イストミンのピアノ、オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏で、チャイコフスキーのピアノ協奏曲1番を聴く。
冒頭に奏されるホルンが、スタッカート気味に切り刻んで吹かれるのを聴いて、少し驚いた。いつも聴いているホルンとは違う。その後も、オーケストラは心もち速めで、切れ味よく進む。
これは、オーマンディがイストミンのスタイルにあわせたからではないか。イストミンのピアノは、硬くて軽い。それに対してオーケストラを厚くするのは、バランスが悪いし、野暮。そう考えていたのじゃないだろうか。
イストミンのピアノは、相変わらず小気味がいい。硬質で透明な、艶やかな音でもって端正な音楽を紡ぎあげている。この曲をやるのにありがちなケレン味はいっさいなく、いたって自然。
オーマンディのオーケストラは盤石。イストミンにぴったり合わせつつ、チャイコフスキーのオーケストレーションの輝かしさを十全に繰り広げている。
録音も優秀。
1959年4月、フィラデルフィア、ブロードウッド・ホテルでの録音。
果物屋さん。
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