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武満徹の「切腹」

2006.07.11 - 映画音楽
映画「切腹」は1962年に制作された小林正樹監督作品。仲代達也や三国連太郎、岩下志麻らが出演している。

舞台は江戸の初期。江戸幕府が開かれたことにより、全国の大名が人員の削減化を行った結果、浪人が増える。
仕事がないがために貧窮にあえぐ浪人たちは、大きな武家屋敷を訪問して回る。
そして『仕事がなく、このままでは生きていかれない。自害するしかないのだが、この立派な玄関先で切腹したいから、場所を貸せ』というのだ。
自分の家で切腹などされてはたまらないから、しかたなく雇ったり、いくばくかの金を遣って追い立てるのである。

そんなことが広まるようになって、三国演じる井伊家の主人は、こうした風潮を武士の風上にもおけないと考えていた。
ある浪人が例のように、井伊家を訪ねてきた。
三国は彼に『切腹しろ』と命じる。
想定外の展開になって狼狽した浪人は、1両日だけ待ってくれというが、三国は許さない。
その浪人は無理やり切腹させられる。

しかしこの浪人には、のっぴきならない事情があったのだ。
この浪人の死の事情を知った義父の仲代は、三国に復讐を始める…。


映画ファンであった武満は、小林正樹、黒澤明、篠田正浩などの名匠からの依頼を受けて、数多くの映画音楽を作曲している。
小林正樹のオムニバス映画「怪談」の第3話にあたる「耳なし芳一」において中村嘉葎雄が演じる芳一の琵琶が奏でる音楽は、映画そのものを支配しており、あたかもオペラのように雄弁だ。
平家の落武者を丹波哲郎が演じていて、彼が芳一の耳をもぎとるシーンでは琵琶が容赦なく激しくかき鳴らされる。まあ、とにかく痛そうなことおびただしい。

「切腹」は、どちらかといえば無音のシーンが多いが、ここぞという場面で鳴らされる琵琶と尺八による音響世界は、ときに日本刀でバッサリ斬られるように(斬られたことはないが)衝撃的なものだ。
「ノヴェンバー・ステップス」の先駆けであると思う。


切腹

小林正樹「切腹」/武満徹


怪談

小林正樹「怪談」/武満徹




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