
上岡敏之指揮 新日本フィルの演奏で、マーラーの交響曲6番を聴きにいく(2017年3月12日、ウェスタ川越にて)。
マーラーの6番を聴くのはシノーポリが指揮するフィルハーモニア管弦楽団以来だから、20年以上ぶり。なので、初めて聴く上岡さんがこの大曲をどう料理するのか、とても楽しみだった。
フタを開けると、実に激しいマーラーだった。無難という言葉とは無縁、冒険心にあふれたもの。
具体的には、テンポの揺れ。そして強弱の変化。それは特に両端楽章に見られ、数えきれないほどのアゴーギクとデュナーミクを使っていた。ときにはめくるめくような勢いで、ときには止まりそうなくらいの遅さで。
下手をすれば陳腐になってしまうところを、サラッとやってのけ、それがいいスパイスになっていたように感じた。
日本にも、こんなに面白い指揮者がいたんだ。
2楽章はアンダンテを採用。
中間のふたつの楽章は、正直言ってあまり面白くなかった。
4楽章はカウベル、ハープ、チェレスタ、チューバが目立って良かった。キラリと光る存在感があった。
また上岡さんは、弦楽器に対して強い指示を出していたのが、印象に残る。振り上げた指揮棒は弧を描いて、足の指先に刺さるのではないかというくらい。そのせいもあるのだろう、弦楽器がたっぷりと厚い響きを出していた。
ハンマーは2回。パフォーマンス要素が薄い、実際的なものだったが、痺れた。
ウェスタ川越は初めて訪れた。収容1700人超を超える大きさだが、複雑に入り組んだ管弦楽の響きが、3階席まで手に取るようにわかった。いいホールだと思う。

パースのビッグムーン。
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