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シューマン「交響練習曲」つまみ食い

2006.07.01 - 聴き比べ
★勝手にシューマンの日★


「交響練習曲」。

なんとも堅苦しくて、中途半端な題名である。
交響曲なのか練習曲なのか、「はっきりせんかいっ!」と叫びたい衝動にかられる。
というのは大袈裟だが、ひとり静かに「もうちょっと、なんとかならないの?」とブツブツつぶやくくらいのことは言ってもいいのかと思う。

この曲を実際に聴いてみると、「クライスレリアーナ」よりもとっつきやすい音楽だ。
シューマン特有の憂鬱さ、幻想味、華やかさがごたまぜになっており、特に一般に「フィナーレ」として演奏される曲は、躁状態のシューマンの輝かしいダイナミズムが炸裂しており、聴いていて快感だ。

ただ、この曲については「遺稿」をどうするべきかという問題を孕んでいる。
「遺稿」を入れるか入れないか、もしくは入れたとしてもどこに配置するかで、全曲の有機的な統一感が異なってくるのだ。
何枚かのCDを聴く限りだと、みんなそれぞれ各曲の配列が異なっている。
個人的には、遺稿の「変奏曲第5」が好きだ。
これが入っていないと魅力が半減してしまうのである。
紫陽花の花びらに浮いている水滴のように繊細な、夢心地の音楽で、
この曲さえ聴いていれば、「あぶったイカ」がなくてもワインを1本あけられるくらい好きな音楽である。

遺稿の扱いについては、tokupiさんの記事およびコメントに詳しく掲載されているので、ご参照下さい。


さて、私が最初にこの曲に触れたのは、ポリーニの演奏だった。
冴え渡る技巧がなめらかで心地よい。
遺稿の「変奏曲第5」が含まれている。
ワイン1本はかたい。

ポリーニ

マウリツィオ・ポリーニ
(1983 DG 410 916-2)



その後に、リヒテル盤を聴いてみた。
彼は録音に恵まれないピアニストのひとりだと思うが、このオイロディスク(もとはメロディアか?)経由でBMGから出た録音はなかなかいい。
彼の奏でるピアノからは、シューマンの苦悩と夢想のインスピレーションを聴きだすことができる。特に「変奏曲第5」は、何度聴いても色褪せない味わいがある。この演奏ならば、ワイン3本はいける。
全体的に、細かな表情づけと色彩感が素晴らしく、個人的にはこの盤を
ベストとする。

リヒテル

スビャトスラフ・リヒテル
(1971.9 BMG GD69082)



その次は、アンドラーシュ・シフのCD。
「フィナーレ」の後に、遺稿の5曲が配置されている。
つまり「変奏曲第5」が最終曲となっているので、盛り上がって終わるのではなく、切ない夢心地で音楽の幕を閉じるのである。
ワイン2本である。

シフ

アンドラーシュ・シフ
(1995.1 elatus 0927-49612-2)



ステファン・ヴラダーの演奏は良い加減の抑揚をつけた演奏であると思うが、やや霊感に乏しいような気がする。「変奏曲第5」は含まれている。
ワイン1本飲みきれるかどうか。

ヴラダー

ステファン・ヴラダー
(1988.5 NAXOS 8.550144)



ルービンシュタインのシューマンはいい。「ピアノ協奏曲」や「森の情景」の素晴らしさを知ったのは彼の演奏からだった。
この曲は、スケールの大きさと幻想味を併せ持つ好演だと思うが、遺稿を全て省略している。
19世紀生まれのヒトの習慣なのだろうか?
なので、ワイン半分。


ルービンシュタイン

アルトゥール・ルービンシュタイン
(1961.11.19 BMG BVCC-35078)



そして、リヒテルのライヴ盤。
72年のものだが、モノラル録音で音質はあまり良くなく、解釈は71年のスタジオ版とほぼ同様なので、乱暴だが、スタジオ盤があれば、これは特に取り出すこともなかろうと思う。

リヒテル(ライヴ)
(1972.1.22 yedang YCC-0020)



そのほか、キーシン、ポゴレリッチ、ペライア、またコルトーなど興味深いピアニストのCDが多数出ているようだ。
この曲についても、まだまだ楽しみが残っている。
嬉しい悲鳴というべきか。



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Comment

無題 - garjyu

勝手にシューマンの日、ご参加ありがとう御座いました。
私自身、シューマンのあまり良い聴き手でないので、皆さんの記事を参考に勉強させていただこうと思っております。まずは、このリヒテルあたりからでしょうか。

garjyu
2006.07.02 Sun 00:15 URL [ Edit ]

無題 - 吉田

garjyuさん、こんばんは。
勝手にシューマンの日を楽しみにしておりました。交響曲にするかピアノ協奏曲にするか歌曲にするか迷いました。
リヒテル盤は一押しです。彼の多くのCD中でも最上の演奏(全部聴いているわけではなりませんが…)のひとつだと思います。
2006.07.02 Sun 00:26 URL [ Edit ]

無題 - miwaplan

こんばんは。
「勝手にシューマンの日」への参加に感謝します。

シューマンはオケ曲をメインに聴いてますので、ピアノ曲は私これからです。
リヒテル盤のこと、貴重な感想をありがとうございます。

それから、ルービンシュタインのピアノ協奏曲もあったのですね。これは知りませんでしたので、楽しみです(^_^)v

次回はカラヤンなのですが、またいかがですか?
2006.07.02 Sun 00:30 URL [ Edit ]

無題 - 吉田

miwaplanさん、こんばんは。
いつも楽しい企画をありがとうございます。
ルービンシュタインのP協は、クリップスとのRCA盤で、交響練習曲とアラベスク、予言の鳥がカップリングされています。
カラヤンは魅力的ですね。また遊びに行きたいと思います。
2006.07.02 Sun 00:41 URL [ Edit ]

無題 - ダンベルドア

こんばんは。

>シューマン特有の憂鬱さ、幻想味、華やかさがごたまぜになっており

そう、私はこの憂鬱さのためにシューマンはちょっと苦手なのです。
 でもワイン3本いける演奏があるそうですのでリヒテル聞いてみようかなと思っています。ありがとうございました。
2006.07.02 Sun 23:52 URL [ Edit ]

無題 - 吉田

ダンベルドアさん、こんにちは。
シューマンは実際に重度のうつ病だったらしいので、その傾向が作品にも表れているのではないかと思います。「交響練習曲」はどちらかといえば軽度な気がします。
2006.07.03 Mon 09:55 URL [ Edit ]
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