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ウラッハとデムスのブラームス「クラリネット・ソナタ」

2009.05.24 - ブラームス

bra

ブラームス クラリネット・ソナタ ウラッハ(Cl) デムス(Pf)


吉田修一の「flowers」を読む。
主人公の若者は、自動販売機に清涼飲料水を補充する仕事をしている。
妙な性向を持つ先輩とコンビを組み忙しい日々を送る。その合間に、先輩と自己流の活け花を楽しんだり、人妻を連れ込んでスワッピングまがいのことをしたりと、プライベートも忙しい。
季節が夏に近づくと、自動販売機の補充作業は大変な重作業になる。量も増えるし、暑さのせいで疲労もたまる一方だ。仕事仲間との小競り合いも絶えなくなる。
事件が起こったのは、そんな夏のある日。
いつも上司にいびられていた同僚が、シャワールームで理不尽な命令をされる。いつものことなので周囲は黙ってみているが、とうとう堪忍袋の緒が切れた彼がとった行動は…。
若者の生命感とやるせなさがよく描かれていて、一気に読むことができる。
芥川賞を受賞した「パークライフ」も収録されているが、「flowers」のほうが面白い。


ブラームスの2つのクラリネット・ソナタは、ともに1894年に作曲された。死の3年前のことで、彼が最後に作ったソナタとなった。
ブラームスの重厚な作風は晩年にきて最高潮になってゆくわけだが、クラリネットの軽妙な音質のせいか、厚さのなかにもさらさらとした感触があって、重苦しくない。
ブラームスはこのソナタを自らヴィオラ向けに編曲もしているが、こちらはどうにもならないくらいに重い。
この曲については、オリジナルのほうが面白く聴くことができる。
ウラッハのクラリネットは、適度に鄙びていてほんわかとしている。音そのものの軽やかさもいいものだが、音楽の起伏というか深い呼吸がなんとも言えず味わい深い。

1953年、ウイーン・コンツェルトハウス、モーツァルトザールでの録音。
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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま こんばんは

最近の本を読んでいないので、吉田修一という作家は全く知りませんでした。面白そうな小説ですね〜。

ウラッハは、往年のヴィーナー・フィルハーモニカーを支えた名クラリネット奏者ですよね〜。
ウラッハのモツアルトのコンチェルトの裏は、よくファゴットコンチェルトが入っていたのですが、あまりにも下手くそで笑ってしまうほどの演奏でした。
ウラッハ→ボスコフスキー→プリンツ→シュミードル とクラリネットのトップ奏者は変わっていったように思います。やはり、プリンツが私が聴いた中では抜群に上手かったように思います。
ウラッハの鄙びた雰囲気は、今では味わえないものかもしれませんね〜。ヴィーンではドイツ式クラリネットを使っていますから、その音色ということもあるかもしれませんが〜。
ブラームスはクラリネットが余程好きだったようですね、このソナタばかりか、クラリネット五重奏曲という名曲もありますしね〜。

ミ(`w´彡)
2009.05.25 Mon 20:32 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

いつもコメントをありがとうございます。

吉田修一という作家をこの本で初めて知りました。いつも行く本屋にたまたま平積みになっていたので手に取ったのでした。
なかなか面白い小説でした。

ウラッハ、名前は昔からきいていましたが、まともに聴くのは初めてかもしれません。
若くして亡くなったので、ステレオに間に合わなかったようですね。ただモノラルながら録音は悪くありません。

>ウラッハのモツアルトのコンチェルトの裏は、よくファゴットコンチェルトが入っていたのですが、あまりにも下手くそで笑ってしまうほどの演奏でした。

それは興味深いですね。聴いてみたくなります^^

プリンツが上手いですか。ベーム時代の奏者と思いますが、この人のものはいくつか聴いたことがあります。
2009.05.26 12:44
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