忍者ブログ

パース便り、カラヤン、ベートーヴェン"第9"

2013.09.08 - ベートーヴェン

ma
 



カラヤンのベートーヴェン交響曲第9番を聴く。

これは、1979年に東京の普門館で行われたライヴ録音。
中学の友達のKがこれを聴きに行った。羨ましかったことを覚えている。

演奏の内容は、絶頂期のカラヤンの凄みをあますところなく伝えた記録となっている。
普門館の音響は劣悪と言っていいが、残響のほとんどない響きが逆に凄みに拍車をかけている。また、そんな録音環境だから、演奏の瑕疵は普通以上に目立ってしまうもの。だが、ここでのベルリン・フィルのうまさは、そんな環境をものともしない。じつに巧みである。本来持っている音色の味わいや匂いは薄いものの、どの音もしっかりと鳴っている。力強く、まっすぐだ。

3楽章までは、いままでのセッション録音のスタイルと大差ないが、終楽章に入ると白熱する。喜びの歌の伴奏のファゴットがなんともいい。そして合唱が素晴らしい。
楽友協会合唱団を日本に連れてきたいきさつは、眞鍋圭子の「素顔のカラヤン」に詳しいが、わざわざ来てくれただけのことはある。広がりがあり、緻密。オケとのバランスも完璧。コクのあるハーモニーをぞんぶんに堪能できる。

ラストは怒涛の勢い。全ての音が沸騰している。この盛り上がり、尋常ではない。ライヴのカラヤンの実力を見せつけられる。
こういう演奏を聴くと、カラヤンとベルリン・フィルとの最盛期は、つくづく70年代だと思う。


いまだに、Kはこのコンサートのことを自慢する。困ったものだ。




カラヤン指揮ベルリン・フィル
ウィーン楽友協会合唱団
アンナ・トモワ=シントウ(ソプラノ)
ルジャ・バルダーニ(アルト)
ペーター・シュライアー(テノール)
ホセ・ヴァン・ダム(バス)



1979年10月21日、東京、普門館でのライヴ録音。











ma
 

キングスパークのユーカリの並木を通り抜け。




ma
 

森に分け入り。ワイルドフラワーの様子をチェック中。




ma
 

まだ蕾。春の日の出待ち。

















PR
   Comment(1)    ▲ENTRY-TOP

Comment

なつかしのカラヤン・ライヴ - Yuniko

ポンコツスクーターさま、こんばんは。お久しぶりです。
今はCD化されているこの1979年普門館ライヴ。私もNHK-FMの生中継を、ステレオの前で息をつめて聴きました。聴きに行きたいのは山々だったのですが、当時の私は中3。しかも住まいは鳥取県。最初からあきらめて、FMに集中していましたね。
実はこの放送があった日は、ロリン・マゼール&クリーヴランド管の第9の発売日になっており、台風襲来の中、自転車を駆ってレコード店までマゼールの第9を買いに行き、一気に聴き通して高揚感にひたりました。
そしてその直後、このカラヤンの第9を聴いたのでした。第9二連発のヘビーな日でした。
FMを聴いた印象でもこのCDを聴いた印象でも、終楽章の高揚感はものすごいですね。独唱陣も合唱団も強力です。1~3楽章は、当時はフルトヴェングラーのバイロイト盤がマイベストだったので、それに比べると「速い!」という印象でしたが、大人になって通して聴くと、この速さが生み出す推進力に納得です。
この年は年末に、カラヤンの来日ライヴがまとめてFM放送されました。未完成&チャイ5、ドヴォ8&展覧会の絵、ヴェルレクというプログラムでしたが、すべて通して聴き、エアチェックもしました。特にヴェルレクは、はな垂れ小僧だった自分には重い曲でしたが、それでも「怒りの日」の壮絶さに圧倒され、「思いだし給え」の静謐な祈りに頭を垂れました。
やっぱりカラヤンは、録音もすごいがライヴはもっともっとすごい!です。
2013.09.10 Tue 22:12 [ Edit ]

たしかFMで聴いたような - 管理人:芳野達司

Yunikoさん、こんにちは。お久しぶりです。

この年のカラヤンの来日は凄かったですね。楽友協会合唱団を率いての来日は、あとにも先にもこの回だけだったですね。当時は私も中3、とてもチケットを買える身分ではありませんでした。

>実はこの放送があった日は、ロリン・マゼール&クリーヴランド管の第9の発売日になっており、台風襲来の中、自転車を駆ってレコード店までマゼールの第9を買いに行き、一気に聴き通して高揚感にひたりました。

そうでしたか。マゼール/クリーヴランドの第九はよいですね。台風のなか買いに行く価値はあります。

FMを聴いていたはずなのですが、内容は全く覚えていません。今回、このCDを聴いたとき、まったく初めて聴いたような印象でした。
終楽章の高揚感はものすごい。独唱陣も白熱しています。普門館というロケーションは決してよいところではありませんが、それを補って余りある演奏となっています。

>やっぱりカラヤンは、録音もすごいがライヴはもっともっとすごい!です。

同感でございます。
2013.09.12 10:36
コメントタイトル:
投稿者名:
Mail:
URL:
投稿内容:
Password: ※1
Secret: 管理者にだけ表示を許可する※2
※1 パスワードを設定するとご自分が投稿した記事を編集することができます。
※2 チェックを入れると管理者のみが見ることのできるメッセージが送れます。
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
ポチっとお願いします(´_`\)  ↓ ↓ ↓
最新コメント
カッチェン、フロマン、ブラームス"ピアノ協奏曲2番" from:Yoshimi
-11/16(Thu) -
フルニエ、フィルクスニー、ブラームス"1番" from:老究の散策クラシック限定篇
-03/18(Sat) -
ゼルキン、オーマンディ、ブラームス"1番" from:老究の散策クラシック限定篇
-02/20(Mon) -
ゼルキン、オーマンディ、ブラームス"1番" from:“スケルツォ倶楽部”発起人
-02/20(Mon) -
古典四重奏団、ベートーヴェン、15,13"大フーガ" from:老究の散策クラシック限定篇
-10/30(Sun) -
最新TB
カテゴリー