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"死の蔵書"、オーマンディ、"冬の日の幻想"

2014.11.07 - チャイコフスキー

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ジョン・ダニング(宮脇孝雄訳)の「死の蔵書」を読む。

古書の掘り出し屋が殺される。この事件を、無類の本好きであるジョーンウェイ刑事が担当するが、いざこざに巻き込まれ、意外な展開が繰り広げられる。

ここで登場する「掘り出し屋」とは、ブックオフで入手した本をamazonで売るというようなセドリではなく、数百ドルから数千ドルといった値がつく古書を取り扱う商売をする人のことを指している。
対象となる本は、ヘミングウェーやポーやフィッツジェラルドといった作家たちの初版本。こうした本を、状態のいいままで大量に保管しているコレクターが存在するのだが、彼らが物語のキーポイントになっている。
古書に関するうんちくが楽しく、また推理ものとしてもしっかり構成されているので、500ページを楽しくあっという間に読むことができる。

上質なミステリーである。








オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏で、チャイコフスキーの交響曲1番「冬の日の幻想」を聴く。

これは予想以上に素晴らしい演奏。これまで「冬の日の幻想」といえば、スマートなティルソン・トーマス盤や泥臭いロストロポーヴィチ盤、豪奢なカラヤン盤、軟投のプレトニョフ盤などが印象に残っているが、これはなかでもトップクラスに入れなければならないだろう。

まず、ソロ楽器がいい。オーボエは哀しみを湛えながらも芯がしっかりしているし、フルートは重厚だし、ファゴットは表情豊かだし、クラリネットは滋味あふれているし、トランペットは輝かしいし、ホルンには哀愁が漂っている。チャイコフスキーもまた、演出上手なのである。
それから、弦楽器群。艶やかな高音からたっぷりと厚い低音までムラなくよく鳴っている。ピチカートはガッツリ太い。男前。
ティンパニのうまさにも触れる必要があるだろう。おそらく、オーマンディの解釈で通常の楽譜にははいっていない箇所にもティンパニを打ちこませていると思われるが、なかなか効果的。金管楽器と溶け合うところはもちろん、弦楽器ともよく混ざり合っており、いい音を出している。

2楽章では、弦楽器にわずかなポルタメントをかけており、少し古めかしい感じがして面白い。現代的なオーケストラの響きとの対照がユニークなのである。そのあたり、オーマンディは19世紀生まれの人なのだということを改めて思う。

このBOX、まだこの1枚しか聴いていないが、これを含めた交響曲の全曲と協奏曲の全曲、三大バレエ音楽のハイライトなどの管弦楽曲が12枚にぎっしりつまっている。HMVだと3000円しないで買うことができる。
死ぬほど安いといっても過言ではなかろう。


1976年の録音。




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ワイルドフラワーの絨毯。












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Comment

いつもダジャレでお邪魔しております - リベラ33

ども。オーマンディはRCAにチャイコフスキーの全集を入れていますが、1番から3番の演奏が抜けてますね。特に3番の冒頭の充実ぶりは当時の実力を伺える良いサンプルだと思います。
今日はお休みですか?私は有給です。
山井が残留してくれてほっとしましたよ。
2014.11.07 Fri 16:27 URL [ Edit ]

最近不調で←いつもだろが! - 管理人:芳野達司

これはこれは。
ここ最近は中古CDに凝っていたので、オーマンディを確保するのに遅くなってしまいました。限定版じゃなくて良かった。あれから弦楽セレナードも聴きましたが、たまりません。

昨日から月曜まで休みです。ヒマなのでギャグでもひねり出そうかと。
昌は現状維持。ローテーションに入って欲しいものです。
2014.11.08 11:57

読みました、が・・・ - 木曽のあばら屋

こんにちは。
「死の蔵書」は、何年か前にずいぶん話題になりましたね。
私も読んで面白かった記憶がありますが、じつは内容ほとんど憶えていません。
いま読み返したら新鮮な気持ちで読める自信があります。

オーマンディは、チャイコフスキーの「交響曲第7番」なんてのも
録音していますね、これがなかなか面白い曲で・・・。
2014.11.07 Fri 21:10 URL [ Edit ]

やはり。 - 管理人:芳野達司

この本、ずっと前から気にかけていたのですが、なにぶん分厚いので気が引けていました。ようやく機が熟したこともあり(なんの?)購入しました。
登場する作家の、半分は知らない人でしたが、楽しく読めました。
創元社の復刻本は、よりどりみどりで、なにから手を出していいのか悩みます。。

チャイコフスキーの7番は聴いたことがないのです。1から順番に聴いていくので、来週にはたどりつきそう。楽しみです。
2014.11.08 12:02
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