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アンセルメのバルトーク「弦楽と打楽器、チェレスタのための音楽」

2009.05.02 - バルトーク

bartok

バルトーク 管弦楽曲集 アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団



松本人志監督の「大日本人」を観る。
大日本人の本名は「大佐藤」さん。日本各地に現れる怪獣と戦うことを使命としている家系である。
「自衛隊のほうがいいのじゃないか」との意見が多く、評判はいまひとつ。
赤い怪獣にさんざんやられて、あげくのはてに逃げ去ってしまったときは、皮肉にも視聴率が今までで一番高かった。
各方面から再戦を望まれていたとき、再び赤い怪獣が現れる。たちまちピンチに陥り、老人ホームに入居していた4代目が助けに来るが…。
松本のコントを彷彿とさせる掛け合いがところどころにちりばめられていて、笑える。
ただ、全体的にちょっと冗長で、2時間弱がけっこう長く感じなくもない。
フランスで上映されたときは散々な評判だったらしい。フランス人に関西弁の味はわからないからね。


この曲に、アンセルメの演奏があるとは長らく知らなかった。
私にとってアンセルメといえば、フランスとロシアもののスペシャリストというイメージが強く、ハンガリーの音楽を残しているとは思わなかった。
もっとも、レコード録音を大量に残しているヒトだから、なにをやっていても驚くほどのことじゃないかもしれないけど、まるまるCD二枚分残していれば、なかなかのバルトーク演奏家といえる。
この弦チェレ、先日に聴いたオケコンに負けず劣らずユニークな演奏だ。
今までこの曲が、こんなにほんわかと暖かく演奏されたことがあったのだろうか。
3楽章は、キューブリック監督の「シャイニング」に使われた(neoros2019さん情報ではカラヤンの演奏とのこと)が、白い静謐な映像と相俟った、雪のようなひんやりと冷たい感触の音楽がとても印象的なものだった。
でも、このアンセルメの演奏は「シャイニング」には合わないのじゃないかと思う。
あたかも、ぽかぽかとしたお日様を存分に浴びた樹のように、じんわりと温度の高い演奏なのだ。先鋭的というよりは、ヒューマンな感触。
個々のソリストの技量は高いものの、合奏はギチギチとしていないところが、かえって色彩豊かな味を出しているようだ。
この演奏も、「オケコン」に負けず劣らず面白い。

1957年5月、ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホールでの録音。

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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま こんばんは
連休はいかがお過ごしですか?
そういや家族旅行の写真がこの頃ありませんね〜。
お忙しいのかもしれませんね〜。

松っちゃんは、私はお笑いの天才の一人ではないかと思います。昔のやすし師匠のような破滅型ではありませんが〜。(最近、爆笑問題の太田、これも秀才ではなかろうかと思っています。天下の大学者と会っても、媚びを売るところは皆無で、自分には分からないところを鋭くつくところなど、色々と参考になります。)
きっと、あの笑いは、ユニヴァーサルではないでしょうね〜。そもそも、笑いはユニヴァーサルかどうかも問題ですが〜。映画は観ていませんが〜。

アンセルメ、また出ましたね
これは私ももっているので、聴きながらコメントしております。確かカラヤンもこの曲を入れていたように思うのですが〜。
この曲は、あまり好きではなかったのですが、吉田さんの記事を読んでから聴くと、面白い曲だと〜、爆〜。

昨今はこういう指揮者の演奏があまり出てきませんね、フランス系の指揮者が人材難であることも原因かもしれませんね〜。一時期は、マルティノン、ミュンシュ、クリュイタンス、このアンセルメと綺羅星の如く、フランス系指揮者がいたのですが〜。今は、ブーレーズくらいでしょうか、ちょっと寂しいですね。

確かにこの演奏、ヒューマンな感じがしますね〜。
かなり大音量で聴くと、面白さが倍増する感じがします。

ミ(`w´彡)
2009.05.05 Tue 18:59 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

いつもコメントをありがとうございます。
今回の連休は、ど真ん中に出社日があったせいもあり、遠出せずに過ごしています。
1日だけ横浜へ野球を観にいって、あとはゴロゴロ読書したりしています。

確かに松っちゃんは、お笑いの天才かもしれません。最近年末に放送している「笑ってはいけない」シリーズを、先週DVD借りて観てしまいました^^
「大日本人」は映画としてはどうかなーと思いますが、笑いどころはたくさんあります。

アンセルメのこのCDは、rudolf2006さんの記事を読んで面白そうだと思い、購入しました。
面白さでいえば、ショルティやカラヤンよりも面白かったです。なんというか素朴な温かさに満ちていて、こんなバルトークがあったのかとオドロキました。
アンセルメを今まで聴いてこなかったのは、吉田秀和の「世界の指揮者」に載っていないことが要因なのです。なんだ、一流じゃないのか、と。
でも、こうしてじっくり聴いてみると、実にいいものでした。
アンセルメの他の演奏を聴くのが楽しみになっています。
2009.05.06 09:26

無題 - neoros2019

今、実家から持ち出したシャイニングのオリジナルサウンドトラックを手にしてます
間違いなくカラヤン/BPOBYドイツグラモフォンの記載があります
蛇足ですが、やっぱり他の使用楽曲はエクソシストと同様にペンデレツキで作曲者自身の指揮ポーランド国営放響となってます
2009.05.06 Wed 20:34 URL [ Edit ]

Re:neoros2019さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。
「シャイニング」、封切りに足を運んで以来、名画座それからビデオと何度か観ました。
怖いというよりも綺麗な映像と音楽が印象的な映画です。
バルトークのほかはペンデレツキでしたか。それは覚えておりませんでした。
サントラにはビデオやDVDと違う面白さがありますね。
2009.05.09 10:03
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