ジョン・ランチベリー指揮フィルハーモニア管弦楽団の演奏で、チャイコフスキーの「白鳥の湖」全曲を聴く(1981年、ロンドン、アビイ・ロード・スタジオでの録音)。
ランチベリーは、25歳のときにメトロポリタン・バレエの音楽監督に就任し、その後、英国王立バレエ団、オーストラリア・バレエ団、アメリカン・バレエ・シアターの指揮者を歴任したバレエ音楽のスペシャリスト。
ランチベリーの演奏は、すでに「くるみ割り人形」と「眠りの森の美女」は聴いていて、どちらも素晴らしい。この「白鳥の湖」も繰り返し聴いている。何度聴いても飽きない曲と演奏。
この曲は、メロディーに大きな魅力がある。まるで広大な、色とりどり咲き乱れるチューリップ畑のよう。このように2時間超にわたって登場する曲が、ことごとく魅力的な音楽は、「眠りの森の美女」あるいは「マタイ受難曲」、「メサイア」があるくらいで、他に見いだせない。
それに加えて、管弦楽法もいい。ベルリオーズやワーグナーとはまた違ってユニークなもので、第1級のものだと勝手に認定したい。
バレエ音楽の指揮は、舞台向けのものと演奏会向けのものと異なるものだが、ランチベリーはここではやはり演奏会向けとしてテンポ設定を行っている。具体的には、いくぶん速めのテンポを設定していることと、曲の最後をスッキリと完結させていること。
フィルハーモニア管弦楽団の状態はよい。コクのある弦楽器、彩り豊かな木管楽器に加えて、パンチのきいた金管楽器・打楽器が演奏に華を与えている。
パースのビッグムーン。
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