忍者ブログ

フィルハーモニア・アンサンブル・ベルリンのシューベルト「八重奏曲」

2008.02.08 - シューベルト
octet


シューベルト 八重奏曲 フィルハーモニア・アンサンブル・ベルリン

エドワルド・ジェンコフスキー(Vn)
ライナー・ヴォルタース(Vn)
土屋邦雄(Va)
ネラ・ハンキンス(Vc)
アロイス・ポッシュ(Db)
エスコ・ライネ(Cb)
アロイス・ブラントホーファー(Cl)
ダニエーレ・ダミアーノ(Fg)
ノルベルト・ハウプトマン(Hr)


ライナー・ノーツの記述を読んで、一瞬、勘違いをした。
「この愛すべき八重奏曲は1824年、シューベルト27歳の早春に、ある貴族の注文を受けて作曲された」。
27歳といえば、まだ若い頃の作品であるな、と。
27歳といえば、まだ若いに相違ないが、この4年後に死ぬシューベルトにとっては、もう晩年といってもいい年齢なのであった。
私は、この時期がシューベルトの晩年だと知っているから、この明るい作品の中にも、常に悲痛さを掘り起こしてしまいがちだが、年齢を考慮すれば、まだ学生気分が抜けきらない年頃といってもいいくらいだ。
この八重奏曲は、作られた年齢を感じさせない。若いとか、老成とか、そういった形容詞は似つかわしくない。
生活感を全く感じさせない、透明な、生命の息吹に満ちている。

このアンサンブルは、ベルリン・フィルの現メンバーとOBとの連合軍。弦楽器のあたりの強さと恰幅のよさは、まさに小型ベルリン・フィルである。特にヴァイオリンが強く、全曲を通して支配している感じだ。
チェロとコントラバスは、ときどき強烈な自己主張をみせていて、あたかもベートーヴェンを思い起こすようないきがりぶりだ。
依頼主が吹くことをを想定したであろうクラリネットは、あまり派手な立ち回りはないが、要所要所にホンワカした味わいを出していて、とてもまろやかな仕上がり。
カラヤン時代のベルリン・フィルが、カラヤン以外の指揮者によって演奏したときのように、ありあまるパワーを抑制できず、ストレートに爆発させたような、そんな演奏である。
こういう演奏もありだろう。なにしろ、曲が良すぎるから。
PR
   Comment(1)   TrackBack()    ▲ENTRY-TOP

Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま こんばんは

シュベルトのオクテット
27歳の作品なんですね
知りませんでした。若書きなのか、晩年と言えるのか、シュベルトの場合は何とも言えませんね~

昔、ベルリン八重奏団という団体もありました。ヴィーンでもそうですが、同じような名前の団体が多数ありますね~。

この団体の中では、土屋さん、ダミアーノさん、ハウプトマンさんくらいでしょうか、名前を知っているのは~。
昔、コントラバスの名手、ツェペリッツさんという方もおられたですね~。

シュベルトは、ベトベンのセプテットよりもまだ簡単なんですよ。ヴァイオリンは、ベトベンの方がソリスティックなパッセージが多いですね~。

この2曲は、弦楽器奏者にとっても、管楽器奏者にとっても、演奏したい曲でしょうね~

ミ(`w´)彡 

2008.02.08 Fri 22:09 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

シューベルトの27歳って、若いのだか晩年なんだか、よくわかりませんね。
ベートーヴェンのように、年齢が作品に反映されにくいのか、ベートーヴェンが特にそう感じさせるのか。

ベルリンとかウイーンの室内楽の団体の名前って、まぎらわしいですよね。ベルリン・フィル関連ではベルリン・ゾリステンなんていうのもあります。派閥の違いによるのですかねえ?

それにしてもしみじみいい曲です。
家にある同曲異演のCDは尽きました。次に何を聴こうか楽しみです。次も廉価盤ってことになりますが^^
2008.02.09 10:18
コメントタイトル:
投稿者名:
Mail:
URL:
投稿内容:
Password: ※1
Secret: 管理者にだけ表示を許可する※2
※1 パスワードを設定するとご自分が投稿した記事を編集することができます。
※2 チェックを入れると管理者のみが見ることのできるメッセージが送れます。

TrackBack

この記事へのトラックバック
TrackBackURL
  →
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
ポチっとお願いします(´_`\)  ↓ ↓ ↓
最新コメント
カッチェン、フロマン、ブラームス"ピアノ協奏曲2番" from:Yoshimi
-11/16(Thu) -
フルニエ、フィルクスニー、ブラームス"1番" from:老究の散策クラシック限定篇
-03/18(Sat) -
ゼルキン、オーマンディ、ブラームス"1番" from:老究の散策クラシック限定篇
-02/20(Mon) -
ゼルキン、オーマンディ、ブラームス"1番" from:“スケルツォ倶楽部”発起人
-02/20(Mon) -
古典四重奏団、ベートーヴェン、15,13"大フーガ" from:老究の散策クラシック限定篇
-10/30(Sun) -
最新TB
カテゴリー