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"さよなら、キリハラさん"、オーマンディ、"エフゲニ・オネーギン”

2015.01.17 - チャイコフスキー

ma
 


宮部みゆきの「さよなら、キリハラさん」を読む。

家にいると、いきなり音が消えた。テレビの音も相手が話す声も聴こえない。これは私だけかと思いしばらく隠していたが、家族全員がそうであることに気づく。音はずっと消えているわけではなく、家にいるときの、ある時間帯に限られる。
そんななか、自らを宇宙人と名乗る訪問者があらわれる。彼が語るに、音が聴こえなくなるのは、宇宙で電波を管理している役所が、地球の音が大きすぎるためにコントロールしているのだという。
混乱する家族を置いて、宇宙人はタクシーで立ち去る。

種明かしは明快だが、少し無理があるように思う。ただ、面白かったから文句はない。父親が大企業に勤めていることがキーになっている。







オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏で、チャイコフスキーの「エフゲニ・オネーギン」から「ワルツ」と「ポロネーズ」を聴く。

このCDには他にヴァイオリン協奏曲とピアノ協奏曲3番が含まれている。いづれも、ソリストを知らないまま聴いた。
前者はヴァイオリンの音が雑で汚いので、まるでスターンみたいだなと思ったが、果たしてスターンだった。小林秀雄には、勧められない。
いっぽう、ピアノのグラフマンは悪くない。ただ、曲がいまひとつ。未完成の作品だから仕方ないとも感じるが、晩年のチャイコフスキーにしてはいささか一本調子に思える。シンバルが多いし。嫌いではないが、やや食い足りない。
むしろこのディスクでは、管弦楽の小品がめっぽういい。

どちらも、とても品がいい。
チャイコフスキーは西欧に憧れていたという話は、いろいろな本や雑誌に書かれている。実際に作風を鑑みても、同時代のボロディンやR・コルサコフなどに比べると、西欧風にスマートだ。ボロディンが下品というわけではないけれど。

チャイコフスキーのそうした志向の極北にあるのが、3つのバレエ曲だと思うが、この2曲もいい。どちらも舞曲だからバレエ音楽といえばそうだ。
オーマンディのオーケストラはたっぷりとした色彩感が溢れ、肉感的。チェロのポルタメントはこってりと甘く、おいしい。
チャイコフスキーが憧れ続けた華やかな世界が、短い曲のなかに凝縮されていて素晴らしい。


1965年1月、フィラデルフィア、タウン・ホールでの録音。



おでんとツイッターやってます!




ma


冬の山並み。












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Comment

エフゲニー・オネーギン - たつ

 こんにちわ

 エフゲニー・オネーギンの「ポロネーズ」を聴かれましたか。中間部のチェロの箇所はリズムが取りにくいですがなんとも素晴らしい舞踏ですよね。
私の音盤はレヴァイン/シュターツカペレ・ドレスデンですがハイライト盤のため「ポロネーズ」はカットされています。
これは本当に残念でした。
そこで、ボリショイのDVDを手にして鑑賞していますが、日本語の字幕があるため内容がよくわかりますし、「ポロネーズ」の舞踏もボリショイバレエ団のようで、高貴なシーンとなっています。
ワルツは激しいもので、まるでウオッカを飲みながらのパーティーですよ(笑い)

ピアノ協奏曲の第3番というのは珍しいですね。私は聴いたことがない作品です。
 それは、ともかく「ポロネーズ」大好き!!です。
2015.01.17 Sat 19:35 [ Edit ]

天才の技です - 管理人:芳野達司

たつさん、こんにちは。
エフゲニー・オネーギンの「ポロネーズ」は、この前だとにシルヴェストリの指揮で聴きました。舞踏といいつつ荒れ狂った演奏で面白いものでした。ちょっとやりすぎの感はありますが、たまにはいいのかと。
それに比べるとこのオーマンディ盤はとてもノーブルです。オーケストラが素晴らしいことはいうまでもありませんが、淡々とした佇まいのなかに品格の高さがあります。いい演奏です。
実は「エフゲニ・オネーギン」のCDは持っていないのです。
ボリショイはいいですか。
チャイコフスキーを聴きながらウォッカを一杯、やりたいです。
2015.01.17 22:04
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