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ジンマンのベートーヴェン「荘厳ミサ」

2007.07.17 - ベートーヴェン
Zinman

ベートーヴェン「荘厳ミサ」 ジンマン指揮チューリヒ・トーンハレ管 オルゴナソーバ(S)、ラーソン(A)、ゼーリヒ(B)、トロスト(T)他


風邪がぶりかえした。油断をしていたわけではなくて、この三連休もたっぷり睡眠をとっていたのだが、鼻水が止まらないなあと思っていたら発熱して撃沈。40すぎると風邪が治りにくくて困る。これがトシをとるということか。
音楽を聴いたときに受ける感銘というか、自分の感受性というもの、これもだんだんと弱くなっているようだ。ここ数年始まったことではない。いままでに聴いてきた音楽の総量は歳を経ると共に増えていくわけだから、かなりテキトーな聴き方をしてきたとはいえ、それなりに知識は増えていく。知っている曲を違う演奏で聴くのはクラシック音楽の醍醐味であるといえるが、同時に新鮮さの後退感はやはりあって、最初の頃にときおり受けた衝撃は、この頃ではあまり感じられなくなっているようだ。
けれども逆に言えば、間違って感動するということも少なくなってきている。間違っても感動すればいいじゃないかとも思うが、問題はその質だ。そのときの気分の持ち方でたまたまツボにはまってしまい、再度聴いても全然良くなくて「なんだったのだろうあれは」ということも少なくない。そういうことが近頃はないのは、感性が鈍くなった故に獲得した老人力に加えて、世間に揉まれながら育まれてきた批判力がついてきたせいだろうか。
フィルターがだんだんと厚くなってきているところをかいくぐって、たまにあらわれる感動的演奏は、昔よりも信用できるのかと言われれば、あまり自信はないのだった。


ジンマンの荘厳ミサは、ノン・ヴィヴラートを用いた快速なテンポでもって全曲を走り抜ける。
荘厳ミサといえば、クレンペラー盤の明晰でかつ響きの厚い重量級の演奏を思い出す。ベートーヴェン渾身の力作を、泣く子もだまる当代屈指のメンバーで迎え撃つといった録音であり、実際に優れたものであった。これに慣れてしまうと、なかなか他の演奏は入り込みにくい。
ジンマンの描くベートーヴェンは、クレンペラーとはだいぶ違っていて、全体にテンポをあげることによって、若々しくイキイキとしたものである。テンポを遅くする=スケールが大きくなる、という式を逆にとって、その辺の飲み屋にいそうな、少し身近な存在のベートーヴェン像がここにあらわれる。
歌手は私のしらないヒトばかりであるが、不満ない。オケの音は弾力感があって楽しい。
音楽は演奏によってこうも違って聴こえるのだということを改めて思い知らされるCDであった。
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Comment

無題 - bitoku

吉田さん、こんばんは!

風邪は万病の元ですから、くれぐれもお体をお大事に。

>音楽を聴いたときに受ける感銘というか、自分の感受性というもの、これもだんだんと弱くなっているようだ。

よーく分かります。昔は感動的な演奏には身震いしたもんですが、最近そういう事ってほとんどないですね。
その替わり私は好きな盤をはしつこく何度も聴くのでジワジワ良くなってくる音楽が多いです。

>感性が鈍くなった故に獲得した老人力に加えて、世間に揉まれながら育まれてきた批判力がついてきたせいだろうか。

これもよーく分かります。知識が邪魔して(大した知識ではないですが。。。)純粋無垢な精神が蝕まれているような。。。(汗)

ミサ・ソレムニスはたまに真剣に聴くのですが、どうも自分の理解が及ばず後期ベートーヴェンではディアベッリ変奏曲とともに(?)です。(笑)

フルトヴェングラーですら難し過ぎると言って指揮を断ったのも頷けます。

クレンペラー盤、カラヤン盤くらいしか聴いたことがないので、このディスクも聴いてみたいですね♪
2007.07.17 Tue 23:08 URL [ Edit ]

Re:bitokuさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。
今回の風邪は、最初にのどにきて発熱し、そして鼻にきました。頭が朦朧として仕事がはかどりません。
音楽を聴いても「昔は良かった」などと追憶する日々で、肉体精神ともにまったく弱体化してしまいました。

フルトヴェングラーのそんなエピソードがあったのですね。確かに録音があるというのをききません。
私もあまり普段聞かないのですが、ジンマンのを久々に聴いて面白かったです。クレンペラーのを改めて聴きたくなりました。
2007.07.18 12:56

無題 - rudolf2006

吉田さま お早うございます

風邪がぶり返したんですか?お大事にしてくださいね~。どうしても暑くて、空調の入った中に入っていると、なかなか治りにくいですよね、お大事に~。

ジンマンさんの演奏、色々な方のブログを拝見していますと、良くでてきていますね。私はまだ一曲も聴いたことがないんですよ。
ベトベンの曲は大好きな曲ばかりなのですが、『ミサ・ソレムニス』だけは苦手です、なぜなのか分からないのですが、最後まで聴き通せたことがありません。今度、挑戦してみます~。

ミ(`w´彡)
2007.07.18 Wed 08:18 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメント、ありがとうございます。
もう若くないのだなと、こういうときにしみじみ感じます。ジョギングでも始めますか…。

ほんの少ししか聴いていないのですが、ジンマンの演奏はなかなか新鮮で面白いです。廉価なのがうれしいですね。
『ミサ・ソレムニス』はなかなか難物ですが、気合を入れて聴いてみました。
2007.07.18 12:58

無題 - sweetbrier

吉田さん、こんにちは。
季候とお仕事のストレス、それに風邪まで…どうぞご自愛ください。体調がすぐれなくていらっしゃったのに、過日は私のコメントに丁寧なお返事をありがとうございました。

クンペラー盤とジンマン盤の比較、興味深く拝読しました。私は最近、ハイドンの「天地創造」をボルトン盤とカラヤン盤で聴き(カラヤン盤は試聴ですが)、これと同じような印象を持ちました。

> その辺の飲み屋にいそうな、少し身近な存在のベートーヴェン像がここにあらわれる。

私にはこちらの方が会いそうです。ジンマン盤、聴いてみようと思います。タイムリーな情報でした。ありがとうございます♪
2007.07.19 Thu 10:10 URL [ Edit ]

Re:sweetbrierさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。
熱がひいているので会社には来ていますが、相変わらず鼻がつまって会話が不自由です。頭の回転が悪いのは元からなのでいいのですが。

sweetbrierさんの「天地創造」の記事、面白く拝読しておりました。この曲、もう何年もご無沙汰してます。昔聴いたのはカラヤンだったか…。どちらかいうと合唱曲をあまり聴かない傾向にあります。なんというか量で圧倒されるというか。「天地創造」をこれを機会に。初めてのように新鮮に聴こえるしれません。
2007.07.19 12:47
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