忍者ブログ

オリバー・ツイスト、アラウ、ブラームス"ピアノ協奏曲第1番"

2011.12.04 - ブラームス
 
bra

アラウ(Pf) クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団


ロマン・ポランスキー監督の「オリバー・ツイスト」を観る。19世紀のロンドンを模した美術と衣装、それにセピア色の映像が雰囲気たっぷり。孤児のオリバーが、ひょんなことから泥棒一家の仲間になるわけだけど、泥棒の一味がけっこうほのぼのとしていて(かわいい女の子もいるし)で、逃げるのがなんだかもったいないと思った。
泥棒の親玉がベン・キングズレーだったことを後から知る。メイクが濃いから全然わからなかった。






アラウの数あるブラームスのなかから、今週聴いたのはクーべリックとの白熱のライヴ。
オーケストラは冒頭からのっぴきならない気合いが入っており、これはさすがに、目隠しされてもセッション録音とは思いにくいだろう。アンサンブルは完全に整っているとは言い難く、ときおり喘ぐように混濁したり、つんのめるようにオーボエが悲鳴をあげたりする。それでもなお、捨てがたい魅力があるのは、一気呵成といってもいい推進力と、緻密に計算されたデリケートなサポートがあるから。とりわけ、2楽章の弱音器をつけた玄妙な弦の響きと、締めくくりのフルートの弱音は神秘的なまでに巧妙。
アラウは素晴らしく多彩な音を聴かせる。5月の太陽のように輝かしい高音から南国の海のように深い低音まで、まばゆいくらいに色彩的。ひとつひとつの音がばらばらにほぐれているから、空間の広がりが大きく感じる。終楽章のラストの場面などは、たったふたつの手で奏でる音楽としては信じられないくらいに豊満。


1964年4月24日、ミュンヘン、ヘラクレスザールでのライヴ録音。
PR
   Comment(1)   TrackBack()    ▲ENTRY-TOP

Comment

怒涛のようなフィナーレでした - yoshimi

記事を拝見して、久しぶりにこのCDを聴きましたが、やっぱりアラウのライブは良いですね~。
特に、このライブ録音は、音に艶のある輝きと瑞々しさがあって、色彩感が鮮やかに聴こえます。古いライブ録音でも、これくらい良い音質で聴けるのが嬉しいです。

アラウのピアノもミスタッチが結構ありますね。
完全主義者らしくスタジオ録音の編集には全く抵抗がなかったそうです。まさかライブ録音が次々とリリースされるとは思っていなかったでしょう。
スタジオ録音はどこかしら大人しいところがありますが、ミスが残っていても、ライブ録音はどれを聴いても気合が伝わってくるので好きなのです。

第1楽章はアラウらしい遅めのテンポですけど、テンポも微妙に伸縮して、メリハリもあって飽きません。
以前はこの楽章は苦手だったのですが、最近はなぜか気に入ってます。
気持ちが沈んだり昂ぶったり、浮き沈みが激しいところが、若者ブラームスの”シュトゥルム・ウント・ドラング”みたいです。

第3楽章は最初はわりと落ち着いてますが、徐々にテンションが高くなって、アラウの弾力のある力強い音が良く映えてます。とても男性的な演奏ですね。
特に、カデンツァが終ったあとのフィナーレは凄い気合ですね!
こんなに力強くて激しいタッチの演奏って、他のピアニストでもあまり聴いたことがなかったような...。
アラウの本領はライブにあるという評論を読んだことがありますが、こういう演奏を聴くとこっちがアラウの本来の姿なのかなという気がしてきます。
2011.12.05 Mon 11:24 [ Edit ]

巨匠の若々しいブラームス - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんばんは。
1964年のライヴにしては、音質がよいのでちょっと驚きました。文句のつけようがありません。最近のセッション録音とは比べられないかもしれませんが、演奏の質の高さも考慮すると充分に第一線で通用するんじゃないかと思います。
アラウは多少瑕疵があるものの、補って余りある勢いが清々しい。色彩感の豊かさがよくとられられています。ジュリーニとの演奏で聴くことのできる音色が、ライヴでも全く色褪せることなく放出されています。
アラウのライヴ、あまり多くを聴いているわけではないのですが、どれも素晴らしいものですね。
2011.12.05 21:09
コメントタイトル:
投稿者名:
Mail:
URL:
投稿内容:
Password: ※1
Secret: 管理者にだけ表示を許可する※2
※1 パスワードを設定するとご自分が投稿した記事を編集することができます。
※2 チェックを入れると管理者のみが見ることのできるメッセージが送れます。

TrackBack

この記事へのトラックバック
TrackBackURL
  →
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
ポチっとお願いします(´_`\)  ↓ ↓ ↓
最新コメント
カッチェン、フロマン、ブラームス"ピアノ協奏曲2番" from:Yoshimi
-11/16(Thu) -
フルニエ、フィルクスニー、ブラームス"1番" from:老究の散策クラシック限定篇
-03/18(Sat) -
ゼルキン、オーマンディ、ブラームス"1番" from:老究の散策クラシック限定篇
-02/20(Mon) -
ゼルキン、オーマンディ、ブラームス"1番" from:“スケルツォ倶楽部”発起人
-02/20(Mon) -
古典四重奏団、ベートーヴェン、15,13"大フーガ" from:老究の散策クラシック限定篇
-10/30(Sun) -
最新TB
カテゴリー