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ペライア、ブラームス"4つの小品"

2015.11.10 - ブラームス

ma
 

ペライアのピアノでブラームスの4つの小品Op119を聴く。

この曲集はブラームスが60歳を迎えたときに出版された。これ以降、彼はピアノのソロ曲を書かなかった。
1曲目について、ブラームスはクララに宛てた手紙にこう書いている。
「不協和音の中から官能的な喜びと慰めを引き出すように弾かなくてはなりません」。
しかし、それを現代に生きる私が聴くと、やや不穏な気配を感じるものの違和感はない。不協和音を前面に押し出しているとは感じられない。マーラーやウェーベルン、あるいはストラヴィンスキーといったところを日常聴いているので、良くも悪くも鈍感になっているに違いない。「トリスタン」を当時聴くのと今聴くのでは感興が異なるのと同じようなことだろう。

ペライアはなかなか手厚い響きを聴かせる。そのなかに、淡い叙情も感じることができる。この4曲は最初の3つが「間奏曲」、最後が「ラプソディ」と副題がついている。それぞれの色合いはとても似ている。
このブラームスは、紅葉も終わりにさしかかる晩秋、というよりは深夜の都会みたい。ひんやりとして、香りがいい。


2010年6月、ベルリン、フンクハウスでの録音



ma
 
コテージにて。





重版できました。




「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!







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Comment

聴き比べてみると - yoshimi

こんばんは。
Op.119のなかで、特に第1番が好きだったので、昔ピアノでよく練習しました。
ペライアはルバートがあまり強くなく、テンポもゆったりと安定しているので、穏やかですね。

ゼルキンの演奏だと、ペライアよりもさらに遅いテンポで、陰影と寂寥感がずっと濃いように思います。
私の刷り込みになっているカッチェンになると、テンポが速く、強弱の変化も小刻みに大きく変化して、激しい感情が揺れ動くブラームスという感じですから、2人とは対照的です。

同じ2頁だけの楽譜で弾いているのに、聴き比べてみるとかなり雰囲気が違うのに気がつきました。
2015.11.12 Thu 00:53 URL [ Edit ]

そうでしたか。 - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんばんは。
この曲をまともに聴いた記憶がなくて。。ペライアの演奏が初めてかもしれません。
ゼルキン、ありますか。やばいですね。それは無視できません。
カッチェンは当然あるにしても、やはり速めのテンポなのですね。悪いわけはないですね。
音楽は遅いからといって深みがでるわけじゃないと今は思います。テンポが速かろうが遅かろうが、なんといっていいかわかりませんがそれ以外の要素で善し悪しが決まるように思います。
2015.11.12 21:47

ご参考 - yoshimi

Op.119の音源です。

ゼルキンのライブ録音(BBC)
https://www.youtube.com/watch?v=vz4TEP7YAlU
※ゼルキンのスタジオ録音(SONY盤)は、少し若い頃に録音したので、ライブよりもテンポが速めで、陰鬱や重苦しさも少し薄いです。

カッチェンのスタジオ録音
https://www.youtube.com/watch?v=FFxMcLCkhcY

グールドも119-1のみ録音しています。
ブラームス間奏曲集のCDに入ってます。
https://www.youtube.com/watch?v=Sr7PqidqLAQ
2015.11.13 Fri 00:39 URL [ Edit ]

ありがとうございます! - 管理人:芳野達司

まずはカッチェンを聴きました。やはり、いいですね。粒立ちがいいし、情感にも溢れています。彼のブラームスは裏切りませんね~。
ゼルキンではセッションよりもライヴのほうがどちらかと言えば好みなので期待です。
グールドもあるのですね。彼はなんだかんだとブラームスの小品をわりと取り上げていますね。
2015.11.14 18:16
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