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ポップのシューマン「歌曲集」

2009.04.12 - シューマン

schumann

シューマン「歌曲集」 ルチア・ポップ(s) ジェフリー・パーソンズ(Pf)


和田秀樹の「人は『感情』から老化する」を読む。
40を過ぎると、前頭葉が縮まってくるらしい。これにより、だんだん好奇心がなくなっていき、なにごとも億劫になるのだという。
人生経験によって蓄積された知能を「結晶性知能」という。つまり、刺激に慣れてしまうということであり、ものごとに対する感心が薄くなってしまうのだ。
だから、歳をとっても強い刺激を求めていけばいい、という。
「ニュースを聞いたときの反応や、会話の中に『そりゃ、そうだよ』という言葉が増えてきたら要注意だ」
いるなあ、こういうヒト。などといいつつ、身に覚えもある。要注意である。


ポップのこのCD、「女の愛と生涯」がメインになっているが、今日はそのほかの歌曲を聴いた。

もう春だ op.79-24
春のよろこび op.125-5
春の挨拶 op.79-4
ゆきのはな op.79-27
はじめての緑 35-4
わたしの庭 op.77-2
ばらよ、かわいいばらよ! op.89-6
愛らしく、やさしいばらやミルテで op.24-9
ミニョン op.79-29
わたしに手をのばして、ああ雲よ op.104-5

どれもいい曲。「愛らしく、やさしいばらやミルテで」は昔から好きな曲。大甘の砂糖菓子。若い方の「リーダークライス」に含まれていて、シュライアーによる歌を気に入っていた。
ポップの細く伸びやかでエロチックな声にもよく合っているように思う。だけど、もっとよいと思ったのは「ミニョン」。
シューマンの憧れ、希望、不安が色濃く描かれていて、聴き応えがありすぎる。そしてポップの声はシューマンの心地のようにほんの少し影がさしていて、ドラマティックですばらしい。

「ごぞんじですか、レモンの花咲く国、
濃い葉陰にはオレンジが実り、
青い空にはさわやかな風が流れ、
ミルテの樹は静かに、月桂樹は高くたたずまう国」

ゲーテでなくとも、行ってみたいものだ。

パーソンズのピアノはいつも通り快調。これ以上望むものは見当たらない。


1980年5月、バイエルンでの録音。
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Comment

無題 - sweetbrier

こんばんは。
シューマンの歌曲集は「ミルテの歌」を1枚持っていて、ほかにアイヒェンドルフの詩による作品のいくつかが、手もとにあります。それだけしか聴いたことがないのに、シューマンの歌曲には馴染み深いような気がしています。言葉の意味が全くわからないのに、情感は伝わってくるように思えて…。
今日エントリーされたCD、視聴しているうちに欲しくなりました。
「愛らしく、やさしいばらやミルテで」、いいですね!
2009.04.12 Sun 21:36 URL [ Edit ]

Re:sweetbrierさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

いつもコメントをありがとうございます。

私もシューマンの歌曲はあまり多くは持っていませんが、なにかとても親しみを感じます。
ドイツリートは幅広いですが、シューベルトと並んでシューマンが馴染みます。
シューマンの音楽からは独特の霊感を感じますが、とくにピアノ曲と歌曲にそれを強く感じます。

「愛らしく、やさしいばらやミルテで」、昔から好きなのです。
「リーダークライス」の作品24のほう(ハイネが作詞したものです)の中の1曲ですが、こってりと甘口、情感がたっぷりです。
シュライアーとディースカウをよく聴きますが、このポップもよいですよ!
2009.04.13 21:43

無題 - rudolf2006

吉田さま こんばんは

和田さんの本をよく読まれていますね〜。
「感情から老ける」というのは分かるような気もします。感動や感激することが少なくなるということでしょうか? 「まぁ、そんなもんや」というのが悪いのでしょうか? 人は誰しも老いるもので、老いと付き合うというのも大切なことかもしれませんね〜。

シューマンのこの歌曲集、吉田さんの紹介で購入したように覚えております。いずれも素晴らしい歌が続き手いますね〜。ゲーテの「ヴィルヘルム・マイスター」の中の、何という一節であったでしょうか?「美しき魂の告白」だったですね、そこにミニョンの歌も出てきたように思うんですよ。「君よ知るや、南の国」有名なのはシュベルトだったでしょうか?
シューマンのこの歌も、良いものですね〜
ルチア・ポップさんの歌声は、いつ聴いても良いですね〜。聴きながら、コメントしました〜。

ミ(`w´彡)
2009.04.12 Sun 22:25 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006xさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

いつもコメントをありがとうございます。

和田秀樹、最近よく読みます。でも、こうした売れっ子作家の本は、どうしてもネタが重複するようで(森永さんもそうでしたが)、買い進めるうちに手の内が読めてしまいます。
なので、次は違うものを読もうかと…。

ポップのこのシューマン集、昔たまたま買ってみて、とてもよかったのですが、彼女は他にシューマンの録音があるのですかね。みたことがないのですが、もしあれば聴きたいですね。

ミニョンは「ヴィルヘルム・マイスター」の中の一節でしたか。曲はもちろん、詩もいいのです。この本、昔からとても気になっているのですが、いまだ読んだことがないのです。挑戦したいところです。
2009.04.13 21:52
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