原田かずこが編集した「座右の本」を読む。
「中学生の僕の一番の興味は運動でもなく、勉強でもなく、当然セックスでした。周りの同級生もみな同じで、寄り集まればそんな話題ばかり」
本書は2006年から2011年まで、「日刊ゲンダイ」に「死ぬまでに読みたい本」「私がハマったすごい本」などとタイトルを変えながら連載した文章を編んだもの。
作家を中心に写真家、落語家、映画監督、医師、タレントなどといった様々なジャンルの人達が、「座右の本」を語っている。
読む前から覚悟していたが、またいくつか読みたい本を見つけてしまった。
上の引用は、やなせたかしの言葉。彼はトルストイの「復活」を挙げている。幼年童話で読んだ「復活」には色っぽいシーンがあって、その前後の話はさっぱり忘れているのにそこだけは覚えていたそう。
当時の本は、色っぽいシーンには伏字がしてあって、余計に興奮したとのこと。
生きている間に、また読みたいと言っている。
読めたのだろうか。
アマデウス四重奏団の演奏で、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲3番を聴く
(1961年9月、ハノーファー、ベートーヴェン・ザールでの録音)。
ベートーヴェンの作品18には、1番から6番までの弦楽四重奏曲がある。どれも完成度が高いが、そのなかで晦渋で聴きごたえがあるのは4番、もっともラヴリーなのは3番なのではないだろうか。
3番でとくに好きなのは2楽章と4楽章。
アンダンテは庭に咲いた小さな花の芳香がかすかに立ちのぼるようだし、プレストは春の風に煽られて軽やかに回る風車。20分あまりの曲だけれども、内容はもりだくさん。
アマデウスのアンサンブルは中庸。
バリリほどには柔らかくなく、東京ほどには精緻ではなく、ボロディンほど歌謡性があるわけではなく、ズスケやイタリアほど濃厚ではない。
まだ、3番までしか聴いていないけれど、適度に緩いという印象。素朴というか朴訥というか牧歌的というか。そんな味わいがこの四重奏団の魅力なのではないかとニラんでいる。
ノーバート・ブレイニン(第1vn)
ジークムント・ニッセル(第2vn)
ピーター・シドロフ(va)
マーティン・ロヴェット(vc)
春。
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