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ジュリーニのラヴェル 組曲「マ・メール・ロワ」

2007.05.11 - ラヴェル


ジュリーニ

ラヴェル 組曲「マ・メール・ロワ」他 ジュリーニ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団


ラヴェルはこの曲を1908年にピアノ連弾用として作曲した。それを1911年に管弦楽用に編曲している。それが紹介の曲である。それをさらに、パリ・オペラ座の支配人ジャック・ルーシェの提案でバレエ音楽化したのが1912年である。「マ・メール・ロワ」は、フランス語で「マザー・グース」を意味する。
組曲は「眠りの森の美女のパヴァーヌ」、「おやゆび小僧」、「パゴドの女王レドロネット」、「美女と野獣の対話」、「妖精の園」の5曲からなっている。

このCDでのコンセルトヘボウ管弦楽団の演奏は素晴らしい。全てのパートの音に角のとれたまろやかさがあり、華があり、合奏の溶け具合は絶妙で、幻想味を余すところなく出していて申し分がない。
ベルリン・フィルのように低弦はきつくないし、ウイーン・フィルよりもメリハリがはっきりしている。
オーケストラの演奏として、これ以上を望むのは難しいくらいに、完成されているように思う。
ジュリーニがこのオーケストラで初めて行ったスタジオ録音であり、これは1989年のもの。
ジュリーニは、70歳を過ぎたあたりからますますテンポが遅くなって、重心の低い音を出すようになってきたように感じられるが、それは、コンセルトヘボウを始めとしたヨーロッパの伝統あるオケを振っているから余計にそう思うのだろう。
聞くところによれば、彼の家庭の事情で遠隔地に客演することが難しくなったゆえに、専らヨーロッパでの活躍が中心となったようだが、60代の頃のようにシカゴやロスアンゼルスのオケを振っていたら、また違う味わいのものになっていたのだろう。
彼のテンポの遅さ、それは決して短所というわけではないのだけど、それがアメリカの明るくて軽やかなオケとやったら、それはそれでとても魅力的だったのだろうと想像するに難くない。

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Comment

無題 - Niklaus Vogel

吉田さん、こんばんは! ジュリーニの「マ・メール・ロア」、ロスフィルとの旧盤は愛聴しているのですが、ご紹介の新盤は聞いたことがありません。(カップリングのドヴォルザークは聞いたことがあるのですが、想像するに重厚でありながらふわったとした感触があるのでしょうか…。)
おそらく対照的な演奏かと思いますが、硬質系のマルティノン&シカゴ響のエントリーにTBさせていただきましたm(_ _)m
2007.05.11 Fri 23:18 URL [ Edit ]

Re:Niklaus Vogelさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

TBありがとうございます。
仰るとおり、重厚でふわったとした感触ですね。全編に渡って、まったりとした音色で彩られた演奏です。ドヴォルザークもいい演奏です。コンセルトヘボウはいいですね。不思議なカプリングではありますが。
ロサンゼルスとのものは響きそのものは硬質でした。解釈は基本的に同じように思えますが、出来上がりはだいぶ違うようです。面白いものであります。
2007.05.11 23:28

無題 - HIROPON

吉田様 こんばんは。
私は、先日、ジュリーニ&コンセルトヘボウで「新世界」を聴いたばかりです。コンセルトヘボウが魅力的なことはわかっているのですが、どう表現していいかわかりませんでした。吉田様の記事で「なるほど、そうだったのか」ともやが晴れた感じです。
2007.05.12 Sat 02:50 URL [ Edit ]

Re:HIROPONさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

ジュリーニは「新世界」を確か3回録音したので、この曲を得意としていたのだと思うのですが、コンセルトヘボウとの演奏は素晴らしいですね。オケの音色は柔らかく、ジュリーニの歌わせ方も絶妙です。
この「新世界」は当初、同じドヴォルザークの「7番」が組み合わされた2枚組で、『なんで2枚買わなくちゃいけないの』と思っていましたが、「7番」も実にいいものでした。
2007.05.12 10:25

