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グッドール、ワーグナー、"トリスタンとイゾルデ"

2018.11.17 - ワーグナー

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グッドール指揮ウェールズ・ナショナル・オペラ管弦楽団・他の演奏で、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」を聴きました(1980年11月、1981年1月、スワンシー、ブラングウィン・ホールでの録音)。


「クライバーが讃え、ショルティが恐れた男」。
これは、グッドールを評した言葉。山崎浩太郎さんによるこの著作はまだ読んでいないので、ショルティが何故恐れたのか定かではありませんが、ライバル意識だったとするとわかるような気がしないでもない。この「トリスタン」はいい。
ゆっくり目の足取りで音楽を進めていき、呼吸はたっぷりと深い。弦は手厚く、土台をがっちりと支えている。エッジは丸い。高揚するシーンにおいては、テンポを上げるような煽りはしない。どっしりとしていながら自然な流れに、血が湧き立つような感覚を覚える。

歌手ではイゾルデ。肉厚の声は艶と潤いがあるし、パワーもある。トリスタンは少しオッサンっぽいところがあるような。マルケ王は深く、澄んだ声。ブランゲーネ、クルヴェナールは安定感があります。みんなそれぞれオーケストラと溶け合っていて、違和感がない。じゅうぶんにドラマティックでもある。要は、全体としてのまとまりがいい。

味わい深い「トリスタンとイゾルデ」の演奏だと思います。


ジョン・ミッチンソン(トリスタン)
リンダ・エスター・グレイ(イゾルデ)
グウィン・ハウエル(マルケ王)
フィリップ・ジョル(クルヴェナール)
アン・ウィルケンズ(ブランゲーネ)
ニコラウス・フォルウェル(メロート)
アーサー・デイヴィス(牧童)
ジェフリー・モーゼス(かじとり)
ジョン・ハリス(若い水夫)
ウェールズ・ナショナル・オペラ合唱団












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Comment

お久しぶりです。 - アソー

お久しぶりです。
グッドールの本、出た時に読みました。日陰者の人生を送った人ですが、多分本人はワーグナー演奏できれば後はどうでも良かったのでは無いかと思うような人生を送っています。このトリスタンの録音の際のエピソードも詳細に書かれており、イゾルテ役の歌手には特にこだわって憑き物に憑かれたように歌唱指導する描写があり、鬼神迫る物があります。このトリスタンはドイツ語歌唱で、グッドール自ら歌手に歌唱指導しているそうですが、グッドール自身のドイツ語に独特の訛りがあり、それがそのまま歌手たちに共有されてしまったそうです。ドイツ語に疎い私には判りませんが…。
2018.11.18 Sun 09:25 [ Edit ]

お久しぶりです! - 管理人:芳野達司

アソーさん、こんにちは。
グッドールのことはウィキペディアをチラっと読みましたが、いろいろな意味でパワフルな人のようですね。
英語なまりのドイツ語が歌手に伝わってしまったのでしょうか。だとすると、指揮者でありながら歌詞に深く踏み込んだ指導をしていたことになります。それは確かに鬼気迫るものだったのかもしれませんね。
2018.11.18 13:21
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