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ミケランジェリのドビュッシー「前奏曲集第1巻」

2006.08.02 - ドビュッシー
※勝手にドビュッシーの日※

ドビュッシーで思い出すのは、おかっぱみたいな髪型と女性スキャンダルである。

ドビュッシー


「ドビュッシーがワグネリアンだったことはよく知られているが、彼もまた、妻を捨てて裕福な人妻と強引に結婚した。このため世の非難と譴責を浴び、対社会的な苦境に陥る。わるいことに、ドビュッシーに捨てられた妻の方は自殺をはかる、彼女は実は二度目の妻なのである」
(五味康祐「五味康祐 音楽巡礼」)

五味のこの本は、多分に誇大妄想の入った著書だが、このエピソードはドビュッシーに関するさまざまな評伝に記載されているから間違いはないだろう。全くうらやましい、じゃなかった、困ったヒトである。
こういう作曲家の常として、その作品は俗世を遠く離れた透明なものだ。

ベネデッティ・ミケランジェリ弾くの前奏曲集は、ピアニストがすごいのか曲がすごいのか、よくわからなくなるくらい透徹したピアニズムが目覚しい音楽になっている。

カキーンと冷え切った高音と、重厚でにごりのない低音とのハーモニーを、他のどんなピアニストからも聴くことができないし、そのめくるめく色彩感はこの作曲家ならではのものだろう。少なくとも、この音楽からドビュッシーの奔放な性生活は聴こえてこない。
ミケランジェリの素晴らしい演奏を聴くと、他のピアニストなんか聴けない、と一瞬思ってしまうのだが、気を取り直してベロフで聴くと、ああやっぱり、これがいつも聴きたいと思っているドビュッシーなのだな、などとコロっと気が変わってしまう。

ミケランジェリの演奏はいつも特異だが、ドビュッシーの音楽がそれを受け入れる度量は、まさに人妻奪取パワー(!?)というべき包容力か。


ミケランジェリ

ミケランジェリ ドビュッシー前奏曲集第1巻

ドビュッシーの音楽という素材を操ってわが道を行くミケランジェリ。


ベロフ

ベロフ ドビュッシー前奏曲集

ドビュッシーのいい演奏をしてくれる、ベロフ。



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Comment

無題 - ダンベルドア

こんにちは
確かにミケランジェリのは魅力が曲なのか演奏なのか判別つかないところがありますね。
 ベロフはTVのレッスン見ていてCD求めようと思ったのですが新旧ヴァージョンがあるのでどちらが良いのか考えているところです。
2006.08.02 Wed 13:22 URL [ Edit ]

Re:ダンベルドアさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

いい演奏なのですが、ミケランジェリ盤はピアニストの個性が強烈ですね。
ベロフの新盤はまだ聴いていませんが、旧盤は長らく聴いています。ベロフは、なんというか安心して聴いていられます。
2006.08.02 17:46

無題 - miwaplan

こんにちは。
ご参加ありがとうございます。

ミケランジェリのピアノは、やっぱり独特の音ですよね。日本人の調律師がいつも一緒にいて調律していたと本で読んだことがあります。

そのピアノを他のピアニストが弾いても、ミケランジェリの音にはならなかったとか。
独自のタッチに秘密があったみたい。それとペダリングもね。
2006.08.05 Sat 22:47 URL [ Edit ]

Re:miwaplanさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

ミケランジェリの音色は独特ですね。日本人の調律師の話、小耳にはさんだことがあります。
>独自のタッチに秘密があったみたい。それとペダリングもね。
詳しくはわかりませんが、確かに、楽器よりも演奏技術によるものであるような気がします。
彼の演奏のあとにベロフを聴くと、ちょっとホットします(笑)。
2006.08.05 23:00
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