無題 - rudolf2006

吉田さま こんにちは
いつもコメント、ありがとうございます。
フランスものは、ほとんどアンセルメを聴くことが多くて; ジュリーニの演奏は聴いたことがありません。良さそうですよね、ブログを始めて、皆さんに色々と良い演奏を教えてもらって、CDの購入量が増えて;;;
でも、聴いてみたいです。

ミ(`w´彡)
2007.05.12 Sat 11:31 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

ジュリーニのフランスものは、ラヴェル、ドビュッシー、フォーレなどありますが、ごく一部の曲に偏っています。彼のお気に入りだったのでしょう。ゆったりとしたいい演奏だと思います。
逆にアンセルメのものをあまり聴いていないかもしれません。聴いてみたくなります。
私もこのところCDの購入量が激増しました。まだ健全な範囲ではありますが。
2007.05.12 15:48

無題 - garjyu

こんにちは。
私もこの演奏大好きです。ロスフィルとのも明確な演奏でしたが、より夢見心地にさせてくれるような。
2007.05.12 Sat 11:46 URL [ Edit ]

無題 - garjyu

すいません。勢いアマって、TB2回押してしまったようです。お手数ですが、ひとつ消去お願いできますか。
2007.05.12 Sat 11:54 URL [ Edit ]

Re:garjyuさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

TBありがとうございます。
ジュリーニのフランスものは意外といっては失礼ですが、とてもいいものでありました。コンセルトヘボウの魅力も満開です。それを引き出した指揮者の力量も尋常ではないのでしょう。
ロスフィルのものもカラッとしていて良かったです。テンポは同じですが、響きが全然違いますね。
2007.05.12 15:53

無題 - sweetbrier

こんばんは。
我が家には1979年録音のロサンゼルスとのものがあったので、今日は吉田さんのエントリーや皆さんのコメントを読みながら、しばらく聴いてみました。ピアノ演奏を聴くだけでは想像できない、いろんな音色が、曲想の幅を広げているようで素敵でした。コンセルトヘボウのふわっとした感触のもよさそうですね、聴いてみたいです。
2007.05.13 Sun 01:13 URL [ Edit ]

Re:sweetbrierさん、おはようございます。 - 管理人:芳野達司

ロサンゼルスとのものもとてもいいですね。やはりテンポはゆっくりめで、こちらはカラッとした響きを堪能しました。
ロサンゼルスのものは1979年の録音でしたか。コンセルトヘボウの演奏はちょうど10年後に録音されました。ジュリーニにしては間隔が短いような気がします。レコード会社の思惑もあったのでしょうが、彼が気に入っていた作品なのでしょう。
2007.05.13 09:51

無題 - mozart1889

吉田さん、おはようございます。
この「マ・メール・ロワ」ジュリーニ/ACOのコンビが遺した演奏では、屈指の名演と思います。音楽が豊かで、柔らかく、ホンマに夢の世界に遊ぶような感じです。遅さもこのコンビの場合、魅力ですね。テンポがゆったりしていて、独特のテヌートもたまらないです。そして、ジュリーニらしい「歌」もエエです。録音も申し分なく、フワッとした空気感の中で聴けますね。
2007.05.13 Sun 06:58 URL [ Edit ]

Re:mozart1889さん、おはようございます。 - 管理人:芳野達司

TBありがとうございます。
この盤で、ACOのよさをしみじみ感じました。各楽器奏者はうまいし、柔らかいし、合奏の溶け合う響きは本当に屈指のものだと思います。
ジュリーニの「歌」にもほんとうに魅せられます。手触りがきめ細かくて、いい夢をみているような感じです。
ソニーのやわらかい録音も絶妙で、ACOの魅力を充分に出していると思いました。
2007.05.13 10:00
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