モーツァルト 後期交響曲 カラヤン指揮ベルリン・フィル一見なんの変哲もないうどん。
何分茹でるのかを知るために裏を読んでみると、衝撃の事実が。
差し水はかまどの頃の習慣だったのね!
スパゲティを茹でるときに差し水をしてはいけないことは東海林さだおの本で学んでいたが、うどんや蕎麦を茹でるときは平気で差し水をしていた。火はなるべく強火で押し切り吹きそうになったら水を投入、その繰り返しをあたかも真剣勝負のように楽しんでいた。
確かにガスレンジだったら火の調節ができるから、水を差さなくても注意すれば吹きこぼれることを避けられるわけだ。
目から鱗であった。
常識なのかな…。
カラヤンのモーツァルトは大編成で迫る。と「大」と書いたけど、実情は中くらいなのかもしれない。けれど、今はやりの古楽器やピリオド奏法をするやり方はもちろん、ふた昔以上前にモダン楽器によって演奏された多くのものに比べても、大きいほうじゃないかと思う。
響きがじつに厚い。特に弦楽器の厚みといったら、このままブラームスやマーラーをやっても違和感がないくらいだ。こってりと濃厚なビーフシチューのよう。編成が大きいゆえか、音を大きく出そうという肩肘張った力みがなくて、重厚でしかもあたりが柔らかい。もともとベルリンの弦は強力だけれど、ここではリラックスして弾いているように見受けられる。レガートがじゅうぶんに利いているところも、たっぷりとふくらみのある感触つくりに貢献している。
3楽章のメヌエットはことにいい。濃くてキレのいい弦と艶のある木管との掛け合いが残響の多い響きに広がって、とても壮麗で楽しい。
こんな豪華なモーツァルトもいい。カラヤンのモーツァルトのユニークさは、21世紀の今だからますます際立つ。
1975年12月、ベルリン・フィルハーモニーでの録音。
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