クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団の演奏で、シューベルトの交響曲8番「グレイト」を聴く(1960年11月、ロンドン、キングズウェイ・ホールでの録音)。
この演奏はLPで持っている。けれど、最近はレコードをほとんど聴かないから、CDがあれば専らそっちを聴く。
数十年ぶりに聴いて、覚えているところと忘れ去っているところがある。
第1楽章の第1主題がゆっくりなところは忘れようがない。この演奏を聴いたのは、ジュリーニがシカゴ交響楽団を指揮したレコードの後なのだけど、ジュリーニのあそこのテンポの遅さ(もちろん、レガートはジュリーニ独自のものだが)はこのクレンペラー盤に影響を受けてのものじゃないだろうか、と邪推したもので、だから余計に覚えている。ああ、懐かしい。
逆に新たな発見は2点。ヴァイオリンの対抗配置が全曲を通して、実に効果的なこと。高校生の頃は対抗配置という概念がなかったのだ。だから実際に右手から音が発信されていても、ヴィオラかなにかだと思っていたのだろう。
もうひとつは、4楽章の最後をディミヌエンド(だんだん弱く)していること。同じような話だけど、クレンペラー盤より前にショルティがウイーン・フィルを指揮したLPを聴いていた。ショルティのディミヌエンドは、当時はけっこうな反響をもって迎えられていたはずで、自分も驚いた。
その後は、ピリオドを始めとして、スコアを原点回帰的にみるようになったから珍しいことではなくなったけれど。
ショルティ盤の20年以上前に、ディミヌエンドの演奏があったことが、軽い驚きである。さすがクレンペラー。
パースのビッグムーン。
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