新国立劇場に於けるストラヴィンスキー「夜鳴きウグイス」、チャイコフスキー「イオランタ」公演に足を運びました(4月4日)。
前者は初めての観劇になります。これは、夜鳴きウグイスの類まれな歌声で中国の皇帝を救う話。
主役のウグイスは、いくぶんザラつきのある声が情感をたっぷりと湛えていて、私は皇帝ではないですが感銘を受けました。
他の歌手では、溌剌とした料理人と、細くて広がりのある漁師を気に入りました。
オーケストラはリズム感がよく精緻。もう少しダイナミックでもよかったかと。
高い樹木を据えた舞台は座りがよかったけれど、イルミネーションの船やC3POの日本式ウグイスはなんともチープ。
「イオランタ」を観るのは2度目ですが、今回のほうが長く感じました。
新国の常連になりつつある題名役の大隅さんは、前回の伯爵夫人に続いて見事な歌唱を聴かせました。ただ、どちらかと言えば、前回の「フィガロ」のほうが役に馴染んでいたような気がしたけれど。
あとは叩いても揺るがないような王様ルネ、堅実なロベルト、若々しくて活発なベルトラン、凛々しいアルメリック、落ち着き払ったマルタ、このあたりの歌唱を好みました。
ヴォデモンは、ヴィブラートの過剰さと、テノールにしてはゴワゴワした声質が、正直、聴いていてツラかった。
オーケストラは、もう少しメロディーを豊穣に際立たせてほしかったと感じつつも、総じて柔らかで瞬発力があってキレがあった。
舞台は「夜鳴きウグイス」から半分使いまわし。まとまっていていいと思いつつ、これが長く感じた一因のような?
『夜鳴きうぐいす』
【夜鳴きうぐいす】三宅理恵
【料理人】針生美智子
【漁師】伊藤達人
【中国の皇帝】吉川健一
【侍従】ヴィタリ・ユシュマノフ
【僧侶】志村文彦
【死神】山下牧子
【三人の日本の使者たち】高橋正尚/濱松孝行/青地英幸
『イオランタ』
【ルネ】妻屋秀和
【ロベルト】井上大聞
【ヴォデモン伯爵】内山信吾
【エブン=ハキア】ヴィタリ・ユシュマノフ
【アルメリック】村上公太
【ベルトラン】大塚博章
【イオランタ】大隅智佳子
【マルタ】山下牧子
【ブリギッタ】日比野幸
【ラウラ】富岡明子
高関 健 指揮 東京フィル
冨平 恭平 指揮 新国立劇場合唱団
演出・美術・衣裳 ヤニス・コッコス
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