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トスカニーニ、ワーグナー"管弦楽曲集"

2012.11.16 - ワーグナー

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トスカニーニ ラスト・コンサート



トスカニーニ指揮NBC交響楽団の演奏でワーグナーを聴く。

・楽劇『ローエングリン』~第1幕前奏曲
・楽劇『ジークフリート』~森のささやき
・楽劇『神々の黄昏』~ジークフリートのラインへの旅
・歌劇『タンホイザー』~序曲とバッカナール
・楽劇『マイスタージンガー』~第1幕前奏曲

昔はフルトヴェングラーの演奏をステレオを聴けたらどんなに素晴らしいのかなあ、などと夢想したことがあった。モノラルの、靄のかかった音だから、かえって神格化された、なんていう説もあったからだ。できるだけホンモノ(生の音)に近い音で聴きたかった。だから、モノラルの録音しか残っていない演奏家には、一種の神秘的な雰囲気を、良く悪くも感じたのだ。
ところが、トスカニーニにはステレオ録音があった。CDはけっこう前に出たみたいだが、聴くのは初めて。さて、どんなものか。

結論から書くと、トスカニーニのよさは、ステレオでも大きくは変わらない。第2ヴァイオリンが右から聴こえるところや、オーボエやクラリネットが立体的に聴こえるところはたしかにステキだ。ことに「森のささやき」では空間的な広がりがあって、ステレオがとても効果的である。硬質な情感がクッキリと冴えわたる。

このステレオは素晴らしいけれども、モノラルの状態のいいもの(「ローマの松」など)と比べてどうかと言われれば、大きな遜色はない感じもする。もちろん、ステレオ録音のほうがよいとは思うが、当該演奏が状態のよいモノラルであったとすれば、価値がひどく下落するようなことはない、そんなことを感じた。

ただ、音楽はディテイルも大事だ。やはりステレオの空間の広がりは捨てがたいものがある。臨場感が違う。
フルトヴェングラーのステレオ録音があったらなあ、という思いを改めて強く感じるのだった。


1954年4月4日、ニューヨーク、カーネギー・ホールでの録音







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