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メータのシューマン「第4」

2006.06.22 - シューマン
シューマンという作曲家は、まったくユニークだ。

同時代のベルリオーズやワーグナーのような、管弦楽法や
和声の革新さはないものの、21世紀の現在においても
斬新さを感じることのできる音楽を作った、数少ない作曲家の
ひとりだ。

私はシューマンの音楽から新しさを感じる。
それは、彼の音楽から発信される霊感からくるものだと思う。
音そのもののインスピレーションに狂気を感じないわけには
いかないのだ。

彼は30代から重い躁鬱病だったというが、それもおおいに
関連するのだろう。
若い頃はピアニストを目指して猛練習をしたあげく、指を痛めて
挫折した男。
大変嫉妬深く、クララにブラームスが接近することに
ひどく恐怖心を抱いた男。
自殺に失敗して精神病院に入院し、そのまま一生を終えた男。

彼に関する伝記やエピソードを読むかぎりでは、彼の
生涯が幸福だったと読み取ることは難しい。
それを音楽から端的に感じる。


・シューマン交響曲第4番
ズービン・メータ指揮ウイーン・フィル


ズービン・メータ



この演奏からは、驚くような仕掛けや、高い技術の誇示を
聴くことはできない。
指揮者は小細工なしに淡々と演奏しているが、中庸なテンポが
絶妙で、驚きはないが安定感がある。

でも、この演奏にはシューマンの霊感があらわれている。
それは、特に両端楽章に顕著だ。
流れが静から動へと移り変わってゆくとき、音楽のいろは
だんだんと狂気に染まってゆく。
オケのコクのある響きがきいている。ウイーン・フィルとしては、
ごく普通に演奏しているのかも知れない。
でも、この自然な演奏からひたひたと漂ってくるのだ。
木目調のような朴訥な録音もいい。

それにしてもメータは、ウイーン・フィルの音色を引き出すのが上手だ。
現役では1番うまいのではないかと思う。



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