オーマンディ指揮フィラデルフィア管/ビゼー「カルメン」「アルルの女」組曲今日の東京地方は快晴であった。会社のビルから外に出ると、陽光が眩しすぎて立ちくらみがしそうであった。雪焼けはよく肌が焼けるというが、確かに冬の太陽は時にとても厳しい。とはいえ、北風もけっこう強く、体感的には寒い1日であった。
そういう凍えるような日には情熱的な音楽を、ということでは別にないが、今日はベートーヴェンを休んで、ビゼーの「アルルの女」を聴いた。
この曲を聴くと、南仏というか南欧のあたたかな雰囲気が充満していて、シアワセな気分になれる。
イワシのオイル漬けなどをつっつきながらワインで喉を潤した、あの昼下がりを思い出す。
なんて。
南欧など行ったことはないのだった。
昔、北国に憧れた時期がある。ノルウェーとかスウェーデンとか。ノーカット(今は言わないか)だからでは断じてない。いや、なくはないか…。
まあとにかく、寒さ=ストイックというものを尊敬していた。グールドの「北国」イメージでもある。
でも、歳を重ねるにつれ、寒いのは少々おっくうになった。
ひどいことに、今となっては寒い国のどこが良いのか理解しがたくなっている始末である。
だから今、南仏なのである。陽光を燦燦と浴びつつワインとビールの昼下がりがいいのである。
ハワイもいいかも知れない。
過去に一度だけハワイに行ったことがある。例によって(?)行くまではバカにしていたが、あそこはいい。
なにしろ暖かいし、きれいな海がある。
そして、どこへ行っても本屋が見当たらなかった。本当はあるのだろうが、私が回った土地には見当たらなかった。
私はどこへゆくにも文庫本を手放せない病気を持っているが、あそこでは本は要らないと思ったくらいである。なにしろ暖かくて、きれいな海があるのだから。
本を読まなくても暮らしてゆける素晴らしい場所が南国たる所以であろう。それがハワイであり、南仏なのである。
…という妄想も、冬の今だからできるのかもしれない。
オーマンディによるこの録音は1975~1976年のRCA録音。金管と木管と弦がハッキリと分離されて聴こえるのは録音の性質であるとともに、オーマンディのこたわりも関係するのかどうか。私はこのコンビの生演奏には
立ち会うことができなかったが、実際にもこういう音がしたのだろうか。各ソロ楽器の響きがとても明瞭に聴こえ、おいしい。
この曲は情熱的という印象のあり、演奏もリズム感のよさを前面に出したものがいくつかあるのだが、この演奏ではオケの微温的で豪奢な響きをベースに、ふくよかで大柄なスケールを出している。それをこうして酔っ払って聴いてみると、単に音の贅沢さに酔いしれる快感を味わうことができる。
オーマンディたちは、思想やイデオロギーは音楽に必要ないよ、と言っているかのようだ。うんうん。★音楽blogランキング!★にほんブログ村 クラシックブログ無料メルマガ『究極の娯楽 -古典音楽の毒と薬-』 読者登録フォーム
メールアドレスを入力してボタンを押すと登録できます。
PR