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自動車絶望工場、アシュケナージ、大公

2011.11.27 - ベートーヴェン
 
bee

ベートーヴェン「ピアノ三重奏第7番」 アシュケナージ(Pf) パールマン(Vn) ハレル(Vc)


鎌田慧の「自動車絶望工場」は、トヨタ工場の季節工として実際に働いた著者が記した潜入ルポ。
極限まで効率化を推し進める結果、どんどんとスピードが上がっていくベルトコンベアーとの戦い。とりこぼしが出るとコンベアーは停止し、周囲の顰蹙を買う。それならまだいい。機械に指を落とされる作業員や、死亡者も続出する過酷な現場。作業のキツさのため、ほとんどの季節工は期間満了の手前で辞めていく。
労働者は取り換えのきく部品。何人辞めたって、代わりはどんどん入ってくる。

舞台は1972年から73年のものだけど、現在も状況は変わらない。悪化しているようにもみえる。「効率化」とは人減らし。トクをするのは誰か。経営者なのか、それとも安くクルマを買うことができる消費者なのか。安い買い物をとるか働きやすい労働環境をとるか、ということになれば後者をとるかな。トシのせいか。





今夜は大公。
ちょっと古いナ。
アシュケナージとパールマン、ハレルによるピアノ三重奏。曲そのものがそういう構成になっているのだろうけど、アシュケナージのピアノが主導している。柔らかく丸い音質はいつも通り気持ちのよいものだし、ふたりをリードする姿勢も堂に入っている。ときおり見せる装飾音のくずしかたやタメの作り方は、けっこう洒落ている。
パールマンの伸びやかで太い音色はいつもより抑え気味のよう。アンサンブルに焦点を当てている感じ。ハレルのチェロはふかぶかとしていてみずみずしい。響きそのものはパールマンに似ているようだ。気のせいか。録音のせいか。


1982年2月、ニューヨーク、RCAスタジオでの録音。
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Comment

現代の「自動車絶望工場」といえば - yoshimi

「自動車絶望工場」で連想したのは、amazonの物流センター。随分昔に読んだ「アマゾン・ドット・コムの光と影」では、物流センターの仕事の内情が書かれてました。
今は文庫化されて「潜入ルポ アマゾン・ドット・コム」というタイトルになってます。
労災によるケガ人や死者が出ないところは違いますが、ベルトコンベアー的な作業内容は似てますね。
たしか、いかに素早く発送する商品を集めてくるかで、時給が決まると書いてあったと思います。
この本は、amazonサイトで売ってますが、文庫版のレビューを読むと、内容そのものではなく、"上から目線"的な著者の姿勢に対する批判が多いです。
2011.11.28 Mon 12:54 [ Edit ]

Re:急成長の会社は… - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんばんは。
「潜入ルポ アマゾン・ドット・コム」、検索したら、アマゾンが先頭にヒットしました。以前、日航ジャンボ機墜落事故の件で「沈まぬ太陽」を連載していた週刊新潮を、日航が機内サービスで提供しない、なんてことがありましたが、それに比べるとアマゾンは寛大!?
トヨタにしろユニクロにしろこのアマゾンにしろ、急な成長をとげる企業はそれなりに厳しいですね。企業からすれば「金儲けは善」は正当な理屈ですが…。柳井さんの本など読んでも、シビアです。ついていけないかも。
2011.11.28 21:22
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