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カザルス、ヴェーグ四重奏団、シューベルト"弦楽五重奏曲"

2017.04.30 - シューベルト

ma




カザルスとヴェーグ弦楽四重奏団の演奏で、シューベルトの「弦楽五重奏曲」を聴く(1961年7月、フランス、プラード音楽祭におけるライヴ録音)。


この曲は、室内楽の「白鳥の歌」とも云える、シューベルト晩年の大作。長いだけに簡単ではないが、なんだかんだと聴いている。

これは、とてもゴツゴツとした手触りの演奏。
比較的最近の演奏、たとえばエマーソンだとかフィッツウィリアムとかウイーン・アルバン・ベルクのような、精緻でなめらかなものとは趣きが異なる。
テンポをゆっくり目にとって、ひとつひとつの音符を慈しむように弾いており、足取りはずっしりとしたもの。

カザルスは、ときに80歳半ば。技術的には完璧とはいえないかもしれないが、ときおりたっぷりときかすポルタメントを含めて、極めてロマンティックであり、かつ幻想味も豊か。
シャーンドル・ヴェーグのヴァイオリンもそれに歩調を合わせたかのようで、濃厚な味わいのある歌い回しを存分に聴かせてくれる。

全体を通して、決して現在的に洗練されたものではない。でも、この演奏で聴くことのできる、なんとも無骨で線の太いロマンティシズムには、抗しがたい魅力があるし、他ではなかなかお目にかかれないのでは。


シャーンドル・ヴェーグ(ヴァイオリン1)
シャーンドル・ツェルディ(ヴァイオリン2)
ゲオルグ・ヤンツェル(ヴィオラ)
パブロ・カザルス(チェロ1)
パウル・サボ(チェロ2)







ma
 
パースのビッグムーン。








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Comment

レジェンド - neoros2019

伝説の奏者たち
カザルス、ホルショフスキ、ヴェーグの共演録音を耳にしたことは私はありません。
みな同い年ぐらいかと思いきや、カザルスに対しホルショフスキは十五歳下、ヴェーグに至っては三十五歳年少と親子ほどの年齢差があります。
この録音の1961年時点でカザルスは八十四だったんですね
ぜひ一度は耳にしたいものです。
2017.05.01 Mon 17:28 URL [ Edit ]

neoros2019さん、こんばんは! - 管理人:芳野達司

そうなんです、カザルスはだいぶ年上なのですね。
聴いたCDには、ヴェーグとのシューベルトに加え、ケンプのピアノでのベートーヴェンのチェロ・ソナタが収録されています。
年齢が年齢だけに、テクニックに切れがあるとはいえません。ただ、とても味わい深いチェロを聴くことができます。
ヴェーグも、とてもいいです。もっと聴きたくなりました♪
2017.05.01 20:51
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