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ブーレーズのバルトーク「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」

2009.04.11 - バルトーク

bartok

バルトーク「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」 ブーレーズ指揮BBC交響楽団


養老孟司の「読まない力」を読む。
政治嫌いと言っておきながら、政治ネタがけっこう多い。でも、この本の読みどころは環境や自然に関する寸言であるように思う。
『子どもは自然である。意識的に設計したものではないからである。戦後の都市化の過程で、自然は徹底的に破壊されてきた。だから小子化なのである。大切に育てたって、どんなドラ息子になるか、それがわからない。
そんなアテにならないもの、だれが生むか。そんなことをするくらいなら、「ああすれば、こうなる」ものを選ぶ。それが多くの大人の暗黙の合意となった。だから子育てではなく、金儲けに狂奔するのであろう。嫌な世の中である。』
寸言というかグチであろうか。同感ではある。


バルトークの弦チェレ、出会いはキューブリックの『シャイニング』だった。
これを観たときは、クラシック音楽というよりも、この映画のために作られた曲かと思った。
静謐な映像と、精密だけどおどろおどろしい音楽との相性は抜群で、どちらが欠けてもこの映画は成立しない、そのくらいよく合っていたのだ。
怖いという感じはしなかった。むしろ、美しい映像と研ぎ澄まされた音楽を堪能したものだ。
これがバルトークの作曲によるものと知ったのは、このすぐ後だった。
このブーレーズによる演奏、とても乾いている。この曲においては打楽器が重要な役割を占めるけれど、BBC饗の、バケツの底のようなティンパニの音が印象的だ。
ひんやりとした手触りであって、なんとも素朴な響き。
手作りといった感じであり、音楽そのものは厳しいものがあるものの、いま聴くと、どこか牧歌的な演奏でもある。


1967年の録音。

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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま こんにちは

養老さんの「読まない力」、私も読んでいます。人間は、脳が作り出したものだけを信じる傾向があり、自然を忘れている、と言われていますよね。「ああすればこうなる」という考え方を捨てなければいけない、と言い続けておられますよね〜。

宗教学者の山折さんが、日本人が進歩史観を信じるようになったのは最近である、諸行無常をもう一度思い起こせ、と新聞に書かれていました。景気の動向に一喜一憂するな、とも〜。

バルトークの「弦とチェレスタ」アンセルメの演奏で聴いたのですが、まだ良く分かりません。一時期、よくこの曲が録音されていましたよね〜。

ブーレーズの演奏も聴いてみたいと思っていますが、なかなか手が回りません、爆〜。

ミ(`w´彡)
2009.04.12 Sun 12:55 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

いつもコメントありがとうございます。

rudolf2006さんも「読まない力」をお読みですか。
政治家への批判が痛烈な本でした。
宗教学者の山折さんの言葉、含蓄深いものがありますね。景気の動向に一喜一憂するなとはいい言葉です。

デッカから何枚かアンセルメのCDが出ましたね。
今、ラヴェルを聴いています。そのうちに感想を書こうかと思います。
バルトークも面白そうです。買い物籠に入れておきます。
2009.04.12 17:34

無題 - neoros2019

シャイニングですが異常な愛情、2001年、オレンジ、リンドンときてニヒリスト=キューブリック自身が文明批評映像作家という大上段に構えたアーティストという社会的位置づけに息苦しさを感じ映画製作自体の技巧性を楽しんでる感がありました
音楽ですがオリジナルサウンドトラックはカラヤンのものだったと思います
嵌りすぎるほど映像と融合してましたね
2009.04.14 Tue 23:16 URL [ Edit ]

Re:neoros2019さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

シャイニング、封切りを丸の内ピカデリーで観ました。もう30年近くたっていますが、冴え渡る映像美は今もはっきりと思い出すことができます。
音楽の印象も強烈なものでした。
あれはカラヤンの演奏だったのですね。
クラシック音楽を使う映画は数多くありますが、あれほどハマッているものは少ないのじゃないかと思います。
2009.04.15 12:41
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