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ソロモンのベートーヴェン「ピアノソナタ第30番」

2011.08.16 - ベートーヴェン
    
bee

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第30番 ソロモン(Pf)


葬儀屋が盆休みということで2日先延ばしになった義父の葬儀が終わる。故郷の陸前高田から多くの親戚が来て、賑やかなものだった。「親が流された」「実家が全壊」ということを訥々と語る彼らの殊勝さには言葉がなかったナ。

ところで、義父が生まれた1933年に昭和三陸地震が起こっている。津波を見に行った彼の父親は波にさらわれて、そのまま帰らぬ人となった。それから78年の時を経て、今回の震災の年に自身が亡くなったことになる。
因縁、というほどのことではないかもしれないが、なにか感慨深い。



ソロモンのベートーヴェンを聴くのは久しぶり。
古代の王様を想起させる名前からして、重厚長大、権謀術数、海千山千のピアノを聴かせるのじゃないかと昔はイメージしたものだが、ベートーヴェンの後期のソナタを聴く限り、軽やかで繊細な演奏をする。その印象は、29番や32番といった堅固な曲を聴くよりも、30番のほうがよりハッキリするようだ。
この曲の演奏でいいと思ったのは、ひとつの旋律というか、段落が一区切りつくところの仕上げ。うまく言えないが、文章であれば「。」の直前の、小さい終結部みたいな箇所である。
1楽章は、短いアルペジオで「仕上げる」ところがいくつかあって、そこが絶妙なのである。ひとつひとつの音はキラリと光っていて、テンポと強さが程良い。休符の長さも丁度よい。それぞれの仕上げを丁寧に弾いているから、そのあとに続く段落も自然に流れるし、適度な陰影をつけることができているのだと思う。
趣き深い演奏。


1951年6月、ロンドン、アビー・ロード・スタジオでの録音

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Comment

おはようございます〜 - rudolf2006

吉田さま お早うございます

義理のお父さまのご葬儀も終わったようですね
ご冥福をお祈りいたします
お疲れが出ませんように〜

阪神の震災後に、私の親族もかなり亡くなりました、やはり、被災はそれほどでなくても、応えるのかもしれませんね〜。

ソロモンのピアノ
久しく聴いておりません
ベー7で義理のお父さまをお送りするのは、良いですね

ミ(`w´彡)
2011.08.18 Thu 06:15 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

先週から今週初めまではバタバタしていましたが、落ち着きました。
お祈り頂き、恐縮でございます。

今日の午後に、関東で地震がありました。震度2か3程度だったらしいのですが、会社にいてちょっと怖かったですね。東北では震度5弱とのこと、いやはや、たまりません。

ソロモンのピアノ、滋味深いですね。27と30~32と聴きかえしてみて、これといって目立つところはないものの、じわじわと沁みました。
2011.08.19 22:36
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