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"恋しくて"、ペルノー、オッフェンバック"チェロ協奏曲"

2013.10.20 - オッフェンバック

ma




村上春樹が翻訳・編集した「恋しくて」を読む。

マイリー・メロイの「愛し合う二人に代わって」は幼馴染のふたりが代理結婚を重ねながら、お互い紆余曲折を経て人生に立ち向かう話。ど真ん中ストレートの恋愛小説。これは、好きだ。

デヴィッド・クレーンズの「テレサ」は、少年の片思いの話。短いが甘酸っぱい味が懐かしい。

トバイアス・ウルフ 「二人の少年と、一人の少女」は一人の女をめぐる三角関係の話。アメリカ映画によくありそうなストーリー。

ぺーター・シュタム 「甘い夢を」は、どこにでもありそうな二人のカップルの話。近いうちに別れるのじゃないかないかと予測させる。

ローレン・グロフ 「L・デバードとアリエット」は、妊娠させた娘の両親に去勢される気の毒な男の話。「アベラールとエロイーズ」がヒントになっているに違いない。

リュドミラ・ぺトルシェフスカヤ 「薄暗い運命」は、妻子ある男に恋する中年女の話。いささか薄暗い掌握小説。

アリス・マンロー 「ジャック・ランダ・ホテル」は、新しい女と駆け落ちした男を追って、カナダからオーストラリアに移住して、他人になりすまして男に接触を図る女の話。怖い。

ジム・シェパード 「恋と水素」は、飛行船「ヒンデンブルク」の乗員であるゲイのカップルの話。あまり興味なし。

リチャード・フォード 「モントリオールの恋人」は、金持ちの弁護士が不倫相手の夫に絡まれる話。まあ、どうでもよい。

村上の「恋するザムザ」は、以前に書いたとおり。











ペルノーのチェロでオッフェンバックのチェロ協奏曲「軍隊風」を聴く。

オペラ作曲家で知られるオッフェンバックは、実はチェロの名手であったらしい。そんな彼が作ったコンチェルトとはいかに。40分を超える大曲である。

これは、チェロのパガニーニである。
技巧をひけらかしまくっている。赤面するほど。
重音奏法、フラジオレット奏法、超高音域でのアルペッジオ・・・。

そして、楽想も明るい。一直線にノーテンキである。陰影というものがない。それはもう徹底している。潔くて、気持ちがいいくらいだ。

チェロは基本的に、オペレッタのアリアのような役回り。低い声から高い声まで、縦横無尽に走り回る。
オケは伴奏に徹している。色彩が鮮やかで楽しい。

というわけで、このジャンルで同様の規模を持つドヴォルザークのそれとは内容の深さにおいて比較するべくもないが、気楽に愉しむにはこれを選択するのも一興かもしれない。
ただ、何度も繰り返し聴くような音楽ではないかな。



ジェローム・ペルノー(チェロ)
マルク・ミンコフスキ指揮 レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル



2006年1月、グルノーブルでの録音。











ma


エバーラスティングの絨毯。















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Comment

ジャケット写真が素敵です - yoshimi

こんにちは。
このCDのジャケット写真、とても素敵ですね!
カルティエ=ブレッソンやロベール・ドアノーとかのフランス人写真家が撮ったパリの写真みたいに、とてもセンスが良くてお洒落です。部屋に飾っておきたくなります。

オッフェンバックの曲で知っているのは《天国と地獄》と、ロザンタールが作・編曲した《パリの喜び》くらいです。
《パリの喜び》を聴くと、オッフェンバックが作曲したオペレッタの旋律がたくさん出てきます。
オペレッタなので、やっぱり能天気(?)な雰囲気がいっぱいです。
チェロ協奏曲でも、この作風は変わらないようですね。
2013.10.23 Wed 12:42 URL [ Edit ]

古き良きヨーロッパといった感じが。 - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんにちは。

そう、このジャケット、なかなかステキですよね。白黒というか、セピア色というか、遠い異国の夜のような雰囲気が出ています。
ルーブル音楽隊の演奏は、たまたま聴いた「幻想交響曲」が自分にはいまひとつだったので以来あまり積極的に聴いていませんでした。
このディスクは良かったです。「天国と地獄」や「舟歌」が収録されています。
きっぱりとした、いいサウンドです。
古き良き能天気な雰囲気も、たまにはいいものです。

チェロ協奏曲も、寝転がって気楽に聴けます。お天気のいい日曜日の午後に似合うのじゃないかと思います。
2013.10.23 21:11
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