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"日本侠客伝"、グラフマン、チャイコフスキー"2番"

2015.01.04 - チャイコフスキー

ma



マキノ雅弘監督の「日本侠客伝」を観る。

高倉健のヤクザ物である「昭和残侠伝」シリーズは何本か観たが、このシリーズは初めて。わずかに日本侠客伝のほうが早く、ふたつのシリーズはほぼ並行して制作されたようだ。

しばらく観ていくうちに両者の違いがわかる。こちらの高倉健はいちおうカタギであることと、コミカルなシーンがあること、そしてラストの討ち入りのシーンは身内で集まってわりと計画的に実施することだ。そういったことを考慮すると、もともとヤクザあがりでケンカも単身で行う「昭和残侠伝」のほうにスゴ味は感じる。

高倉の周囲の人間描写はこちらのほうが生き生きと深く描かれているように感じた。ことに長門裕之、中村錦之助がいい味を出している。








ゲイリー・グラフマンのピアノ、オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏で、チャイコフスキーのピアノ協奏曲2番を聴く。

この曲を聴くと、宮城谷昌光の不思議な問いかけを思いだす。それは「チャイコフスキーのピアノ協奏曲2番とドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』とではどちらをとるか」というようなもの。

おかしなことを考える人だな、と思いつつ、この数ヶ月頭にひっかかっていた。時間軸で考えると、「カラマーゾフの兄弟」のほうが大作である。例えば光文社文庫だと5巻になるので、1冊3時間として15時間かかる。対してチャイコフスキーは40分前後で聴き終えられる。
ただ、芸術の価値は時間ではない。そこを間違えると変なことになる。

ことほどさように、チャイコフスキーのこの音楽は魅力に富んでいる。1番と同じくらいか、少し上回るか。

ただ、問題もある。2楽章の扱いである。ピアノそっちのけで朗々と歌うヴァイオリンとチェロの場面が、けっこう冗長なのである。楽譜がないのでわからないが、ここをノーカットで演奏すると十数分かかるのではないか。ということもあり、一般的には1番ほどには演奏されないのだろう。

この録音では2楽章はカットがある(はず)。それを差し置いてもいい演奏である。
グラフマンのヴィルトォオーソぶりは十分に発揮されており、音色もきれい、雰囲気もいい。ことに1楽章における腹にズシンと響く重低音の迫力、カデンツァのラストの高音域の粘りは素晴らしい。3楽章の推進力は空気を裂くロケット砲。

フィラデルフィアの演奏は万全。よく鳴り、適度に甘い。



1965年2月、フィラデルフィア、タウン・ホールでの録音。



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ma


ヘンリー、その2。










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Comment

グラフマンといえば - yoshimi

こんにちは。
グラフマンはカッチェンの親友でしたね。
二次大戦後、二人ともパリで暮らしていましたから、その頃に知り合ったのでしょう。
レオン・フライシャーもパリに行ってましたから、当時は、ドイツ国内が壊滅状態になっていたので、パリが音楽の中心だったのかもしれません。

パリ時代には、2台のピアノでサン=サーンスの「動物の謝肉祭」をデッカに録音してました。
2人とも技巧達者で気心も知れているので、ぴったり息が合ってました。
チャイコフスキーの演奏のレビューを拝見すると、ピアニズムもカッチェンと似ているような気がしました。

グラフマンもフライシャーと同じく、右手が故障したために左手だけで演奏していたそうです。(今は右手が治っているのかわかりませんが)
このチャイコフスキーは、1965年でオーマンディが指揮していますから、たぶん右手が故障する前の録音ですね。
2015.01.06 Tue 12:05 URL [ Edit ]

そうなんですか! - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんにちは。
グラフマンというピアニスト、米コロンビアの録音が多いということをいくつかの録音で知っているくらいです。チャイコフスキーやラフマニノフというような、いかにもヴィルトォオーソ的な曲をやるピアニストというイメージがあります。
カッチェンと動物の謝肉祭を演奏したのですか。それはまた豪華なものですね。あの曲はわりと好きなんです。聴いてみたいです。
グラフマンのピアノは豪快でありつつ、細かな表情にも欠かないという印象です。オーマンディのボックスには1番も収録されていますが、こっちは他のピアニストなのです。
右手が故障したのですね。いまはどうしているのでしょう。
2015.01.06 21:57
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