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オピッツ、"ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ"

2015.11.28 - ブラームス

ma
 

ゲルハルト・オピッツのピアノで、ブラームスの「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」を聴く。

彼はドイツの伝統を汲んで、ベートーヴェンとブラームスを得意とするピアニスト。昔、パリのサル・プレイエルでベートーヴェンの4番のコンチェルトを聴いたことがあるが、それはこの一連の録音の少し後。端正なフォルムのなかから淡い叙情を滲ませるのが得意なピアニストだと認識している。

オピッツによるヘンデル・ヴァリエーションは、確かな技巧を土台にしつつ、ブラームスの青春のまっすぐな野心を瑞々しく描いた演奏だと言える。1861年10月、ブラームスはクララに宛てた手紙でこう言っている。「あなたの誕生日のために、あなたがこれまでまだ聴いたことのないような変奏曲をつくりました。御自分の演奏会のためにこれをしばらく練習して覚えてください」。もちろん、オピッツは自信満々。
どんな複雑なパッセージの場面でも、ひとつひとつの音がクッキリと分離されていて、とても気持ちがいい。質量は重すぎず軽すぎずちょうどいい按配。どちからと言えば、高い音が冴えたピアノだろうか。軽やかななかに、スプーン一杯の砂糖がまぶされている感じ。ブラームスだからといって、あまりに重いのは苦手なので、このくらいがちょうどいい。
ラストのフーガは、目覚ましいテクニックで駆け抜ける。

ピアノは、ベーゼンドルファー・インペリアル。


1989年、ノイマルクトでの録音。





ma
 
海辺。





重版できました。




「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!







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Comment

オピッツのブラームス - yoshimi

こんばんは。
オピッツといえば、NHKのピアノレッスンで先生役をしたことで、知名度が一気に上がりましたね。
彼のブラームス全集は、随分昔に試聴だけしました。
緩徐部分になると、タッチが粘着的で叙情感が重たくなるのが苦手でしたので、CDは買いませんでしたが、その部分を除けば、そんなに好みと合わないこともないような気がします。

オピッツのヘンデル変奏曲をYoutubeで聴いてみると、時々音が濁ることと、(ブラームスに限らず)緩徐部でタッチに粘りがでてリズムが重たくなるのが(個人的には)気にはなりますが、陰翳が薄めなので、明るい色調で切れも良く、重みもほど良いように思いました。
オピッツは技巧がしっかりしているので、Youtubeのライブ映像の演奏でも安心して聴けます。
2015.12.01 Tue 01:01 URL [ Edit ]

やはりそうですか。 - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんばんは。
NHKに出ていましたか。ドイツのピアニストということで、多いようで少ないという意味で貴重なピアニストかもしれません。
生で聴いたときは、これぞというような長所は感じられなかったし、まあ普通という印象でしたね。ディスクも、大あたり盤はいまのところないような。
なので乱暴に言えば、指揮者でいうとホルスト・シュタインとかグシュルバウアーみたいな、そんな職人的な音楽家なのかもしれないなと感じています。
ただ、このブラームスの全集、1枚しか聴いていませんがなかなかいい。ヘンデル・ヴァリエーションはいい演奏だと思います。テクニックは万全、表情は朗らか。といっても私は他はたいして詳しくはなく、あとは間奏曲やら3番ソナタくらいしか知りません。どんな演奏なのか、楽しみです。
2015.12.01 23:21
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