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"飛ぶ教室"、オーマンディ、"くるみ割り人形"

2015.01.27 - チャイコフスキー
ma
 


エーリヒ・ケストナー(池内紀訳)の「飛ぶ教室」を読む。

これは、クリスマスを前にしたドイツのギムナジウムを舞台にした数日間の話を描いた小説。5人の生徒と教師、それにホームレスの変人がからむ。
少年たちの荒々しくも生き生きとした言動が痛快。ときには他校の生徒と決闘し、ときにはクリスマス会の舞台に精を出す。
みんなが敬愛する先生とホームレスが実は古い友人だということを察知して、さりげなくふたりを会わせるところなど、とても情感に溢れている。
そしてラストは、クリスマスにふさわしいプロットがふんだんに持ち込まれている。話のつくりは、少年向きかも知れないが、少年の心を忘れない大人にも響く←わたくしのこと。笑

以前に、クリスマスにふさわしい読み物として、「クリスマス・カロル」と「賢者の贈り物」とのふたつをあげたが、これもぜひ加えたい。

amazonのレビューには手厳しいことが書いてある。だが、よく読むとどうなのかなと。翻訳に関する注文のようだ。いまひとつ説得力がない。この翻訳は理に適ったものであると思うし、中庸なのだと感じる。
原著を知らないくせにこういうことを言う。








オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏で、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」ハイライトを聴く。

クラシック音楽を覚えたのは、この曲でである。前にも書いたかもしれないが繰り返そう。
小学校5年の時。近所に住んでいる秀才の誉れ高い直くんがある日「今日、ラジオでくるみ割り人形をやるよ」と言った。それまで音楽といえば歌謡曲しか知らなかったのにそれを聴いたのは何故か、今となっては思いだせない。

チャイコフスキーがとても面白かったので、近所である江戸川橋のレコード屋さんに、LPを買いに行った。候補はふたつ。両方ともオーマンディ指揮フィラデルフィアで、「くるみ割り人形」と「白鳥の湖」の組曲がセットになっている1300円のもの、あとは三大バレエの組曲が入っている2300円のもの。安かろうまずかろうという直感で、後者を選んだ。当時は廉価盤の良さをわからなかったわけだ。けれども、結果的には3つの曲を知ることができて、大変満足した。

その後、同じ指揮者による「白鳥の湖」と「眠りの森の美女」のハイライト盤(RCA)をCDで購入した。これもとてもよく、機嫌がよかった。
でも、オーマンディがくるみ割りの「雪のワルツ」、「パ・ドドゥ」全曲、そして「大団円とワルツ」を録音していたことを知ったのは、昨年のことだった。つまり、このディスク。
「雪のワルツ」の主題が合唱ではなくトランペットで吹かれていること、あるいは、「花のワルツ」の2巡目でヴァイオリンを1オクターヴ高く鳴らせていることなど、いくぶん変わっている。

それでもなお、この演奏は言いようもなく素晴らしい。だから、言わない。

生で聴きたかった演奏はどれか、という荒唐無稽な問いがある。

フルトヴェングラーのベートーヴェンや、ラフマニノフの自作自演、あるいは、カラスとジュリーニの「トラヴィアータ」など。夢想すれば、尽きない。いろいろと聴きたいものはある。
酔っ払った勢いで言えば、今なら、オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団のチャイコフスキーの三大バレエを聴きたい。できればそれぞれ全曲をやってくれたら言うことがない。3日間連続で。舞台は、あってもなくてもよい。
さしずめ東京ならば、サントリー・ホールかな。オペラ・シティでもいいや。


1972年9月、フィラデルフィア、スコティッシュ・ライト・カテドラルでの録音。




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ma


八甲田その3。















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Comment

無題 - リベラ33

書かれているLPは私も持っていました。確かにサントリーホールでオーマンディを聴けたら最高ですね。一度、札幌に行ったときにウィーンという名曲喫茶でオーマンディのLPを聴いたことがあります。この時、素晴らしいオーディオのお蔭で実演で聴いたときのことをイメージすることができました。あれは貴重な体験でした。
2015.01.29 Thu 10:15 URL [ Edit ]

お早うございます〜 - rudolf2006

芳野さま お早うございます

お久しぶりです
もう1月も末になりましたね、年々早く時間が過ぎ去っていきますね

イギリスのグラマースクール、ドイツのギムナジウムを舞台にした小説には良いものが多いですね、クリスマスものでは、やはり「クリスマス・キャロル」でしょうか…

夢の演奏会、時代の違う人たちの競演も面白いと思いますが、オケの演奏会とすれば、チャイコの3つバレエ 全曲、フィラデルフィア、オーマンディ師で、ホールはカーネギー・ホールで聴きたいような気がしますね
あそこは音響が良いそうですから…

フィラデルフィアは経営難に陥っているようですね
今は昔ですね

ミ(`w´彡)
2015.01.29 Thu 10:39 URL [ Edit ]

リベラ33さん、rudolf2006さん、 - 管理人:芳野達司

オーマンディとフィラデルフィアの先輩にコメントを頂けてうれしいです。

このコンビでクラシック音楽の良さを知りながら、しばらくの間敬遠していたのは、ご想像の通り、吉田秀和が評価しなかったからでした。このLPを聴いた後、中学生になってから、彼の「LP300選」を手に取りました。いったい、何度読んだことか。手あかがつくとはこのことです。今でもとてもいい本だと思いますが、サンサーンスやグリーグへの批判、オーマンディに対する黙殺など、独自の視点があります。若い私は、それを鵜呑みにしていました。
最近になってようやく、自分の目で価値を計ることができてきたような気がします。それは時には的外れかもしれません。ですが、一応自分で考えることが、まあまあ昔よりはできているかと。
そうして、ヘンデルの「メサイア」、ベートーヴェンの3番、ブラームスの2番、チャイコフスキーの5番など、素晴らしい名演奏があることを知りました。それも、おふたりのブログのおかげです。それを読まなければ、ベートーヴェンもブラームスも、聴くことはなかったでしょう。感謝しています。
2015.01.29 20:53

あまりに深すぎる - 老究の散策クラシック限定篇

BPO,VPOを頂点としたDGG、英デッカ欧州系とクラシック音楽産業勢力を二分する5大アメオケの録音群のポテンシャルの深さとその魅力に恥ずかしながら最近気づかされましたね。
守口フィラデルフィアさん、rudolf2016さんの細密なオーマンディ賛歌とも呼べる膨大な記事内容にも驚いています。
さらにhmv検索でミュンシュ46枚組、セルコンプリートセット106枚組、ライナー32枚組とコレクションセットが踊っていることに。
芳野さんが一時期断続的に挙げていた‘60年前後の旬の時代のバーンスタイン/NYOの遺産にも目移りしてしまいます。

2020.10.31 Sat 15:17 URL [ Edit ]

そそりますね! - 管理人:芳野達司

バーンスタインもまた素晴らしくて、ベートーヴェンやブラームス、マーラーといったところは後年のウイーンとのものより好きだし、「シェエラザード」はいまだ最高の名盤のひとつだと思っています。
ミュンシュ、ライナー、セルですか。そそらないではいられません。とくにライナーはあまり多くを聴いていないので、欲しくなりました。
少しあとの時代ですが、メータとロスフィルも最近気になっています。
2020.11.01 10:00
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