CBSの廉価盤シリーズに「セルの芸術1300」と「オーマンディ音の饗宴1300」というのがありましたね。あれを見て「オーマンディは芸術ではないのか」などと思い、敬遠していたことがあります。
それ以来、オーマンディを長い間聴かないようになったのです。
今思うと、もったいないことをしていました。
2007.01.27 00:15
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