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バーンスタインのハイドン「交響曲第82番"熊"」

2010.11.03 - ハイドン
  
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レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル


松下幸之助の「物の見方 考え方」を読む。
松下幸之助の著作を読むのは初めて。戦後の経済復興を支えた立役者でありつつ、人徳者としても名高いゆえに、なんだか恐れ多いし、高みから説教をされそうで、いまひとつ食指が動かなかったのだ。
読んでみると、いちいちあたりまえのことばかり言っているようでありながら、心にじんわり重くのしかかってくる。それは、文章が簡潔であることもあるし、著者が感じていること思っていることを、脚色なしに正直に書かれていることが、感覚的にわかるからだろうと思う。
著者の会社に対する思いを引用する。
「それにしてもまず必要なのは衣食を足らすことである。一つの会社で衣食住全部を製造することはできない。もしそれが住に関する仕事なら、住の中の一部分のものを満たしていく。食に関するものなら、食の一部を、というふうに皆を衣食足らし、その上で真人間にする。これがわれわれの仕事の目的である。会社とは聖人の製造所だ。」
真人間とか聖人とか、ビジネス書にはあまり見かけない言葉である。でも不思議に嫌味がない。大げさに感じない。むしろ共感する。彼が実際に達成しているからという事実の重みなのだろう。オビばかりが刺激的な心理学者やIT社長の本とは一味違う。


ハイドンのシンフォニーを、これまであまり聴いてこなかった。LPと合わせても両手に満たないくらいだ。その中にはバーンスタイン/ニューヨークの録音も含まれていて、なかなかいいなあといった記憶が、やけに遠い昔のことのようで色褪せているのだった。ハイドンであればむしろ、端正でわかりやすい弦楽四重奏、それに最近よさがわかってきたピアノソナタあたりのほうを比較的聴いている。
そこに、バーンスタインのシンフォニー・エディションが登場。正直言ってハイドンは眼中になかったが、このセットには7枚も含まれている。マーラーの次に多い。全曲を網羅しているベートーヴェンやチャイコフスキーよりも多い。こりゃ、一生かかっても聴ききれないなあと思いつつ、ネットサーフィンのBGMくらいならいいだろうなんて軽薄な心構えで聴いてみたわけだ。われながら、面妖な行動である。
「熊」。なんなんだ、このはち切れんばかりのイキの良さは。登場する楽器がことごとく活気に溢れていて躍動感にみち満ちている。身体中の血のめぐりが二倍速になったような興奮。アンサンブルが特に傑出しているわけではないものの、一気呵成の推進力とピチピチはずむ弾力感が抜群なのだ。赤ちゃんの肌か。もしもカルロス・クライバーが満を持してこの曲を振ったとしても、これだけの高みには行き着かないかもしれない。
バーンスタインの、これはホームラン。マーラーを振ったものよりも、むしろ楽しそう。


1962年5月、ニューヨーク、マンハッタン・センターでの録音。
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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま こんばんは

幸之助さんの本 いまだに読んだことがありません。
吉田さんが書かれているところからだけの判断ですが、やはり、実際に「松下一家」と言われる企業団体を作り上げた人の言葉は重いということでしょうか〜。今はその松下も、松下翁の考えからは遠く離れているのかもしれませんね〜。

バーンスタインのハイドン 良いものですよね
これまで聴いてきたハイドンの中では、カザルスの演奏と並ぶものではないかなと思っています。自由な発想によるハイドン、ハイドンの作品は色々なアプローチを許す許容度が高いように思いますね〜

▼・。・▼
2010.11.03 Wed 18:47 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

松下幸之助の本 淡々と描かれていて、かつ、じわりと重厚です。常に社員のこと、ひいては生活する人の視点に立った経営ではないかと感じました。これ一冊しか読んでいないのですが、戦後の日本を立て直した企業人の考えの一端を知ったように思います。

やはりバーンスタインのハイドンは良いですか!
「熊」という曲、他の演奏を聴いたことがないのでなんとも比較しがたいといいつつ、これはいい演奏だと思いました。なんともイキのよいものです。カザルスもよいものなのですね。
2010.11.03 23:20

ドラティのハイドン全集 - neoros2019

御茶ノ水ディスクユニオンでモーツァルトの他のCDとのまとめ買いが功を奏したのか1割引きになり33枚組ものCDセットが5千円を切ってしまいました。(最もタワレコで数年前再発7千円で出ていたらしい)
この録音はYOUTUBEで聴くことが可能なのですが、さっそく第1番から自宅の装置で鳴らしてみました。
実は私は‘57ビーチャム/ロイヤルフィルの『軍隊』や故ウノ先生が大騒ぎしたアーベントロート『V字』や―演奏が誰のだったか忘れましたがFM等で『驚愕』『時計』『オックスフォード』『太鼓連打』『ロンドン』など常識的な範囲で耳にしてきた経緯はあるのですが
ただの一度も感動に至った事はありませんでした。
しかし、このドラティ盤を3枚、5枚、10枚とCDセットを聴き及んでゆく過程で録音(もしくはリマスタリング)の秀逸さを認めざるをえないことを確認しました。
ダイレクトリマスター仕様のスウィトナーの魔笛やドイツハルモニアムンディのコレギウムアウレムのバッハものとほぼ同格の音質です。
1番から30番台の作品群に抑制と気品と推進性に溢れた曲がひしめいていて、ヘンデルやバッハの器楽系合奏曲からモーツァルトを産む決定的な重要な地合いはハイドンによって成されたんだという音楽史を再認識できることが喜びです。
ドラティの偉大なる業績並びに英デッカ録音スタッフにはただただ頭が下がるおもいです。
2016.09.02 Fri 18:10 URL [ Edit ]

おお、これは凄い!! - 管理人:芳野達司

neoros2019さん、こんにちは。
ドラティのハイドン全集は、現在廃盤であると伝え聴いていましたが、ユニオンにありましたか。それはとてもとてもラッキーですね。
ハイドンの交響曲は、バーンスタインの選集とビーチャムくらいしか聴いていません。知性が高く端正な作品であるということはわかりつつも、いまひとつ他の演奏を聴き比べるという気にまではなりません。
ドラティの演奏は昔から定評あるものですね。録音も向上しているのですね。30番台なんて、聴いたことないなあ。。。
聴いてみたいです。
2016.09.03 11:39
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